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ネタバレ無しで語る『FF14』のあらすじ。間近に迫る決着の瞬間を、光の戦士となって待ち受けよう!

先日、日本きってのMMORPGである『ファイナルファンタジーXIV(FF14)』の新拡張『暁月の終焉』が発表された。

これは大ごとだ。なんせ、これからも続いていくとはいえ、現在描いている『FF14』のメインストーリーが、ひとまずのフィナーレを迎えるということだから。

10年。……『FF14』は、リアル時間にして10年をかけて、大きな一つの物語を紡いできた。それが2021年で完結しようとしている。こんなビッグイベントに、プレイヤーとして参加しないのは勿体ない。

何より『FF14』のストーリーはべらぼうに面白い

実際、「『FF14』のストーリーはスゴい」という話はちらほら聞いたことがある人も多いのではないだろうか。でも、実際に何がスゴいのかは、正直ちょっと説明しづらい。

というのも、『FF14』のストーリーの魅力は、伏線やキャラ同士の関わり合い、内面描写などをストーリーの進行具合に合わせて摂取することで化学反応を起こし、極大の快楽物質を放出するように作られているからだ。簡単にいえばネタバレのアリナシで、けっこうインパクトが変わってしまう。

それを体験している……そしてこれからの光の戦士にも同じ感情を体験してもらいたいがために、先輩光の戦士たちはうまいことボカして伝えようとするのだ。もちろん、俺もまったく同意なので、この記事でもそれはもう徹底的にボカしていく。

なので、「とりあえずやってみたって」と言えれば一番いいのだが、時間もかかるMMORPGをノリで触るようなヤツは、すでに『FF14』をプレイしているに違いない。していないなら今すぐインストールして遊んできたまえ。

つまるところ、今回の記事を見せたいのは「気にはなっているけど、自分の好みの話かどうかもわからないし、それだとMMORPGをインストールするほどのモチベーションにはつながらないぜッ」と思っているような人たちだ。

そんな人たちのために、少しでも本作へのフックとなればと、『FF14』のストーリーラインを簡単に紹介していこうと思う。


エオルゼアを狙うガレマール帝国との戦いと、闇の使途“アシエン”の暗躍を描く『新生エオルゼア』

エオルゼア、というのは『FF14』の主な舞台となる大陸、およびそこで生活する国家群の名前だ。プレイヤーは、このエオルゼアに降り立った1人の冒険者、という体で物語が始まる。

少し話は逸れるが、現在の『FF14』の基本パッケージは『新生エオルゼア』という副題だ。その名が示す通り、エオルゼアは一度“生まれ変わって”いる。

じつは最初期の『FF14』はゲーム的な評判がすこぶる悪く、一度ゲームを停止して徹底的な作り直しが行われた。なので、“2.0”とも呼ばれる『新生エオルゼア』は、まさしく新生した世界なのだ。とは言っても、作中の世界観はそのまま引き継がれている。

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この“世界の作り直し”を、物語とどう折り合いをつけたのか。これは、月の衛星(古代人の残した人工天体)を落とすことでとりあえず大陸ごとぶっ壊したことで成し遂げた。スケールがでかい。物語としては、エオルゼアに侵攻を開始したガレマール帝国による作戦、ということになっている。

残念ながらこの物語は今は体験できない。プレイできたのは『新生エオルゼア』になる前の、初代『FF14』を遊んでいた人たちだけだ。

しかし、このガレマール帝国の侵攻と世界の崩壊はトレーラーで公開されている。エオルゼア同盟軍とガレマール帝国との戦場シーンや、月の衛星の落下。それを阻止しようとする有名NPCたちの奮闘など、見どころは満載だ。

前もって見ておくと、ゲームを始めたあとにNPCたちが「あのときのガレマール帝国との戦いは~」とか「第七霊災は~」とか言い出しても、「あぁ、あの話ね、知ってる知ってる」としたり顔できる。

なお、第七霊災というのは上記の月の衛星落下事件による大災害のこと。この世界では文明崩壊レベルの大災害を“霊災”と呼ぶ。つまり、『新生エオルゼア』のために起こった規模の災害が過去に6回もあったということだ。恐ろしいね。


さて、ここからがようやくアナタたちがこれから訪れることができる『新生エオルゼア』の話だ。

最初に言ったように、プレイヤーの分身である主人公は、エオルゼアの主要三国のうちいずれかから冒険を始めることになる。

オープニングですでに予兆が現れるのだが、主人公は“超える力”と呼ばれる特殊な能力に目覚めた冒険者だったりする。それもあって、依頼をこなしているうちに大きな流れに飲み込まれていくのだ。

