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小説「転職王」第六話 ECプラットフォーム企業SOSO

佐藤はSOSOのシステム部長として転職し、新しい職場で早速活躍を始めました。

EC企業のシステム部長

システム部長の仕事は多岐に渡ります。

  1. システム戦略の策定: 企業全体のシステム戦略を立案し、経営陣や他部門と連携して実行に移す。

  2. システム開発・導入: システム開発や新技術の導入を計画し、必要なリソースを調達・管理する。

  3. システム運用・保守: システムの運用・保守を監督し、パフォーマンス向上やセキュリティ対策を実施する。

  4. プロジェクトマネジメント: 各種プロジェクトの進捗管理やリスク対策、品質管理を行う。

  5. 予算管理: システム部門の予算策定や運用、コスト管理を実施する。

  6. チームマネジメント: 部下の育成や評価、コミュニケーションを円滑に行う。

  7. ベンダー管理: 外部ベンダーとの契約交渉や連携、評価を行う。

  8. 業務改善・最適化: 業務プロセスの改善や効率化を推進し、システムの最適化を図る。

  9. セキュリティ対策: セキュリティポリシーの策定や遵守、リスク管理を実施する。

  10. データ分析・活用: ビッグデータやAIを活用したデータ分析・活用を推進し、事業戦略に反映させる。

  11. 顧客対応・サポート: 顧客からの問い合わせやトラブル対応を管理し、顧客満足度を向上させる。

  12. コンプライアンス: 法令・規制や企業内ポリシーの遵守を徹底し、システム部門が適切に運営されるよう監督する。

  13. 業界動向の把握: IT業界やEC業界の最新動向や技術動向を把握し、戦略や方針に反映させる。

上記の4以降は今までの佐藤健二が獲得したスキルの応用で即戦力として活躍できました。
新たな挑戦としてのシステム戦略策定と開発に注力していきました。


クラウド化

御前会議

SOSOの会議室で、システム部門と物流部門の幹部が集まっていました。
芹沢(SOSO社長):「今回の会議では、企業のITインフラの再構築について話し合いたい。佐藤部長、どんなプランを考えている?」

佐藤:「はい、社長。私たちはクラウドコンピューティングを活用したITインフラの再構築を提案します。従来のオンプレミス環境からクラウド環境への移行がスムーズに行われることで、コスト削減と業務効率の向上が期待できます。」

河上(開発課課長):「しかし、オンプレミスからのリプレイスはリスクが大きいと思います。セキュリティやデータの取り扱いが心配です。」

白坂(運用課課長):「実は、先日、アメリカのクラウドプラットフォーム最大手のData Cloud社の日本法人代表、汐見さんの講演を聞きましてね。彼らのクラウドサービスはセキュリティも高く、信頼性も高いと考えます。」

有栖(物流部長):「そうは言っても、われわれ物流部門にとっては、オンプレミスで十分なんじゃないかと思います。」

佐藤:「有栖部長、確かにオンプレミスでも機能はしていますが、クラウド環境に移行することで、コスト削減や柔軟なシステム運用が可能になり、今後の事業拡大にも対応できます。
私も汐見さんとは前々職で参加したイベント登壇者同士で話した事があります。Data Cloud社のクラウドサービスは、グローバルに展開されている企業にも信頼されている技術です。」

芹沢(社長):「佐藤部長の言う通りだ。今後の事業拡大を考えると、クラウドへの移行は避けて通れない。
河上、白坂、あなたたちもこのプロジェクトに協力してほしい。」

河上(開発課課長):「承知しました。私も新しい技術にチャレンジすることは大切だと思います。」

白坂(運用課課長):「僕も賛成です。クラウドの活用は今後の競争力向上に繋がると思うから、全力でサポートします。」

芹沢(社長):「それじゃあ、佐藤部長、このプロジェクトを進めるために、各部門と連携し、Data Cloud社とも緊密に協力してほしい。」

佐藤:「はい、承知しました。全社を巻き込んで、クラウド移行プロジェクトを成功させるために尽力します。」


クラウド移行プロジェクト

クラウド移行プロジェクトの詳細な計画策定
佐藤は、プロジェクトの目標や期限を明確にし、各部門の役割分担や進捗管理を行うための計画書を作成した。

Data Cloud社との連携
佐藤は、Data Cloud社の汐見 裕氏と定期的なミーティングを設け、クラウド移行に関する知識やノウハウを共有し、移行作業のサポートを依頼した。

社内外のメンバーとのコミュニケーション
佐藤は、社内の開発課や運用課など関連部門と連携し、クラウド移行に伴う業務の変更やリスク管理について情報共有を行った。また、外部のシステムインテグレーターやベンダーともコミュニケーションを取り、移行作業を円滑に進めた。

