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ゲームの遺伝子 解析記録 vol.19 零

いつもご視聴いただきありがとうございます!ゲームゲノム・シーズン2、第9回「怖さを見つめる~ぜろ~」を担当させていただいたディレクターの矢部友貞です。この取材後記で、『零』シリーズさながら、番組制作中に起きた心霊現象や恐怖体験をお伝えしたい、と思って張り切っていたのですが…。残念ながら(!?)順風満帆、穏やかに完成してしまいました。そこで、放送では語られることのない番組制作の裏話をご紹介したいと思います。
 
まずは全面協力してくださったコーエーテクモゲームスの皆様、そしてご多忙な中、取材、打ち合わせ、本作にまつわる美術品のご手配、そしてスタジオ出演と多岐にわたってご協力いただいたゲームクリエイターの柴田誠さん、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

怖さを追求したスタジオで和気あいあいとトークをする3人
(左から堀未央奈さん、三浦大知さん、柴田誠さん)

さて、「まだ放送を見てないよ」という方々に向けて、まず簡単に『零 〜zero〜』(2001年)の説明をします。本作は“和風ホラーゲーム”というジャンルで、霊感の強い少女・雛咲深紅ひなさきみくを操作して、失踪してしまった兄を探すため、怪しげで廃屋と化した屋敷を(なぜかわざわざ夜に訪れ)探索し、謎解きを進めていくという内容になっています。そんなプレイヤーの前に立ちふさがり、襲いかかってくるのが屋敷にいる幽霊たちです。壁をすり抜けるわ、瞬間移動するわと、物理法則を無視してくる(ずばり実体が無い)ので遭遇したほうは大慌て。実体を持つクリーチャーと対するホラーゲームとはだいぶ異なるプレイ体験になっています。ここまで聞くと、「そんな無理ゲーある!?」と思うかもしれませんが、もちろん対抗策も用意されています。それが「カメラ(作中では『射影機』と呼ばれています)」です。このカメラを使えば幽霊をハッキリと見ることができるようになります。そして撮影をすると、銃でゾンビを倒すかのごとく撃退ができるという仕組みです。

襲いくる幽霊 カメラ視点

幽霊と対峙し、撃退していくことでストーリーをひもとき、少しずつ謎解きを進めていく、ホラーとアクション、それぞれの要素が楽しめる作品です。と、早口で本作の説明をまくしたてましたが、ここからは本題の制作裏話を紹介していこうかと思います。

【制作裏話】壱ノしずく~『零』を選んだ理由~

私にとってゲームは、小中高の大切な時期を支えてもらい、さまざまな作品のプレイ体験から友情や信頼、愛情、道徳など多くの価値観を学んだ、“人生の師”と呼ばせていただきたい存在です(もちろん今なおゲームから学びを得る日々を過ごしています)。特にホラーゲームが好きで、洋館でゾンビと戦う作品や、いまだに昭和が続いている謎の村に迷い込む作品、アメリカの静岡みたいなところで三角頭の人や看護師から逃げる作品などを学生時代からたしなんでいました。そのなかでも強烈に私の脳を焦がしてくれた作品が『零』シリーズでした。ホラーゲームなのに「怖さ」だけではない、プレイヤーに“敵の心情まで考えさせる”―そんな魅力を感じたのです。
 
本作は心霊体験をするかのような怖さが楽しいところでもありますが、私は感動的なシナリオこそ最大の魅力だと思っています。しかも、その感動を導いているのが怖さの象徴たる幽霊なのです。登場する幽霊は、言わずもがな既に亡くなっている存在です。しかし、本作では多くの幽霊に死ぬまでの経緯や、性格、死因など―つまり《人生》が細かく作り込まれていて、ゲームを進めていくうちにそういった情報や謎が明かされていくのです。そして、いつのまにか敵である幽霊たちに同情やあわれみといった気持ちが生まれます(少なくとも私は)。ラスボスの怨霊が一番かわいそうな死因を抱えているので、シリーズ5作品をプレイして、どのラスボス戦も怖さではなく感動で泣いてしまったりします。
 
こうした「恐怖の感情が感動に変わるゲーム体験」の極致―――『零』シリーズの魅力を改めてひもとき、多くの方々に紹介したいと思って取り上げました。「恐怖が感動??」と思った方は、ぜひ「ゲームゲノム 怖さを見つめる 〜零〜」をご覧ください!!(「NHKプラス」で地上波放送から1週間、見逃し配信をしています!)