具体的には、引き続き継続しているガレマール帝国のエオルゼア侵略問題や、各地で三国を悩ませる蛮族問題などなど。

蛮族は亜人と言えばわかりやすいだろうか。コボルドやサハギンといった、動物と人が合わさったような、いわゆるモンスター種族を指す。彼らは人間と敵対しているため、主要国家は蛮族の相手をしながら、ガレマール帝国と戦わなければならないという二面作戦を強いられている。

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加えて先の霊災以来、内部に問題を抱えている国家も多い。こういった多方面の問題に対処する政治劇的な部分も、『新生エオルゼア』ストーリーの見どころだ。きっと、「国を治めるのも大変だな」と思うだろう。ただ勇者を呼び出して、魔王を倒してこいというだけでは済まないのである。

そしてこの冒険を通じて、主人公はただの冒険者から光の戦士へと目覚めていき、エオルゼアの旗頭として頭角を現していくことになる。


千年に渡る人とドラゴンの戦争の終結を紡ぐ『蒼天のイシュガルド』

MMORPGはサービスを続けていくにあたって、次々に新要素を追加していく。簡単な要素であればアップデートで十分だが、新しいストーリーやエリアの追加といった大規模な追加は、拡張パッケージの販売という形で行われることがほとんどだ。

『FF14』も2年ごとに拡張パッケージを販売し、その都度ストーリーとエリアの拡張、レベル上限の上昇や新ジョブの追加などが行われている。

初めての拡張パッケージである『蒼天のイシュガルド』では、エオルゼアの中央部にある山の都・イシュガルドを主な舞台とした物語が展開されていく。

イシュガルドは閉鎖的な国で、これまでエオルゼアの主要三国とは国交を絶ってきた。というのも、イシュガルドはドラゴン族との1000年にも渡る永き戦いを繰り広げており、他に構う余裕がないというのが建前としての理由だ。

そう、建前だ。ドラゴンと人間の確執、貴族と平民との格差、国を治める国教の腐敗など、イシュガルドはイシュガルドでなかなかにいろいろな問題を孕んでいる。『蒼天のイシュガルド』で描かれるのは、こういった種族、考え方、立場の違いからくる断絶と相互理解だ。

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伝統という名の呪いや思い込みで凝り固まった思考をほぐさなければ、より良い未来は訪れない。その事実を受け止められるのか。仮に受け止められても、溝は一瞬では埋まらない。そういった牛歩の如き……しかし着実な進歩を丁寧に描いてくれる。

加えて、冒険者が基本的に1人で行動していた『新生エオルゼア』と違い、旅を共にする仲間と各地を巡るロードムービー的な側面も魅力的だ。ファンタジーの代表格とも言えるドラゴンに焦点が当たることもあって、おそらく『FF14』のストーリーのなかでも、屈指の王道ファンタジー感を楽しめるはずだ。

トレーラー冒頭にも注意書きが入るが、『新生エオルゼア』の微ネタバレが若干挿入されているので、閲覧は自己責任で。個人的に『FF14』のトレーラーは、これが一番カッコイイと思う。


ガレマール帝国属国の解放戦争に身を投じ、エオルゼア外まで活動場所を広げる『紅蓮の解放者』

拡張パッケージ第2弾は『紅蓮の解放者』だ。

『新生エオルゼア』のストーリーで、ガレマール帝国の侵略は食い止めたものの、依然としてガレマール帝国は強大であり、世界各地には属国や属領が残されている。

『紅蓮の解放者』では、そういった属国に焦点が当てられており、光の戦士やエオルゼアの各国が介入することで、ガレマール帝国からの解放運動へとつながっていく。

物語の作りとしては戦記物的で、これまでのストーリーと比べても、人間を中心とした戦争を深堀りしている。また、属国となった国で生まれたもの、暮らした者の葛藤や、外からの彼らへの感情といった、戦争による物理的・精神的被害者たちの身の振り方も描かれており、話によってはなかなかに心に来るものもある。

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『蒼天のイシュガルド』もそうだが、『FF14』のストーリーは綺麗なものだけを描かない。世界描写や人の感情、そしてその行き着く先までを説得力を持たせて丁寧に描写するからこそ、これまでの高い評価を受けているのだと思う。

なお、全体的に話が重い自覚があるのかはわからないが、ちょっとコミカルな演出も多い。さらに、深掘りされるキャラクターの数は『蒼天のイシュガルド』以前に比べてかなり増えたように思うし、この辺りから物語だけでなく、キャラクターのパーソナリティーをより魅力的に描くようになった。


ついに世界の壁をも突破し、アシエンの誕生の秘密と、その正体にも迫る『漆黒の反逆者』

『蒼天のイシュガルド』の頃から『FF14』のストーリーの評価の高さは注目されていたが、それを確固たるものとしたのは、間違いなく3つめの拡張パッケージ『漆黒の反逆者』だろう。

