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New York Dolls / Too Much Too Soon (1974)

「遅れてきたグラム・ロック」「早すぎたパンク」として伝説的なニューヨーク・ドールズの本質は、あくまで純粋でストレートなロックンロール。

初期ストーンズのようにオリジナルもR&Bのカヴァーも丸ごと飲み込んで自らのロックンロールとして吐き出す本作は、彼らの本領発揮のセカンド・アルバムにして最後のアルバム。

ヴォーカルのデヴィッド・ヨハンセンとギターのジョニー・サンダースの2人のソングライティングをメインに、ときにヘロヘロしながらもスタジオ・ライヴの生々しさと荒々しさが迸る、芯のある演奏で勝負している。

前作はモリッシーやラモーンズ、”セックス・ピストルズの仕掛人”マルコム・マクラーレンらを動かしたが、本作はエアロスミスやガンズら後のHR/HM勢に刺激を与えた。

わずか2枚のレコードのみでバンドは分裂してしまったが、潔いくらいにあっという間にロック・シーンを走り抜けた彼らが蒔いた(というか撒き散らした)種は、確実に70年代中盤以降のロック・バンドに引き継がれた。



ファーストはとにかくポップなロックンロールって印象だったけど、このセカンドはパンク寄りかな。
あと数年後に出てきてたらパンクといえばピストルズよりドールズだったのかも…英米のパンク・ムーヴメントの時期に違いもあるし、そもそもドールズの影響下にピストルズが生まれたわけだけど。
何よりドールズには曲に乗せて歌うべきことがさしてなかったんだろうけど、それもまた純粋に音楽的に楽しめる要因でもあるわけで。
「べき論」に与することなく、難しいことは一切抜きに、自由にロックして奔放にロールする。ただそれだけ。その潔さがいいんだよなあ。

瞬間風速的に破れかぶれに輝き、あえなく儚く散っていった伝説。

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