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Eagles / On The Border (1974)

タイトルどおり「境界線上(=過渡期)」にあったイーグルスが、デビュー作から彼らを手掛けてきたプロデューサーのグリン・ジョンズと制作途中で袂を分かち、新メンバーとして、バーニー・レドンの旧友でありスライド・ギターの名手ドン・フェルダーを迎え、ロック色を強めた変革のサード・アルバム。

新加入のフェルダーのスライド・ギターをフィーチャーした①や⑨、次作の路線を予感させる新境地をみせたファンキーな⑤、トム・ウェイツのカヴァーの⑦、ランディ・マイズナーのハイ・トーンで透徹したヴォーカルが光る③や⑧、王道のロックなギターが鳴り響きグレン・フライのロック・ヴォーカルが光る⑥、ドン・ヘンリーが極上のバラード・シンガーぶりを聴かせる②と⑩(これが初の全米No.1シングル)と多様だが、中でも白眉はバーニーが亡きグラム・パーソンズに捧げた④。珠玉のメロディと柔らかなヴォーカル、真摯で優しい詞、美しいサウンドとが折り重なる隠れた名曲だ。

盟友のJ.D. サウザーやジャクソン・ブラウンらとの共作もあるが、フライ/ヘンリーのソングライター・コンビの才能は進境著しく、新顔のフェルダーも随所にギターで貢献し、もちろんランディとバーニーも健在で、イーグルスのディスコグラフィにおいては若干地味ながらもメンバー4人+初顔1人それぞれの個性が表れるとともにバンドとしての調和や均衡も取れている。

この後、カントリー・ロックとしてだけでなく、ウエスト・コースト・ロック、ひいてはアメリカン・ロック全体を代表するバンドとなっていく彼らにとって重要な転換点となったレコードであるが、一方でバンド内のバランスや”民主制”が保たれた最後の作品でもある。




2日遅れたが、リリース50周年を迎えたイーグルスの3rdアルバムを。
メンバーそれぞれの個性も楽曲ごとのバラエティも豊かな意欲作。ジャケットはどこか「一富士二鷹〜」を思わせる。

本当に才能に溢れたメンツが揃ったバンドだったんだなと思う。
音楽性も4人のシンガーの歌唱スタイルも声質も多様で、色々な要素をアルバムに持ち込めるのは大きな強み。
ここから一気にアメリカ屈指の人気バンドへと大化けしていく。

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