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James Blake / Overgrown (2013)

「ポスト・ダブステップ」の旗手として注目を集め、「新世代のソウル・シンガー」として鮮烈なデビュー・アルバムを放ったジェイムス・ブレイクの2年ぶりのセカンド・アルバム。

前作リリース後にツアーを回る中でライヴでの聴衆とのコミュニケーションを通じて大衆性に目覚め、初めての恋に苦しみ、憧れのジョニ・ミッチェルとの邂逅を経て、シンガー・ソングライターとして大きく成長を遂げた彼は、磨き抜かれたエレクトロ・ビートと卓越した編集能力、より輪郭のはっきりとした広がりのあるサウンドに加え、ブライアン・イーノやRZA(ウータン・クラン)と共演するなど、明らかに新たなフェーズへと進んだ。

普遍性の中で揺らぐメロディは独特で記名性があり、何よりもあの声がある。
ここでの彼の歌声は、フォーク、ソウル、ブルーズ、そしてゴスペルの領域まで近づいている。

圧倒的な孤独感と喪失感を帯びた屹立したその声だけで、彼の音楽と聴き手の心の間の障壁は溶解していく。前作で届かなかったマーキュリー賞も獲得した、2010年代最高のSSWアルバムの一つ。




聳え立つ壁の前で、青い靄に包まれながら、真っ白な雪の上に一人佇むジャケットが印象的な2作目。
ミニマルの極致から孤独な叙情が零れ落ちるようなファースト・アルバムから、歌もメロディもビートも音色も、全てが研ぎ澄まされたこのセカンド・アルバムへの進化は至極真っ当にして大正解だと思う。
シングルにもなった5曲目の「Retrograde」で音が洪水のように溢れ出すところや、9曲目の「To The Last」のイントロから続く柔らかなメロディなんて、もはや多幸感にも近いものがあるし、それ以外の曲においても喪失感だけでなく穏やかさをも感じさせるのが本作の特徴。
革新性よりも普遍性を希求した先に、不安定な揺らぎと静寂の底の穏やかさが絶妙に共存しているんだな。聴いていて素直に良いアルバムだと思える。





金曜夜の検索ちゃんのネタ祭りに昨日のM-1とその後の配信の打ち上げと、最高に楽しめた週末だった。それに備えて今年最後の休暇を今日取っておいて正解でした。
積み上げた自信と冷静な客観、正確な自己評価が望外の最高の結果を生んだのだな。

クリスマス気分は全て吹っ飛んでしまったので、今朝慌ててウィーザーとマイ・モーニング・ジャケットのホリデイ・アルバムを聴きましたとさ。
今日もよく晴れた美しい朝でした。

あと3日、なんとか歯を食いしばってでも乗り切ろう。

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