ガレマール帝国から属国を解放した光の戦士は、今度はもろもろあって別の世界へと渡ることになる。流行りの異世界転生みたいなものだね。転生はしていないけど。いきなり何を言っているんだとなるかもしれないが、実際にそうなのだから仕方ない。

じつは『FF14』の世界は、もともと1つの世界だったが、大昔のとある事件によって14個に分裂してしまっているのだ。一応このあたりの話も本編をプレイすれば聞くことになるので、今は「へ~、そうなんだ~」と思ってくれればそれでいい。

とにかく、光の戦士が別の世界に渡り、その世界を救うのが『漆黒の反逆者』のメインストーリーとなる。

これだけだとなんで『漆黒の反逆者』の評価が高いのかがまるで伝わらないので、少し補足しよう。

この転移先の世界でも、それはもういろいろな事件が発生する。それらの事件を進めるうちに、少しずつパズルのピースが揃ってくるのだ。そのパズルとは、アシエンとは何者で何を目的にしているのか、ということ。そう、長らく暗躍を続けてきた闇の使途たちの正体が、ついに判明することになる。

それだけではない。『漆黒の反逆者』では、重要キャラクターとしてアシエンの1人である、アシエン・エメトセルクが登場する。しかも、これまでのアシエンと違いコソコソせずに、積極的に光の戦士と話をしようとしてくる。そんな悪役、今まで見たことがあるだろうか。

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この怪しくも憎めないアシエンの存在がめちゃくちゃ良いスパイスになっている。アシエンの目線で見た世界がどう見えているのか。なんで彼らがそれを成そうとするのか。そんな重要事項を、こちらの出方を伺いながらとはいえ、直接教えてくれるんだもの。

“悪”を倒して世界を救う。その意味や責任を考えたことがあるのか。そもそも彼らは本当に悪なのか。そして託す者と託される者。そういったテーマで、感情の行き場をあっちこっちにブン回してくるのが『漆黒の反逆者』のストーリーだ。RPGにおける屈指の名シナリオだと思うので、ぜひプレイして頂きたい。たぶん泣く。俺は泣いた。

ちなみに、物語終盤のとある戦闘開始時の演出は、MMORPGが好きな人は間違いなく感心し、全身鳥肌まみれにするほどの破壊力を持っている。MMORPGをやっていてよかった。


これまでさまざまな事件に挑んできた光の戦士だが、その陰には基本的にアシエンの暗躍がある。『漆黒の反逆者』で彼らの正体や目的をつかんだものの、未だに決着はついておらず、幾ばくかの秘密も残されている。

この因縁に決着を付けるのが、今年末に発売予定の最新拡張パッケージ『暁月の終焉』なのだ。

まだまだ時間はある。今から始めても、余裕で最新ストーリーまで追いつける。もし『FF14』に興味を持っている人がいるなら、まさに今が始めどきだ。


自分の分身で物語に没入できるという贅沢さ

最期に、俺が『FF14』でめちゃくちゃ好きなところを1だけ挙げておこう。

それは、自キャラがこれでもかというほどカットシーンに登場するということだ。

これまで数々のMMORPGをプレイしてきたが、『FF14』ほど自キャラに愛着が沸き、物語にのめり込めたゲームは他に知らない。

もちろんシナリオのクオリティの高さは理由としてある。MMORPGは基本的にシナリオにそこまで力を入れないのが普通だ。これは設定を作り込む、込まないの話ではなく、プレイヤーを物語に没入させようとしているかどうか、という話だ。

上記の通り、『FF14』ではカットシーンが多用される。つまり、自分で作ったキャラが身振り手振りでNPCたちと会話し、ときにはカッコイイアクションを披露し、驚き、笑い、悲しむ。

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『FF14』のキャラは表情がすごい多彩

自分のキャラクターが、ちゃんと1人の登場人物として描かれる。こんなに嬉しいことはない。NPCたちは、ゲームの主人公という概念に話しかけているのではなく、この世界に存在する光の戦士に話しかけているのだ


MMORPGである『FF14』は、通常のRPGとは異なり、多くのプレイヤーで世界を共有する。確かにMMOである以上、ストーリーの最初から最後まで1人だけで完結できるわけではないものの、お話を楽しむことが中心であれば、そこまで密なコミュニケーションが必要ないように作られている。なので、ぜひ臆さずに飛び込んでみて欲しい。

困ったことに、なんと『蒼天のイシュガルド』部分までは無料トライアルで遊べてしまう。つまり、無料で遊べるとこまで遊んでから、続きをプレイするか決める、なんてこともできちゃうわけだ。困った困った。


“自分が物語の主人公になる”なんてのは、それこそ使い古されたフレーズだとは思うが、ここまでしっかり主人公にさせてくれるMMORPGは、俺は他に知らない。

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