The Killers / Day & Age (2008)
ザ・キラーズの最高傑作といえるサード・アルバム。
煌びやかな’80sシンセ・ポップやニュー・ウェイヴを鮮烈に復活させたファースト、一転して母国アメリカや故郷ラス・ヴェガスへの郷愁と回帰をみせてバンドとしてのフィジカルの強さや表現力を増してストーリーテリングも充実させたセカンドを経て、本作は同世代の人気プロデューサーであるスチュワート・プライスを迎えて完成させた究極のキラーズ印のポップ・アルバム。
冒頭のシンセ・ポップの名曲3連打からして圧巻だし、ファンクやカリプソ、アフリカンなど多様性と異国感を取り入れた新機軸もあり、彼ららしい壮大な曲展開が厳かなフィナーレまで素晴らしい、捨て曲なしの10曲、最高の40分。
UK志向、US回帰ときて、ここで一気にスペイシーなシンセ・(ディスコ・)ポップへとぶっ飛ぶのもキラーズらしいし、その実、しっかりとした芯のあるメロディに深みと重みを含んでいるのもまたキラーズらしい。
個人的にめちゃくちゃ好きなアルバムで、特に旅行時の機内で聴くのに最適なアルバム。
メロディにサウンドに詞に、旅立ちの昂揚と期待感、帰路の充実感と疲弊感と安堵感が詰まっている気がする。
ベタを恐れず自らの嗜好と趣向を貫き、純真な野心で世界に立ち向かっていくキラーズの姿勢は、音楽性こそ違えど(そして根幹も行く先も各々だけど)U2やミューズ、コールドプレイに通ずるものがあると思う。
このアルバムが装飾過多だったり軽薄だったりと否定することも簡単だけど、つい一緒に歌いたくなる強靭なメロディは揺るがない抗えない(聴くといつも、特に1〜3曲目は歌わずにいられない…)し、こんなにもポップなロック・アルバムは他にはないと思う(少なくとも今は思いつかない)。
今日こそはゆっくり聴きながらしっかり書こうと思ったんだけど、やっぱり気づけば一緒に歌ってしまい、時間切れ。
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