見出し画像

R.E.M. / Reckoning (1984)

ファースト・アルバムが、その堅実かつ誠実、実直な内容にも関わらず望外(?)の高評価とセールスを得たR.E.M.の4人が、ツアーの勢いのまま、わずか数週間でほぼライヴ・レコーディングにより仕上げたセカンド・アルバム。

ピッチフォークが前作から2作続けて10点満点(ちょっとやりすぎな気もするが)をつけた本作もまた、ピーター・バックのギターがジャングリーなアルペジオを奏で、4人のバンド・サウンドはときにザ・スミスやザ・ストーン・ローゼズのように、ギター・ポップのように煌めく。

2〜4曲目や9曲目の「ロックヴィル」など初期の名曲が揃い、ファーストでのマイナー・コードが生み出す翳りよりも、ライヴで映えそうなアップリフティングな楽曲が多い印象だが、「Camera」あたりのバラードもお手のもの。

マイケル・スタイプの柔らかくジェントルな歌声も独特の”もごもご感”も相まって唯一無二(CD盤ボーナス・トラックに収録された名曲「ムーン・リヴァー」のカヴァーも至高)。

地味で不気味な”双頭蛇”のジャケットが某雑誌でその年の「ベスト・ジャケット」と「ワースト・ジャケット」を両獲りしたという本作で、彼らは評価を確実なものにした。
楽曲の内容も制作の経緯も評価の向上も含め、理想的なセカンド・アルバムといえる。



たとえ壊れゆく世界であっても、R.E.M.だけは信じられる。
そう思わせるだけの誠実さと、何より楽曲の良さがある。

心底ホッとする音楽。それが僕にとってR.E.M.。
ロックでもバラードでも、シリアスでもユーモラスでも、どんなときでも彼らの音は優しい。闘っているときですら。

大丈夫。まだやれる。
そう自分に言い聞かせながら、何とか潜り抜けていく日々。
何が大丈夫なのか、何をやれるのか、それは自分でもわからないけど。
淡い期待は瞬く間に粉々に打ち砕かれてしまうけど。
その欠片を拾い集めるのか、それとも新たな何かを求めていくのか、まだ決めきれないけど。
少なくとも今日の夕暮れは美しかった。

早朝に起きるここ数日、鮮やかな朝日が微かな予感をもたらしてくれる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?