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薬価ポジションに就きたい人に向けたキャリア戦略


こんにちは!JJ(@JJ_nhiprice)です。
こちらの記事に関心を寄せていただきありがとうございます!

私は現在、新薬メーカーに勤めている薬価担当者で、twitterで薬価制度の動向やまとめを発信したりしています。

薬価といえば、近年、2年に1回だった薬価改定が毎年改定されるようになりましたが、これをきっかけに製薬業界全体の先行きは怪しくなり、ドラッグラグや供給不安など、暗い話題を聞くことが増えたように思います。

製薬企業の職員に関わる話としては、大規模な早期退職募集等、事実上のリストラが連鎖的に生じているのも、薬価政策が引き締めに向かっていることが原因の一つだと考えています。
製薬企業に勤めている人、目指している人ならば、多かれ少なかれ業界の未来や自分自身のキャリアについて憂いた経験があるんじゃないでしょうか

この記事はこんな方に向けた内容にしています。

■ 今の製薬業界にいるのが不安
■ 製薬業界でのキャリア形成に迷っている
■ 薬価の仕事に興味がある
■ 薬価の仕事に就くにはどうしたらいいか知りたい

先行き不透明な製薬業界において、生存戦略として自身の市場価値を高めていかないといけませんが、その一つの道として、ここで私は薬価というキャリアを推奨します。

というのも、先程述べたように薬価政策が厳しさを増す中で企業が望むべき薬価を予測し、規制当局と価格交渉ができる薬価担当者の希少性は上がり続けているためです。
また、製薬企業の中は、営業やマーケティング等が所属するビジネスサイドと、研究、臨床開発等が所属する開発サイドに大まかに分けられますが、薬価担当者はこの両方をまたがった立ち位置であると言えるため、ビジネスに関心がある人も、アンメットニーズを解消する新薬を開発したいという人にもハマるというのも薬価担当者の魅力です。

本noteでは、製薬業界での将来のキャリアに不安や悩みを抱えている方に向けて、薬価という選択肢について紹介するとともに、製薬企業における薬価ポジションを目指すにあたっての具体的戦略を提供します。


はじめに

薬価担当というキャリアを推奨はする一方で、実際問題として薬価部門の採用はかなり限定的であり、こういった狭き門をくぐるには戦略と運が必要です。

ただ、ではいざ薬価担当になろうと思って戦略を練ろうとしても、世の中には薬価のキャリアに関する情報がほとんどなく、あっても表面的で抽象的な情報しかありません
薬価のキャリア情報が世の中にほとんどないため、そもそも薬価というキャリアを知らない、考えたこともない、という人が多く、仮に薬価キャリアに興味をもった人が出てきたとしても、なかなか情報を集められず情報不足に陥っている状況にあるのではないかと考えています。

本記事では、薬価ポジションに就くためのキャリア戦略について解説していきますが、これは実例や私の経験を基に記事にしています。
私のこれまでの生の経験をフルで盛り込んでいきますので、そこらにある抽象的で自己啓発的なキャリア形成論とは違って、現場感も込めて最大限具体化した内容になっています。
最後まで読んでいただくと、薬価キャリアを歩んでいくための必要なスキルやステップ等の情報を得ることができます

製薬業界において、この薬価という道は、私のこれまでの社会人人生において紆余曲折してたどり着いた道であり、本音を言えばライバルを増やしたくないという思いもあり、あまり教えたくない情報です。ただ、そうはいっても、医薬品業界を生きる我々は同僚であり、一蓮托生ですので、私の持っているノウハウを得る機会を提供します。

本記事を通して、医薬品業界を生きる方々、そして、これから医薬品業界に飛び込もうとしている方々の今後の生存戦略の参考になれば幸いです。


薬価の市場価値

本編に入る前に、薬価担当の市場価値について触れておきたいと思います。

薬価は医薬品産業の根幹であって、売上げや利益、ひいては職員の未来は薬価に大きく依存するといっても過言ではなく、また最近では、医療保険制度や医療経済の変化に伴って、改めて薬価に注目が集まっています。

少し例え話をします。
薬価ルールには市場拡大再算定というルールがあるのですが、簡単に言えば「たくさん売れている品目はその分薬価が引き下げられる」というもので、この市場拡大再算定では、適用されると10%や20%ほどの薬価が当たり前のように下げられます。(特例だと最大で50%下げられる可能性があります。)
市場拡大再算定が適用される品目は、何百億や何千億円規模の売り上げを持っているため、こういった品目の薬価が10%も20%も下げられれば、その分売り上げも10%、20%落ちるので、数十~数百億の損失が出る可能性があります。
したがって、大型品を持っている製薬企業はとにかく再算定を受けないよう必死になりますが、この再算定回避のための戦略を練るのも薬価担当者の仕事であり、薬価担当次第では、数十~百億の売上げが左右されるという規模感です。

このように、薬価が医薬品産業の根幹を担う重要なファクターであるものの、日本の薬価制度は歴史とともに度重なるルール改定が行われた結果、改定を経るたびに複雑化してきました。複雑すぎて正確にルールを理解できている人材は少なく、その重要性と複雑さゆえに薬価担当の市場価値は高いといえます。

また、今の薬価ルールの体系は、様々な利益団体などとの微妙な調整を経てきた結果なので、いきなり大きな改変や簡素化されることは想定されず、引き続き一定の需要は確約されていると考えていいです。
日本に医療保険制度が存在する限り薬価制度はなくなりませんし、仮になくなったとしても企業として価格戦略部門がなくなることはありません。
私は今の製薬業界のリストラの波においても会社から肩を叩かれる心配をしていませんし、仮にリストラにあったとしても次の職場を見つけることは容易だと確信しています。

それでは、薬価というキャリアに少しでも魅力や可能性を感じてくれた方は、ぜひ最後までご覧ください。

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