【制作裏話】弐ノ雫 ~「プレイステーション2」購入ミッション~

『零〜zero〜』、『零〜紅いちょう〜』、『零〜刺青のこえ〜』といった初期3作品はプレイステーション2のソフトで、しかもデジタル配信もされていないため、ゲーム内容のリサーチやキャプチャーロケで必要になったのが「プレイステーション2(以下、感謝を込めて『PS2』と呼ばせていただきます)」でした。手元に「PS2」が無かったため(なんで手放してしまったんだろう…)、番組制作最初のミッションが「PS2」の購入だったというわけです。これ、もっと昔のゲーム機の作品でデジタル配信されていなかったりすると、このミッションの難易度が跳ね上がるんですよね。「ゲームゲノム」ではキャプチャーロケがマストになるので制作序盤から、特殊な機材集めがミッションになることもあります。
 
「PS2」は、24年前(この事実に改めて私はめちゃくちゃ驚きました)に発売されたゲーム機なので、もちろん生産は終了していて中古ゲームショップの実店舗を何か所か探ってみたのですが置いていません。「PS2」ってすでにレトロゲーム機に属するんですね…。「時間って残酷だなっ!」とか感傷に浸っている場合でもなく、逆に時を経たことで台頭した文明、インターネットを使って通販サイトで「PS2」を探すことにしました。

番組で使った「PS2」と「メモリーカード」

さすがインターネット!検索開始から早々に「PS2」を発見し、SCPH-90000というモデルを購入しました。これにて無事、購入ミッション完了です。数日後、手元に届いたので動作確認の必要もあって『零〜zero〜』を起動しました。画面に浮かびあがるゲームタイトル…ここであることを思い出します。
 
「あっ《4:3》だ。」
 
そう!当時のゲームって画面のサイズが《16:9》じゃないんですよ(横長じゃなくてほぼ正方形)。キャラクターのグラフィックも含めて、時の流れを感じてしまいました。当時は最新鋭の3Dポリゴンだったので、「PS2」のゲームのCMを見るたびにキャラクターの動きや造形がめちゃくちゃキレイで、「実写じゃん!」と騒いでいました。まぁ今も最新のゲーム映像を見るたびに「実写じゃん!」って喜んでいますけど。また、このグラフィックエンジンの進化も『零』誕生理由のひとつだそうで、柴田さんは、

「当時ハードスペックが上がっていって、いわばプレイヤーの夢というか、こんなゲームやりたいなというのをかなえていくような時期でもあったので、ホラーそのもののゲームというか、自分が“霊感があるみたいな体験”ができるようなゲームができたらいいなと思って発想しました。」
 
と言っていました。ここからは私の感想ですが、現代においても「PS2」のグラフィックと幽霊は見事に合っているなと思いました。最新のゲームと比べてグラフィックが粗いことや、色表現が少なく薄い感じがまさに見えそうで見えないぼやけた幽霊のイメージそのもので怖いのです。もう、この機種こそ幽霊を表現する最適なゲーム機なのでは…(ちょっと大げさかもしれません)。

【制作裏話】参ノ雫 ~無音の爆音~

この見出しタイトル、何を言っているのだと思われる方もいるかもしれませんが、私も取材時に柴田さんにこれを言われまして「へ?」と、思わずほうけたリアクションをとってしまいました。
 
本作は歩いているだけでもすごく小さい音で、ささやき声だったりとか、物がぶつかる音だったりとか、風の音とかが入っているのだそうです。ここまではプレイした方には納得いただける情報だと思うのですが…実は、とある場所では無音が爆音で流れているというのです。どういうことかというと、人間には聞きとれない周波数の音が音量メーターの振り切れるギリギリの爆音で流れているそうで、それを「無音の爆音」と表現しているんです。
 
「まさか人間以外の幽霊に向けたメッセージ!?」と私は思いましたが、そういうことではなく、柴田さんいわく“プレイヤーに、何もない部屋や廊下で何かがいる?と思わせるために空間の中に《見えない圧》みたいなものを作りたい”狙いから、あえて人間には聞こえない音を入れてみたのだそうです。