新しい技術や手法の学習
佐藤は、クラウドコンピューティングの最新技術やツールを学ぶため、セミナーや研修に参加し、自らのスキルを向上させた。

システム部門のリーダーシップ
佐藤は、システム部門のリーダーとして、部下や関連部門をまとめあげ、プロジェクトの進捗や問題点を共有し、適切な対応策を立てた。

結果として、佐藤はクラウド移行プロジェクトを成功させるとともに、クラウドコンピューティングを活用したシステム戦略策定や、システム開発・導入の新たなスキルを獲得することができ、自分のキャリアにプラスになる経験を積むことができました。


命名:功

貴子の出産が近くなり、健二と貴子は、二人で息子の名前を考える日々が続きました。
貴子:「ねえ、健二。赤ちゃんの名前はどうしようか?」

佐藤:「貴子、息子の名前は『功』にしよう。努力や労力を重ねて成果を上げるという意味が込められているから。」

南野:「いいわね、健二。私もその名前、気に入ったわ。」


佐藤 功は無事に産まれました。

そんな幸せの中、佐藤健二の仕事は次第に難航し始めました。


リプレース

インフラのクラウド移行に続いて行われたECシステムのリプレースは当初は順調に見えました。

佐藤:「河上課長、新しいECシステムと既存のシステムの連携がうまくいかないという報告を受けましたが、どういう状況ですか?」

河上:「佐藤部長、そうなんです。新しいECシステムが最新技術を取り入れているのはいいんですが、既存のシステムとの互換性が悪くて、データのやり取りがスムーズにできないんです。」

佐藤:「予想外のトラブルですね。では、どうすればこの問題を解決できますか?」(まずいな、想定外だ)

河上:「正直、すぐに解決策は思いつかないです。ただ、新旧システムの橋渡しをするためのアダプター的なソフトウェアを開発するか、既存システムを改修して互換性を高める必要があると思います。」

佐藤:「どちらの方が効果的だと思いますか?」

河上:「アダプター的なソフトウェアを開発する方が短期的には効果がありそうですが、長期的には既存システムを改修した方が安定して運用できると思います。」

佐藤:「なるほど。では、両方の案を検討して、どちらがベターか判断しましょう。できるだけ早く解決策を見つけないと、システム全体が正常に機能しなくなるので、時間がないですね。」

河上:「かしこまりました。それじゃあ、早速チームに連絡して、どちらが現実的か調査してもらいます。」

佐藤:「お願いします。また、進捗があったら報告してください。」

数日後、佐藤と河上が再び会議室で話し合っていた。
河上:「佐藤部長、新旧システムの互換性問題について、チームと検討しました。結論としては、既存システムを改修する方が、長期的には安定して運用できると判断しました。」

佐藤:「良い判断だと思います。では、改修のスケジュールと費用はどれくらい見込まれていますか?」

河上:「改修には約2ヶ月の時間がかかり、費用は約2000万円程度見込まれています。ただ、これによって新システムへの移行が大幅に遅れることになります。」

佐藤:「そうですね。しかし、安定したシステム運用のためには、遅れを覚悟してでも改修するべきだと思います。社長に報告し、承認を得ましょう。」

河上:「かしこまりました。それでは、改修計画をまとめてきます。」

改修にかかる時間と費用が予想以上にかかり、システムリプレースのスケジュールが大幅に遅れることになってしまった。
この遅れは、SOSOの業績にも影響を与え、佐藤のプレッシャーはさらに高まっていった。

数週間後、佐藤は社長室で芹沢社長と対面していた。
芹沢:「佐藤部長、システムリプレースの遅れが業績に影響してきている。もっとスピードアップしてほしいんだが、どうなんだ?」

佐藤:「申し訳ありません、社長。確かにスケジュールが遅れていますが、予定通りの速さで進めるとシステムの安定性が損なわれる恐れがあります。
改修には時間がかかりますが、最終的には安定したシステムが完成すると考えています。」
(こんなに遅れるとは正直思っていなかったけれど)

芹沢:「そうか。でも、業績が悪化すると、社員のモチベーションも下がるし、お客様からの信頼も失う。システム部門だけでなく、他部門とも連携して、遅れを最小限に抑える方法を検討してほしい。」

佐藤:「かしこまりました、社長。他部門とも連携して、遅れを最小限に抑える方法を検討します。」

その後、佐藤は他部門とも連携し、システムリプレースの遅れを最小限に抑える方法を検討したが、結局遅れは免れず、業績の悪化に歯止めがかからなくなってしまった。

佐藤は忙しさにかまけて、家庭を放置し、帰らずに会社に缶詰になるようになりました。

佐藤:「すまない、貴子。最近、仕事が本当に忙しくて…。」

貴子:「分かってるわよ。でも、家庭もあるのよ。功くんもパパに会いたがってるし…」

佐藤健二の仕事が忙しくなるにつれ、次第に貴子との関係も険悪になっていきました。二人の間にはすれ違いが生じ始め、家庭の雰囲気も冷え込んでいました。
佐藤は、仕事と家庭の両立が難しくなり、どちらも十分に手が回らなくなってしまっていました。

