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シンセサイザー入門日誌その5:パソコンとのアンサンブル

 いよいよPCと繋ぎ込んでいく。だんだんシンセ屋らしくなってきた。今回のゴールは、PCで打ち込み音声データを作成し、そのデータでsubsequent37を鳴らし、その音をまたPCに取り込んで録音するという方法だ。

 パソコンとsubsequent37を接続して演奏するためには、以下が必要だ。括弧内は私が持っている具体的な機材を表している。

・パソコン(MacBook)
・DAW(Logic Pro X)
・オーディオインターフェース(Apollo mk2)
・USBケーブル(Type-B to Type-A)

 DAWはDigital Audio Workstationの略で、パソコンで音楽を作るためのソフトウェアのことだ。MacユーザーでDAWにこだわりのない方は、Logic Proを使うことをお勧めする。Jacob Collierや宇多田ヒカルなど一流アーティストも愛用するほどのプロ仕様。Apple純正ソフトウェアでMacBookとの相性は抜群。日本語マニュアル完備。そして他のプロ仕様DAWに比べて圧倒的に価格が安い!という、素晴らしいソフトウェアなのだ。

 オーディオインターフェースとは、アナログ音声をデジタルに変換してPCに流し込むための装置である。私のApollo mk2はとてもいい機材であるがかなり高級品だ。もっと安くてもよい機材はある。

 USBケーブルについては、subsequent37の端子がType-Bなので、これとPCを接続できるものが必要になる。私のMacBookProはType-Cしかついていないので本来であればType-B to Type-Cのケーブルが必要なのだが、我が家にはType-B to Type-Aしかなかったので、Type-AをType-Cに変換するコネクタを挟んでPCと接続した。コネクタは安物を使ったが、特に音声の遅延などは発生せず、快適に使えた。

USBケーブル Type-B to Type-A
ちなみに下にいる(・ω・)がType-A to Type-Cのコネクタ
どちらも安物だが十分使えた

 オーディオインターフェースやDAWの使い方については今回は説明を省くが、これらを全く触ったことのない方にはハードルが高いだろう。Sleepfreaksの動画は丁寧に様々な機材の扱い方を紹介してくれているので、これらを頼りに環境構築してみてほしい。

MIDIでsubsequent37を鳴らす

機器接続

 まずUSBケーブルでPCと接続する。これはMIDI信号、すなわち楽譜でいう音符のデータのみをやりとりするためのものなので、音色や音声そのもののデータはやりとりしてはくれないことに注意。
 ゆえに、Subsequent37の音声出力は別途オーディオインターフェースに出力する必要がある。

DAW設定

 まず、MIDIトラックとオーディオトラックを二つ用意する。MIDIで入力し、鳴らした音はオーディオトラックに流し込んで録音するのだ。
 MIDIトラックを追加する際には、下図のようにMIDIの送信先が "Moog Sub 37"になっているかを確認すること。

 あとはMIDIで打ち込みをし、再生すればMIDIの通りにSubsequent37の音が流れるだろう。オーディオトラックを録音状態にして再生すれば、オーディオデータとして扱うことができる。

 MIDIで鳴らすと何が嬉しいのか、subsequent37に内蔵されたアルペジエーターだって、自動演奏機能があるではないか、と思うかもしれない。が、多重録音やアンサンブルの音源作曲をしている時にこれは威力を発揮する。リアルタイムにパネルをいじれば音色が変わるので、オケを鳴らしながら最適な音を探すことができるのだ。単音で聞いたときはカッコよくても、アンサンブルに入った途端周りとなじめなくて浮いてしまう音色というものはよくある。逆も然りで、一緒に他の楽器と鳴らして初めてその良さがわかる音色だってある。オケを再生しながら最適な音色を探求できるところがMIDI再生機能のメリットだ。
 またCPUリソースについてのメリットも得られる。どんなPCにもスペックには限界があり、それ以上のソフトシンセを立ち上げれば必ずPCは止まる。しかしSubsequent37は実機であり、MIDIで音階データを送信しているだけだから、PCリソースはほとんど喰わない。

 DAWとテンポ同期してアルペジエーターを鳴らすこともできるはずなのだが、私の調査能力不足で実証することができなかった。が、MIDIで音階を指定することができれば、大抵の作曲には事足りるだろう。テンポ同期についてはそのうちまた調べて報告したい。

 演奏および作曲をするのに必要な準備は整ったので、本連載も今回が最後である。実用の中で応用テクニックを見つけたらまた日誌を書きたい。

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