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The Strokes / Room On Fire (2003)

21世紀の幕開けとともにロックの新時代を切り開いたザ・ストロークスによる時代を変えた衝撃のデビュー・アルバム「Is This It」から2年。
待望のセカンド・アルバムは、前作の延長線上のスタイルでありながら、疾走感に加えて奥行きを増したサウンドが広がる全11曲32分で、彼らの音楽性の発展を示したものとなった。

ジュリアン・カサブランカスの追い求める理想の音楽を、ポップさを増したメロディとともに4人のバンド・サウンドが”再現”した本作は、「楽器4つのハーモニー」と称するとおりそれぞれが魅力的な音を鳴らし、リズムを刻んでいる。

ニック・ヴァレンシのシンセサイザーのようにも聴こえるギター・プレイと奔放なギター・ソロ、アルバート・ハモンドJr.の”ストロークス印”の印象的なギター・リフ、ニコライ・フレイチュアの図太いベース、ファブ・モレッティの正確で自在なドラムス、そしてジュリアン・カサブランカスの気怠げで心地良く嗄れたヴォーカル。そのそれぞれが楽曲において一つになったときの至上の輝きはストロークスならでは。

前作において自身が”リセット”させたロックのゼロ地点から、着実に歩みを進めた理想的なセカンド・アルバム。




しかし素晴らしいアルバムだなあ。
これを聴いているとついつい歌ってしまうし、楽器を演奏したくなる。
バンド・アンサンブルの心地良さでは歴代屈指の名作かと。
アークティック・モンキーズがこのアルバムを聴いてバンドを始めた(?)というのも頷ける、ギター・バンドの教科書的な作品(良い意味で)。

ジュリアンのポップ・センスが本物だということが明らかになったし、同時にそのコントロール・フリークぶりもひしひしと伝わってくる。
1stで綺麗な一本線を描き、2ndで奥行きを持たせ、3rdで立体感を出すと同時にその完璧にデザインされたフォルムに中身を詰め込もうとしすぎて瓦解(そしてやや迷走)したストロークスにとって、1〜2作目の流れは最高だったと思う。(3rdも楽曲単位では大好きだけど。)
2000年代のギター・ロックの行方を決定づけた最重要バンドの幸せな季節だったのだろう。
これ以降、彼らの”完全復活”はもう少し先になる。

(蛇足ですがストロークスのアルバムはメンバーのソロも含め全部大好きです)

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