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地下鉄の治安、そして街角トラップ

【ロサンゼルス紀行#6】

目覚めると、何やら聞こえる。外で誰かが奇声を発している。そんなロサンゼルスの朝。

今日はついにエンゼルスタジアムに行くわけだが、試合はナイターなのでまだまだ時間がある。日中のうちに、夫が必ず行きたいと言っていたもう一つの博物館、ロサンゼルス自然史博物館に行くことにした。

昨日、朝食の会計が7,000円だったことで震え上がった我々、この日の朝食はホテルのロビーで売っていたサンドウィッチで済ます。

バスでの移動を無事にこなして多少度胸がついたので、今日は地下鉄に挑戦することにした。こちらもバス同様、運賃は1.75ドルと激安。それ故に治安が悪い、バスよりも悪いとの情報。ロサンゼルスの地下鉄路線は、レッドライン、ブルーライン、など主に色の名前がついている。ネットで調べると、あるサイトには「ブルーラインとグリーンラインは危険」と書いてある。かと思えば、在米YouTuberは「近年レッドラインの治安が最悪」と警告している。明確にどの路線がヤバいとかでなく、全体的にヤバいと思って臨むしかないようだ。かなりビビってはいるが、交通費を節約したいという貧乏根性で己を奮い立たせる。

我々のホテルはショッピングセンターに併設されており、その地下が地下鉄の駅になっている。スタバとテラス席のある広場を抜けて、地下へと降りる。

地下の雰囲気は日本とさほど変わらない。もっと荒廃した雰囲気かと思ったが、公共交通機関の駅として形はそれなりに保たれている。多少ゴミが落ちている程度。もっと治安の悪い地域の駅に行けばまた違うのかもしれないが、少なくとも我々が利用した駅はそんな感じだった。ただ日本ならこの朝の時間帯は通勤客でごった返しているはずだが、前述のようにロサンゼルスは圧倒的車社会。ホームに行くとまばらに電車を待つ人がいる程度で、駅員がいるわけでもなく、活気は感じられない。独特のどんよりした雰囲気。

ちなみに、乗る時はタップカードという交通ICを使う。駅でカードの発行もできるし、スマホのアプリもある。バスもそれで乗れるので、昨日バスに乗る時にアプリを入れた。クレジットカードを紐づけてチャージする方式。改札にかざすと通れるのは日本と同じだが、残高は表示されない。考えてみると、残高表示って自分の懐具合を悟られてしまうわけで結構危険だ。あれも日本が安全だからこそできるのかもしれない。

予習した情報によると、ロサンゼルスの地下鉄は日本の電車のように乗ってから車両間を移動することはできない。なので、その車両にヤバい人がいないことを確認してから乗るのが大切らしい。まあ途中でヤバい人が乗ってきたらどうしようもないわけだが、とりあえず可能な自衛としてはそうらしい。電車がきて、通り過ぎた車両にちらっと見えたのが、居眠りというにはあまりにも非常事態な感じで座席からだらりと体を垂らしている男。明らかに正常な状態ではなさそう。治安が悪いと聞くと、暴れ回る危険人物をイメージしてしまうが、こういう静の治安の悪さもあるのだと知る。珍しく小さい子どもを連れたお母さんがいたので、同じ車両に乗った。子を守るお母さんの安全に対する嗅覚に託した形。

椅子は二人掛けが左右にあるタイプ。日本の電車によくある横並びの座席だと正面の人と目が合った時に何かが勃発しそうだから、治安が悪いならこの方がよさそうだと思った。そしてバスと同様、たぶんマリファナであろう変な匂いがする。この匂いは街を歩いていてもふと漂ってくることがあった。吸っている人がそこら中にいるのだろう。

バスの乗客にもいたが、小型のスピーカーでズンズン系の音楽を爆音で流している人が途中で乗ってきた。街中でも割と見かけたが、こういう人は危険人物なのだろうか。音楽を鳴らしている以外、おかしな様子はない。どういうつもりでズンズンしているのだろう。単純に「俺が聴きたいから」なのか、それとも「俺がチョイスしたズンズンを聴けえ!」というDJ的な気持ちがあるのか、受け取り方に悩む。今回はたまたま一人しかズンズンしていなかったが、もしズンズン同士が同じ車両で鉢合わせしたら一悶着ありそうだ。

地下鉄車内

無事、目的の駅に到着。ロサンゼルス自然史博物館は大きな公園の区画内にあった。外のテントで料金を支払い、館内に入る。

一番凄かったのは、やはり恐竜。夫と出会ってからというもの、私も博物館に行く機会が増えたが、日本の博物館にある恐竜の骨格標本は大抵の場合レプリカである。いや、レプリカも大量生産できるわけではないので十分凄いらしいが、このロサンゼルス自然史博物館に展示されている恐竜はその多くが本物の骨の化石で組まれているというのだから驚きである。夫は「あっ、〇〇博物館にあるレプリカの実物……!」とか、「こっ、これはよく図鑑に載ってる首長竜が胎児を抱えてる超有名な化石……!」などと終始専門的に感動していた。一方、私は夫に逐一「これは本物? レプリカ?」と聞き、レプリカなら「はん、レプリカか」と吐き捨てる、無学のくせに本物志向のうざい奴ごっこをして遊んだ。

日本では一体いるだけでも恐竜キッズたちにキャーキャー言われるティラノサウルスが、ワンフロアに幼体から大人まで三体も並んでいたりする。しかも本物の骨の化石が使われているというのだから、日本の恐竜キッズたちにとっては夢の光景であろう。無学のくせに本物志向のうざい奴ごっこをして遊んでいる場合ではない。

ちなみに私が一番ブチ上がったのは、このオオナマケモノ。たぶん世界最古の漫才師。

なんでやねん

博物館を満喫し、地下鉄でホテルのあるダウンタウンに戻った。ちょうどお昼だったので、徒歩圏内にあるハンバーガーショップに行くことにした。

歩いていると、うんこに遭遇した。ロサンゼルスに来てから、我々は何度もうんこに遭遇している。話し合った結果、これらは犬のものではないとの結論に達した。ホームレスや薬物中毒者が多いと、こういうことになるのか。隅とかでなく、普通に歩道のど真ん中に落ちているから危険度が高い。ゴミもかなり落ちている。街角トラップ多数。足元には注意が必要だ。

海外から日本にきた旅行者にインタビューするYouTubeを見ていると、皆が口を揃えて言う。「日本は街が綺麗すぎる!」そして「ゴミ箱がないのにゴミが落ちていない、不思議!」。それを「へー」と思って見ていたが、今回ロサンゼルスに来て、やっと意味がわかった。街には大袈裟でなく、一区画ごとにゴミ箱が設置されてのに、なぜか街がゴミだらけなのだ。ゴミはゴミ箱へが刷り込まれている日本人からすると本当に意味不明な光景である。

Five Guysというハンバーガーチェーンへ。二人ともチーズバーガー、サイズはリトルを選択。本来であれば私も夫もわざわざ小さいサイズの食べ物を選ぶという発想を持たない大食い人間なのだが、ここはアメリカ。昨日の学びを活かして、戦略的リトル。

無料のトッピングがたくさんあって、全部入れることもできるし、好きなものだけ増やすこともできる。せっかくなのでトッピング全入れを選択。そしてマッシュルームに魅せられ中の私はグリルマッシュルームも追加した。

リトルでもかなり大きかった。リトルにしておいてよかった。我々もだいぶアメリカのボリューム感を計れるようになってきたじゃないか、と互いに肩叩き讃え合う。そして、うまい。包みがアルミホイルなのも良い。

リトル?


続く。


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