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【金剛法剣】の作風について

一つ前の記事で販売開始しました【金剛法剣 こんごうほうけん】ですが、作品についての詳しい解説がまだでしたのでこちらに書かせて頂きます。

刀【金剛法剣 こんごうほうけん】

 銘 信濃國秀平    刃長 二尺二寸二分 (六七・三㎝)

   令和二年二月日  反り 七分     (二・二㎝)


 鎬造、三ツ棟、身幅広く、元先の幅差さまで目立たず、反りやや深めにつき、大鋒となる。鍛えは小板目肌細かく立ち、地沸厚くつき、地景細かに入る。刃文は大小ののたれを主調に互の目交じり、足入り、匂い深く沸強く厚くつき、部分的に砂流しかかる。帽子は乱れこんで小丸に返り、先掃き掛ける。茎は先栗尻、鑢目筋違となる。彫物は表裏とも棒樋と腰元に添樋を掻き流す。
作風についてはこの沸の強さと厚さが一番の特徴となっています。


 昔から修験道に興味はあったものの、なかなか縁がありませんでしたが、令和に入ってから修験道との縁が繋がりました。その影響で刀剣を製作する上でも様々な変化があり、その変化が更に進展して現在の製作法に繋がっています。

往古は半分僧侶や行者で半分刀鍛冶ということが比較的よくあったことが、銘文に法名や入道と刻んであることからも分かります。そしてそれは、靈力を持った刀剣を生み出すうえで理に適っていると言えます。

 この刀は上記のように修験道との縁が繋がったちょうどその頃に製作したため、【金剛法剣 こんごうほうけん】という号となりました。

さらに、号とは何かというところもご説明しておきますと、
「号」というのは、一点一点の刀剣に固有の名前のことです。

一般的に、古来の名刀の号というのは、その刀剣が長く伝来する中での様々なエピソードの伝承や、著名な持ち主を由来とする名称が「号」とされています。


私は平成の終わり頃から、作品に号を付すようになりました。

それは、それぞれの刀剣に固有の名前があったほうが、その刀剣が持っているその刀剣自身の使命を果たすための力を発揮しやすいということを直感したからです。

そして現に、号が付されることで刀剣の力がより一層発揮されているのを実感しています。

号の由来は、号そのものが直感されることもありますし、作品を生み出す際に必要な様々な流れによって決まることもあります。

最後に、この【金剛法剣】のもう一つの特徴的な点ですが、年季が令和二年二月日で、刃長二尺二寸二分、反り二・二センチと二が揃っているところです。
刃長は製作途中で流れ的に二尺二寸二分になりそうだなと感じてから意識しましたが、反りは製作中にセンチでは測らないので登録を取って初めて気づきました。
さらにコンクールの出品番号も2番でしたし、令和2年は2020年でもあるので、相当2という数字に縁があります。

令和3年 第11回「新作日本刀・研磨・外装 刀職技術展覧会」文部科学大臣賞(全部門総合最高賞)並びに経済産業大臣賞受賞(作刀部門最高賞)



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