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圧倒的な情報量でぶん殴る。それがサイバーパンク【俺GOTY2020】

どれだけ俺が“気に入ったか”。それが“俺ゲームズ・オブ・ザ・イヤー”のすべてである。そして最終的に候補は2作に絞られた。

『Ghost of Tsushima』『サイバーパンク2077』か。

基本的に俺が好きなのは、世界観がガッツリ作られていて、世界の広がりを感じるもの。そして、SFやファンタジーといった、現実から離れたもののほうが好みだ。

そういう意味でも、史実がベースにあるとはいえ、海外のスタジオが作った“和風ファンタジー”である『Ghost of Tsushima』と、ザ・サイバーパンクな世界観で作られた『サイバーパンク2077』は、その世界観だけで満点である。

サイバーパンク2077_20201228204505

記事タイトルからわかる通り、結果的には『サイバーパンク2077』に決めたわけだが、その理由の前に『Ghost of Tsushima』やほかのちょっと悩んだ作品についても紹介しておこう。


『Ghost of Tsushima』は過去の文化・価値観を重んじる思想と、それに囚われていては本当に守りたいものを守れない現実の二律背反を描いた物語も良かったが、特に戦闘が気持ちよかった。

時代劇には明るくないが、制作の参考にしたというだけあって、敵を斬って捨て斬って捨てができる爽快感と、それでいて油断すると一気に持っていかれない斬り合いの緊張感の両立が心地いい。

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同スタジオの手がけた『インファマス』シリーズは、“悪くないゲームだけど突出した魅力に乏しい”と感じていただけに『Ghost of Tsushima』にはそこまでの期待はしていなかったのが正直なところだったが、本作はいい意味でそれを裏切ってくれた。

登場人物たちも魅力的だ。過去の日本がベースになっているので、多くの人物の考え方や価値観は間違いなく古臭い。のだけど、だからこそ主人公の仁の葛藤が映える。民族や個人の価値観、本音と建て前、呪いからの脱却などなど、さまざまな面で精神の自立性を説くようなシナリオは、今風のゲームとしてかなり洗練されているように思う。

あと単純に、風景が良い。もちろん完全に日本を再現しているわけではなく、“日本っぽい国”の風景なのだが、すべてが美しくて歩いてスクリーンショットを撮っているだけで時間が溶けていく。いいオープンワールドゲームは、ファストトラベルを使いたくなくなるくらい歩いていて楽しいゲームだと、個人的には思っている。

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ちなみに『サイバーパンク2077』の日本語などにも該当するが、こういった“日本っぽい国”の表現は、リアルではないことをある程度わかってやっていると思われる。いつまで経っても“らしく”作れないのではなく、彼らが考える“クールなオリエンタルな雰囲気”の具現化だ。日本人が作るファンタジーでも、現実的でない鎧を着せたり、大きすぎる武器を持たせたりとか、日常茶飯事だしね。


さすがに前述した2作と張り合うまでには至らなかったものの、個人的に推したいゲームとしては『STAR WARS スコードロン』もあった。

世界観については説明不要だろう。スペースオペラの代表的作品である『STAR WARS』ゲームのひとつで、宇宙によるスターファイター同士のドッグファイトにのみ絞った作品だ。

最高だったのは原作の設定をなるべく再現しようとしている姿勢と、ファンサービスが多い点。『STAR WARS』は大人気作品だけあって、映画だけでなくドラマや小説、ゲームなどでそれはもうめちゃくちゃ膨大な設定がある。ディズニー傘下になったことで設定が一回整理され、レジェンド(今は正史扱いとはされない)になったものも多いが、それでもヤバイ物量だ。反乱同盟軍側の部隊長にミンバニーズを据えるとか、意味わからなくて興奮する。

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スターファイターの原作再現でいえば、TIEファイターにはシールドがないとか、シールド持ちの機体はシールドの配分を前面と背面に振り分けられるとかがあり、明らかにフライトシューティングとしての難易度は上がっているのだが、『STAR WARS』ファンはこれだけで全身の毛穴から涎をまき散らすので問題ない。

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という惜しい2作があったのだが、年末に世界の期待を一身に背負って登場した『サイバーパンク2077』が俺GOTYをかっさらって行くことになる。

それでは、俺がそこまで『サイバーパンク2077』に魅せられた理由について語っていこうじゃないか。

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