足音だけが響く廊下もなぜか怖い

繰り返しますが、この「無音の爆音」、本当に聞こえません。ですが、“聞こえない何か”を流すことで、人は頑張って “聞こえない何か”を聞こうと「知覚のチャンネル」を探る、というかチューニングを合わせようとするのでは―――。そして、それが幽霊という本来は見えないはずの存在を何とか見よう、感じようとするときと似ているはずだ、と柴田さんがおっしゃっていました。放送でも話していますが、これもプレイヤーがゲームの中で擬似的に心霊体験を味わうための「知覚のギリギリをつく」仕掛けのひとつなのです。そして、放送には出していませんが、柴田さんはゲームプレイ中に知覚のギリギリをつくような体験をずっとしていると、プレイしているときだけでなく、やめたあとも怖い感覚が残り続けていて、“むしろやめたあとが怖い”となったら理想だと話していました。これは怖い映画やテレビ番組を見たあとに、お風呂に入るとシャワーを浴びている背後が怖い、みたいな感覚なのかなと私は思っています。
 
余談ですが、この「無音の爆音」は人間以外の生物には聞こえているかもしれなくて「本作を遊んでいると犬がほえるんです。」というお手紙が柴田さんの元に届いたこともあったそうです。これ、「無音の爆音」のことを知らないと、幽霊が本当に出てきたんじゃないかってめちゃくちゃ焦りますよね、手紙を書く方の気持ちもなんだか共感できます。 

【制作裏話】ノ雫 ~令和の時代に攻略本?~

今回、ゲーム映像のキャプチャーロケや台本構成において、陰の立て役者といえる存在が「ゲームの攻略本」です。もしかしたら若い方は知らない人もいるかもしれませんので説明をすると、ゲームの攻略本とはゲームの攻略情報が書かれた本です(何かの構文みたいになりましたが)。

番組で使った攻略本

インターネットが盛んでない時代では、このような攻略本がゲームの攻略情報を知るすべのひとつでした。ゲームをクリアするまでの道のりがチャート化されていたり、ダンジョンにいる敵の倒し方や落ちているアイテムの場所などが載っていたりと、ゲームクリアのため、もしくはやり込み要素を極めるためのアドバイスやデータがこと細かく記されています。
 
さらに登場人物のキャラクター設定や制作陣へのインタビュー記事も掲載している豪華な内容のものもありました。私は子どものころ、ゲームは1日1時間という決まりがあったので、ゲームの世界観が恋しくてずっと攻略本を眺めていました。当時攻略していたロールプレイングゲームの敵データを見て、戦い方やどうやって“仲魔”にするかをひたすら想像していたのを覚えています。
 
攻略本は主にゲームキャプチャーロケの台本を作るときに使いました。例えば番組で最初に紹介する編集者の幽霊。プレイヤーが遭遇する場所や、そこまでにどんな道筋を通るか?どんなシーン、カットが撮影できそうか?など、攻略本の情報やマップを参考にキャプチャーロケをする道順や場所を考えました。もちろん本作は何度もプレイしているゲームなのであらかた想像はつくのですが、紙面におこされたマップやデータを見つめると改めて冷静に考えをまとめることができたので、とても頼りになりました。
 
具体的には編集者の幽霊と会うまでに恐怖を感じさせるポイントを撮影するため、土間、縄の垂れた廊下、よろいが置かれた不穏な部屋、ギシギシ音のする階段、お経が聞こえる二階、先の見えない曲がり角をマップから絞り込みました。また、編集者の幽霊とはゲームの中で何度か戦闘になるのですが、どのタイミングであれば幽霊の理不尽な攻撃方法(壁のすり抜けや瞬間移動)やカメラによる戦闘方法を説明する映像が撮影できるのか考えるときにも、戦闘タイミングがチャートでまとめられている攻略本に助けられました。

襲いくる編集者の幽霊

ここまで読んでいただいた方の中には「攻略本を見なくてもゲームをやればいいじゃん!」「仕事しながらゲームとか最高だろ〜!」と思われる方もいるかもしれないのですが、PC上で台本とにらめっこしながら、つど「PS2」を起動して情報収集するのは集中力が分散してしまううえに、『零〜zero〜』はセーブデータが1つの「メモリーカード」につき3つしか作れない(古い時代の“ゲームあるある”ですね)ので、知りたい場面まで進めるのにけっこう時間を要することがあるのです(もちろんオートセーブやコンテニュー、チャプターセレクトもこの時代の本作にはありません)。攻略本は取材やロケハンの時間効率を上げるという面でも今回とても役立つ資料になりました。
 