佐藤健二は、自分の限界を感じ、仕事を辞めることを決意しました。
しかし、その決断を貴子に伝えると、彼女は佐藤の決断を理解できず、家族を犠牲にした佐藤の姿勢に失望し、離婚を求めました。

貴子:「生活のために給与の良いSOSOに転職したのに、こんな状況で仕事を辞めるなんて、家族をどうするつもりなの?もっと責任を持ってほしかったわ。」

佐藤:「ごめん、貴子。でも、これ以上頑張れない…。」

貴子:「じゃあ、こんな状況では一緒にいる意味がないわ。離婚しましょう。」

悲しい気持ちで家を出た佐藤は、これまで家族のために頑張ってきた自分を振り返り、どこで間違ったのかを考えました。

これから自分がどうやって立ち直るか、そして将来、功にどのように向き合っていくか考えることは山ほどありました。


佐藤健二は、再就職を決意し、転職活動を始めました。
しかし、過去に持っていた立派な経歴にもかかわらず、転職歴の多さとSOSOでの失敗が知れ渡っていたため、なかなか次の仕事は見つかりませんでした。

佐藤:「昔のようにすんなりと転職先が見つからないなんて…。SOSOでの失敗がこんなにも足を引っ張るとは思わなかった…」

佐藤は、自分の状況に焦りを感じながらも、転職エージェントやネットワークを活用して転職活動を続けました。
一方で、離婚して家族と離れて暮らすことになったことで、自分の過去の選択と向き合い、自分自身を見つめ直す機会を持つことになりました。

佐藤:「これまでの人生で大切だったもの、何を失ってしまったのだろう…。自分が本当に望んでいたのは、こんな結果じゃなかったはずだ。」

佐藤健二は、どうにかして自分の状況を打破しようと、磯野商事新卒時代からの親友で磯野商事では次長まで昇進していた栗原保に相談することにした。
佐藤:「クリハラ、久しぶり。1年以上ぶりか…いろいろ大変でな…」

栗原:「おお、健ちゃん!お前さんなんか顔色悪いなぁ。何でも言ってみいや!まぁ、飲もうや。」

佐藤は、家庭のことや仕事のことを栗原に打ち明けた。

栗原は、佐藤の話を真剣に聞き、共感しながらアドバイスをしてくれた。
佐藤の気持ちは軽くなったが、すぐに解決策が見つかるわけでもなく、悩みは続く。

佐藤:「それにしても、どうしたらいいんだろう…。何をしたところで、前に進める気がしなくて。」

栗原:「一歩一歩やで、健ちゃん。焦らんと。まずは、生活費を稼ぐ手段を見つけることやな。腹が減っては戦ができぬ。今日はわいの奢りや。」

生活費が底をつきそうになり、佐藤はやむを得ず栗原のアドバイス通り、アルバイトをしながら、ハローワークで仕事を探すことに決める。

佐藤:(クリハラの言う通り。まずは生活費を稼ぐことから始めよう。自分の力で何とかしてみせる。)

40歳のアルバイト

牛丼チェーン 吉田屋

佐藤健二は、連日のアルバイトで疲れた身体を引きずりながら吉田屋に到着しました。
彼は新しい人生を歩むため、まずは自分を鍛え直す必要があると感じていました。
吉田屋では、牛丼の調理や店内の清掃、接客など多岐にわたる業務をこなしていました。

佐藤健二: (今日も一日、昼は吉田屋、夜はオレンジマートで働くか…。頑張らないと。)

岩切店長: 「おはよう、佐藤。今日もよろしく頼むよ。忙しい時期だから、力を貸してくれると助かる。まずは以前教えた通りに牛丼の具材を切ってくれるか?」

佐藤:「はい、分かりました。全力で頑張ります。」

久保康生: 「はじめまして、佐藤さん!シフト一緒になるの初めてですね。僕は大学生ですけど、将来はアパレル関係の仕事に就きたいんです。今日は接客担当で、お客様のオーダーを受けたり、提供したりします。」

佐藤:「 おお、素晴らしい夢だね。若いっていいな。」

久保康生: 「佐藤さんも何か夢とかありますか?」

佐藤: 「うーん、今はまず働いて生活を立て直すことが目標かな。いつか、家族ともう一度やり直したい。」

久保康生: 「それもいい目標ですね。お互い頑張りましょう!」

佐藤健二は、牛丼の具材を丁寧に切り、鍋で煮込みました。その後、ご飯に具材を乗せ、タレをかけて完成させました。一方、久保康生は接客を担当し、お客様とコミュニケーションをとりながら、笑顔でオーダーを受け付けていました。


