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Taylor Swift / Fearless (2008)

テイラー・スウィフトの世界的な人気に火をつけたセカンド・アルバム。
デビュー作で既に脚光を浴び、カントリーの将来を担うことを期待されたテイラーは、この2作目で新世代のアメリカン・ポップ・スターの座までも嘱望されることとなり、本作の大ヒット(2009年アメリカでのベスト・セラー・アルバムに)と史上最年少でのグラミー最優秀アルバム賞獲得により、一気にスーパースターへと駆け上がった。

若くして聡明で自覚的なアーティストだった彼女は、敬愛するカントリーの伝統に則りながら、瑞々しくほろ苦くエネルギッシュな感情を明瞭に綴った詞によるアメリカのティーン向けドラマのようなストーリーテリング、ヴァース/コーラス/ブリッジのしっかりとした構成によるポップスの王道を行くソングライティング、実直で透明感のある芯の強い歌声、カントリー・タッチでありながら今様のポップス風味も含んだ厚めのサウンドにより、「自分がやりたい音楽」と「皆が聴きたい音楽」の両立を果たしている。

アメリカのティーンエイジャーの心象風景をストレートに描くとともに「アメリカの理想的な家族」像も実体験として綴られる("The Best Day")本作は、ともすれば聴いていて気恥ずかしくなりそうなところを、その抜群のメロディ・センスによって”聴かせる”ものに仕上げているのはさすが。

マイノリティの立場も味わいながら生きてきた彼女は、疎外感すらも曲作りのモチヴェーションに変換し、飽くなき向上心と家族の愛情によりその才能を大きく花開かせた。
ブックレットのサンクス・クレジットからも文才を感じられる。




僕の自室の机の正面に掛けてあるロッキング・オンのカレンダーの12月13日のところには、テレヴィジョンのトム・ヴァーレインとテイラー・スウィフトの名前が載っている(凄い組み合わせ…)。

少し迷ってから僕が手に取ったのはテイラーのCDでした。

平日の夜、テイラー・スウィフトのキラキラ光るジャケットのCDを取り出して聴きながら(たまに口ずさみながら)文章を書いている30代半ばの男というのは幾分か狂気じみている気もする。

同い年の中で世界一稼いでいるであろうテイラー・スウィフトの音楽は、大学生の頃にFMラジオで何度もかかっていた”You Belong With Me”を聴いて以降、なんだかんだで細く長く聴き続けている。当時は19歳だったのか…。

この2n dアルバムは共作曲も多いけど、確固たる信念に基づいているであろうメロディの強さはすでに充分に備わっている。
当初はカントリーっぽさも感じたものだが、あらためて聴いていると、フィドルやバンジョーの音色も散りばめられてはいるが、基本的にはやはりポップスかなと。

たまたま同じ学校にいるだけの相手との些細なやり取りに一喜一憂したり、一つの失恋に人生の終わりを見るぐらい失望するという、あまりにもティーンエイジャーすぎる物語がやたらと続く(それはそれで大事だけどね)本作だが、惨めな気持ちを当時の熱量そのままに痛々しいまでに鮮烈に曲として書きつけることのできる彼女の才能は、その後、成長していく中での苦難や試練、スーパースターでいることの苦悩や逆境の中で、1本の芯として彼女の音楽性を支え続けていると思う。

アルバム1枚を通して聴くと甘ったるく感じることもあるが(持っているのがプラチナム・エディションなるデラックス盤で長大なのもあるが)、たまにiPhoneでシャッフルで聴いているときにテイラーの曲がかかると「やっぱりメロディ強いなあ」と感心させられる。

本作は色々あって最近になってセルフ・カヴァーで再発されたようだけどそちらは未聴。


風邪気味のぼんやりとした頭でなんとなく書いていたら思いの外長くなってしまった。
これじゃテイラー大好き男みたいだな。まあ好きだけど。

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