幼いころに見ていた攻略本が、まさか仕事の資料になるなんて思いもしませんでした。ゲーム映像を前に攻略本を必死に読む姿は、まさにゲームに夢中な子どものころにタイムスリップしたかのよう…は言い過ぎで、見た目はおじさん、中身は子ども、同僚たちの若干冷たい視線を浴びながらゲームキャプチャーロケをする悲しき矢部ディレクターの姿がそこにはあったのでした…。

【制作裏話】ノ雫 ~本当にあった怖い体験!をしているクリエイター・柴田誠さん~

柴田さんは『零』シリーズを一から作り上げたゲームクリエイターで、本作のファンからすると、まさに創造神。

スタジオで楽しそうに心霊体験を話す柴田さん

そんな柴田さんは、放送でもお話しいただいたように幽霊が“見える”人です。『零〜zero〜』、『零〜紅い蝶〜』、『零〜刺青ノ聲〜』の公式ホームページではコラムコーナーがあり、柴田さんや開発スタッフの皆さんがゲーム制作時に体験した心霊現象について書かれています。興味のある方は、ぜひコラムを読んでみてください。
 
実は、柴田さんが収録終わりにMCの三浦大知さん、ゲストの堀未央奈さんと心霊体験トークをしていましたので、それをご紹介したいと思います。 番組でも取り上げた『零〜ぬれがらす巫女みこ〜』に登場する「白菊」という幽霊は柴田さんにとって、かなり思い入れのあるキャラクターなんだそうです(詳しい「白菊」のエピソードは、ぜひ番組で!繰り返しで恐縮ですが「NHKプラス」で見逃し配信あります!)。

かわいそうでカワイイ白菊

それは彼女のラストシーンに理由がありました。主人公・蓮を“生と死の間の世界”に引き込み、永遠を共に過ごそうとしますが、すんでのところで思い直し、蓮を突き飛ばして現世に戻してくれるという一幕。そこで白菊が発することば、「ゆっくり死ね」。このまま霊として結ばれるのではなく、“蓮には人としての生を全うし、死んでほしい”という白菊の優しさなのですが、これ…柴田さんが昔、実際に言われたことばらしいのです。

「ゆっくり死ね」と言う白菊

「えっ誰に…」って?それはもちろん幽霊です!
 
一見すると番組で紹介してもいいくらいパンチのあるエピソードですが、柴田さんとしては「ゲームゲノム」という番組の趣旨からホラー話にそれることを危惧して、あえて話さないでいてくれたそう。一方、柴田さんがそんなことを言うものですから、収録終わりでリラックスしていた三浦さんと堀さんは仰天。ただ、2人は収録を乗り越えて“幽霊への耐性”もついていたのか、一歩踏み込んで柴田さんから詳しい話を聞き出します。

勇気を出して詳しく聞く三浦さん

三浦「本当の実際の体験なんですか?」
柴田「家に帰ったら本棚の上に緑色のワンピースを着た女の子が座っていて。で、『なんだお前』って言ったらこっち見て『もっとゆっくり死ね』って言われました。」
三浦「えぇ…。」
柴田「消えたんですけど、『これどういう意味なんだろう』と思って、全然状況が分からなかったんですけど、何を伝えたかったのかなと思って考えていて。もしかしてこういうことなのかもしれんと思ってストーリーにしたっていう。」
 
とても印象的なセリフの経緯がまさか心霊体験だったとは!私もサブ(副調整室)でそのお話を聞いて、イスから転げ落ちそうになりました。いまだにその幽霊の真意は分からないらしく、もう一度会って聞き出そうと柴田さんは年に1回くらい、当時住んでいたマンションの近くをウロウロしているそうです。
 