コンビニエンスストア オレンジマート

夜になり、佐藤健二は吉田屋の仕事を終え、今度はオレンジマートでのアルバイトを始めるために向かいました。
オレンジマートでは、レジ業務や品出し、清掃などの業務を担当する予定でしたが、まだ慣れていなかったため、照井店長や山田 瑠美に教わる必要がありました。

佐藤: (さて、夜のシフトはオレンジマートだ)「あの、照井店長、山田さん、まだ慣れていないので、教えていただけると助かります。」

照井店長: 「もちろんです、佐藤さん。今晩もお願いしますね。まずはレジの使い方から確認します。ポイントカードの有無を確認した後に、バーコードリーダーで商品を読み取り、金額を表示させてください。そして、お客様からお金を預かり、お釣りを返します。」
「自分のバッグを出すお客様もいるので、いきなりレジバッグは…と聞くのではなく、ある程度スキャンしても出すそぶりのない方だけに『レジバッグはお持ちですか?』と声かけしましょう。」

山田瑠美: 「お疲れ様です、佐藤さん。今日も一緒に頑張りましょう!私が品出しの仕方を教えますね。商品は陳列棚のラベルに従って並べ、在庫が少なくなったら補充してください。期限切れに注意して、新しい商品を後ろに置きましょう。」

佐藤:「 ありがとうございます。皆さんのおかげで、少しずつ慣れてきました。今日も一日、頑張ります!」

照井店長:「 それでは、それぞれの業務に取り掛かりましょう。佐藤さん、まずはレジ業務から始めてください。」

佐藤健二は、照井店長や山田 瑠美から教わったことを活かし、着実にスキルを身につけていきました。コンビニアルバイトも少しずつ楽しくなってきたことに、彼自身驚いていました。

佐藤: 「最近、コンビニの仕事も楽しくなってきましたよ。照井店長、山田さん、本当に感謝しています。」

照井店長:「 いいえいいえ、佐藤さんも頑張っているからです。これからも一緒に頑張りましょう。」

山田瑠美: 「そうですね、お互いサポートし合いながら、もっと成長しましょう!」

佐藤健二のアルバイト生活は順調に進み、彼は少しずつ自信を取り戻し始めました。
ある日、オレンジマートに東出 ゆかりという常連客が現れました。彼女は気さくなギャルで、中年である佐藤健二ともすぐに仲良くなりました。

東出ゆかり: 「あら、佐藤さんだ。最近よく見かけるね~。いつも元気そうで何よりだわ!」

佐藤健二: 「あはは、ありがとう。東出さんもいつも明るくて、元気をもらってます。」

東出ゆかり: 「そう言ってもらえると嬉しいわ。私も佐藤さんの笑顔で元気になるのよ。」


(栗原から電話が入り、飲みにいく佐藤)
栗原: 「健ちゃん、久しぶりやな。最近どうしとってんかな?ちょっと近況報告してや。」

佐藤:「 クリハラ久しぶりだな。実は、今は二つのアルバイトを掛け持ちしてるんだ。牛丼チェーンで働いて、夜はコンビニでバイトしてるんだよ。」

栗原:「さよか、大変そうやな。せやけどジブンやったら乗り越えられるさ。何か 力になれることがあったら言うてや。」

佐藤健二は、栗原 保や東出 ゆかりといった友人たちとの交流を通じて、少しずつ自分の居場所を見つけ始めました。そして、アルバイトを通じて得たスキルや経験を活かし、再び社会に戻る決意を固めました。

佐藤健二は、過去の失敗や離婚を振り返り、自分がどれだけ成長したかを実感しました。彼は元妻の南野 貴子や息子の功と連絡を取りたいと考え、何度もメールや電話を試みましたが、すべて梨の礫でした。彼はますます落ち込むようになりました。

佐藤健二: (どうしても連絡がつかない…。もう一度、家族としてやり直すことはできないのだろうか。)

佐藤健二は、コンビニエンスストア・オレンジマートと牛丼チェーン・吉田屋でのアルバイトを通して、会社員時代には持っていなかった様々なスキルを身につけました。彼は接客対応や在庫管理、調理技術など、多岐にわたる業務をこなすことで、柔軟性と協調性が向上しました。

そして、1年が経ち、仕事に慣れた佐藤は自分の人生に対して再び前向きに考えるようになりました。彼は新たなチャレンジを始めることを決意し、ハローワークに足を運ぶことを決めました。

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