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Pulp / Countdown 1992–1983 (1996)

”ブリットポップ”を代表するバンドであるパルプのブレイク前、インディーズ時代の音源をまとめた2枚組編集盤。

時は70年代末(!)、15歳のときに前身バンドを結成し、以降80年代から90年代初頭まで、陽の目を見ない十数年間を過ごしてきたジャーヴィス・コッカー。
シアトリカルでドラマティックな歌声と、知性と皮肉と色気と哀愁を同じだけ含んだ佇まいに、ブリティッシュ・ロックの正統ともいえる美しきメロディ・ラインと、ボウイとヴェルヴェッツのエッセンスを優美に共存させた”UK好み”のスタイルは、当初から変わらない。
そしてブリットポップとともにブレイクするに至っても本質は変わっていない。
彼自身は初志貫徹のまま、時代の方が彼の前に現れたのだ。

タイトルどおり、無名時代の1992年からデビュー当初の1983年まで、パルプ(=ジャーヴィス・コッカー)の歴史を遡る本作は、危なっかしいぐらいに不安定なシンセ・ポップから、ルー・リード風の妖しく朧げに揺れるポップ・ソング(ディスク1の⑦以降はその最たるもの!)まで、浮世離れした立ち振る舞いで一人延々と歌い続けるジャーヴィス・コッカーを楽しめる貴重な作品。



パルプといえば"Common People"だし、「Different Class」なわけで(「This Is Hardcore」もかなり好き)、売れない無名時代の初期インディーズ・アルバム3枚にはなかなか手が伸びず・・・。
そんな時にこの2枚組コンピレーション盤がかなり役立った。シングルも含めて過去作が20曲も入っている。
カウントダウンの名目で時代を遡っていく形式も、タイトル・トラックのシングル版と延長版で最初と最後を挟む構成も面白い。

個人的には2枚とも終盤の曲が好きかな、と思ったら1st&2ndアルバムからとのこと。80年代のパルプも良いんだね。



今の職場環境も今月で、来週で終わる。
何かと周囲にも自分自身にも違和感を感じ、ことあるごとに悩み悶え、30歳半ばにして仕事自体というより、それを通して自分自身に苦しめられた2年間だった。
逃げ場を探すことを旅路だと思ってここまでやってきた。

同時に、あらためてボンネットを開けて自分と向き合う(あるいは折り合いを付ける)時機となったのも事実で、なかなかにハードだったけれど、でも弱さを把握できたことで気は楽になった。

見栄で生きるのはやめた。はずなのに、いつの間にか頭を擡げてきやがる。
でも、わかってはいるんだ。他人軸で生きても人生の最高の瞬間を得られないことは。
そこにあるのはファッション感覚の優越感だけだってことは。

色々と考えたけど、やっぱり僕がすべきことはシンプルで、多種多様な人と会って話すことなのだろう。心が揺れる瞬間を見逃さずに。
そして脳内世界だけでは辿り着けない領域に向かわなければならない。

よし。
眠ろう。

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