このように、ご自身が体験したことや、幽霊を見たことがある人に聞き出したりして、柴田さんは脚本を書いています。幽霊の発することばは意味不明なものがとても多いらしいのですが、それを推測してストーリーを作っていくプロセスはまさに、『零』を遊んだときに感じる、分からないもの=怖さにだんだん近づいていくことと同じなんだと話していました。このくだりまで聞くと、ゲーム制作のお話になるので「やっぱり収録しておけばよかったじゃないか!」と自省の念に駆られるわけですが、裏話でご紹介して、無事供養できたということで…。
 
ちなみに私ではないのですが、VTR編集を担当した岡本皓司さんが不可解な現象に遭遇したそうで(岡本さんは怖いのが苦手)、なんでも編集前に勉強しておこうと『零』を遊んでいたとき、ヘッドホンから「バンッ!」と大きな音が聞こえたらしいんです。詳しく聞いても、そんなシーンではなかったので不気味だったと言っていました。本当にこれだけなんですが、(作り話なら僕はここに書くときにもっと盛ります)理由も分からないところが妙にリアルだなと感じたのです。もしかしたらこのように、たわいもないことが、冷静に思い出すと不可解に感じることが世界にはたくさんあるのかもしれません…もしかしたら皆さんにも?番組を見て、何か思い当たることがありましたら #ゲームゲノム を付けてぜひ、X(旧Twitter)などSNSにポストしてください!

【制作裏話】 ろくノ雫 ~こだわりのスタジオセット~

「ゲームゲノム」は毎回、スタジオセットを見れば扱う作品がパッと分かったり、イメージできたりするよう、ライティングや美術品(大道具や小道具)にこだわって収録に臨んでいます。今回はホラーゲームの中でもとりわけ精神的恐怖を味わうゲームだったので、「めちゃくちゃ怖くしよう!」という番組スタッフ全員の思いがまとまり、あのようなスタジオセットになりました。というかほぼお化け屋敷になりました。

柴田さんから借りた『劇場版 零』の射影機/タペストリー&血のりを塗ったうちわ/曇った鏡

実は棚に置いてある美術品はほとんどが番組スタッフの手作り!私も障子やうちわ、扇子などお手伝いさせていただきました。なかでも思い入れのあるのがゲストの堀未央奈さんの背後にある《曇った鏡》です。
 
怪しい儀式で使われるようないい感じの不穏な鏡を飾りたいと思っていたのですが、なかなか見つからず、とうとう自作をすることにしました。困っていたところ、収録の備品を買うために会社近くの100円均一ショップに行ってみると、ほどよいサイズの丸鏡を発見!さっそく購入しましたが…キレイ過ぎる!鏡に色んなものが映ってしまう!(そりゃそうだ!)ということで、全く光を反射しない古びた怪しい鏡を作るため、会社の中でひたすらヤスリで鏡面を削り続けました。削り続ける間、その様子を見かけた会社の後輩からは気持ち悪い、怖いとさんざん非難されたのですが、私としては「計画通り」。
 
さらに不気味にするために削れた鏡面に赤や黒のクレヨンで薄く色みを付けました。ようやく完成した鏡はカメラでのぞいても期待以上の出来栄えでした!「ゲームゲノム」のセットにはゲームのグッズも置かれますが、こういった手作り美術品もたくさんあるので、もし録画や「NHKプラス」で番組を見直す際は、そういったところにも注目してみてください。ちなみに、この鏡ですが総合演出の平元慎一郎さんの遊び心で、放送中に何度か思わぬものが映っています…。

射影機で市松人形を撮影する堀未央奈さん

ここまで読んでいただいた皆様、本当にありがとうございます。最後にお気に入りの1枚を載せます。『零〜濡鴉ノ巫女〜』に登場する幽霊の遠峰雪穂さんです。私にとって番組制作中、最も“怖さを見つめた”先に撮った写真です。遊んだことのある人には分かるのですが、撃退したあとに生前の記憶を見ることができる「看取みとり」というシステムがあり、そのタイミングがかなり難しい幽霊のひとり。最終的に「看取り」の映像は番組では使用しませんでしたが、収録するために何度も撃退しました…。まさか撃退時の映像のほうを使うことになるとは。

遠峰雪穂さんをフェイタルフレームで撮影する様子

「ゲームゲノム 怖さを見つめる~零~」は、2024年3月13日(水)まで「NHKプラス」で見逃し配信をしています。

みんなにも読んでほしいですか?

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