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28. 10年も思考停止してたんです

大手企業を辞めてベンチャーに転職しようと思った時、躊躇しなかったか、怖くなかったか?とよく聞かれるし、元いた会社の同僚とか後輩とか上司からは「よく(40歳間近で)ベンチャー行くよねえ」といまだに言われる。だけど、実を言うと転職は全然怖くなかった。むしろワクワクしていた。

10年以上勤めた前職を辞めようかな、どうしようかなと悩んでいた期間は3年以上。自分のライフイベントが積み重なるのと反比例して、ただただ拘束時間が長くなり、課せられるボリュームが多くなっていく仕事で身動きが取れなくなって苦しくなるような感覚があったこと、そして、仕事がつまらなくなっていたのだけれど(今考えるとつまらなくしていたのはわたし説もあるけど)定年まで骨を埋める覚悟で入った会社をたった10年で辞めるのかい?という自問自答の日々だった。

思考停止でも結果が出る仕組みはさすが大手

わたしは以前、大手の人材派遣会社で仕事のマッチングや求職者からの相談を受けるような派遣コーディネーターをやっていた。20代後半で未経験からチャレンジした職種、元々どうしてもやりたかった仕事だったので仕事への愛情もあったし、やりがいも十分感じていた。

勤務していた10年の間に、リーマンショックもあったし、派遣の法律は何度も変わったし、社内で異動もしたし、外の企業に常駐する機会もあったし、変化はたくさんあって色々な経験が出来た。ただ、マッチングの業務については、働いていた最後の2、3年はテクニックでどうにでも出来るな、これじゃルーチンワークじゃん、と思いながら働いていた。

どういうことかと言うと、例えば、Aさんと言う人が事務の仕事をしたいと言っている。わたしが持っている求人は、営業職とかコールセンターの仕事。事務しかやりたくないと言っているAさんに、営業とかコールセンターの仕事の素晴らしさを伝えて、それをやったらどういう未来が期待できるか、みたいな動機付けをして営業とかコールセンターの求人に応募してもらう。本人が望んでいない仕事でも、情報の伝え方とか動機付けで、チャレンジしてみてもいいかもって思ってもらうように。そういうことがテクニックで出来るようになっていた。

もちろん、全然悪いことじゃない。むしろ喜ばしいことだろう。本人の可能性が広がっていると言えばそうだし。わたしも無理強いとか脅迫しているわけでもなく、相手に気持ちよく新しいチャレンジをしてもらっているわけだから。実績も出ていたから会社としても利益になる。WIN-WINでしかない。

が、何となく、何だかな・・・と思っていた。先が見えちゃってるなーって。マッチングの業務で達成感を得るためには、マッチング件数をめちゃめちゃ稼ぐか、誰にもできないような超難しいマッチングを成功させることくらいしか思い浮かばなかったし、後者については、そんな案件めったにあるものでも無かった。

もっと脳みそ使って仕事したいんだ!と思っていた。このままだと、好きだった仕事を好きじゃなくなってしまいそう、慣れてる仕事で息を吸うように出来る仕事ではあるけれど、達成感や充実感が欲しかった。

一回波に乗ることが出来たからなのか、わたしは10年間、ずっと成績は良いほうだった。だから、今考えるとだいぶ調子に乗っていた。もっと頭使う仕事出来るんだから。この環境はもう卒業なんだ!って(当時のわたしをぶん殴りたい)

で、その後、やる気満々でベンチャーに入社したんだけど、カルチャーショックがすごかった。ベンチャーは大手ほど色々揃ってない、整備されてない、自走が必要っていうのは聞いていたし、自分もそういう環境にチャレンジしたくて転職したんだし!って思ってた。

が、ベンチャー転職初日、目の前にはノートPCと携帯が置かれているだけだった。当時のわたしは、「えっ?」となった。初日やることも決まってはおらず、何しましょうか?となったのだけれど、周りからも「えっ?」という反応が返ってきて、とりあえずテレアポすることにした。もちろんリストもトークスクリプトもないわけで。恥ずかしながら今だから言うけど『人材紹介 テレアポ トークスクリプト』でググった。なぜなら、わたしは派遣コーディネーターだったので、今までC向けの電話は死ぬほどかけてきたけど、法人へのテレアポってほぼ未経験だったから。

他にも契約書の製本とか、いきなりWordpress使うとかindeedに求人出して人を集めるとか。使ったことない求人媒体を使いこなすこと、とにかくやったことない、え?これも?これも?自分でやるの?となった。

今振り返ってみて当時のわたしに声をかけるとしたら、「全部やってください」だし(笑)今ならば何の疑問持たずに、「とりあえずやります!」って言えるのだけど、当時は自分が色々出来なさすぎて、10年働いていた会社ではずっとずっと思考停止していたのだと気付かされた。

思考停止していたのに成績は良かった、何ならオレイケてる!くらい思ってたところ is あるし、完全にわたしは会社の仕組みに乗っけてもらって調子にも乗っちゃってただけなんだな、と。恥ずかし死である。

死にたいお気持ちだったけれど、同時に大手すごいな、と思った。たぶん社風とかマッチしてて仕組みにうまく乗れれば、ある程度の実績は出せるし、評価もしてもらえて、何なら役職にもつけるかもしれないし、給与も待遇も良い。もちろん本人の努力も素質だってあるけど。

ただ、仕事が出来るひとの定義は大手とベンチャーじゃ全然違うな、と思う。

大手vsベンチャー議論はもういいのでは?

大手もベンチャーも経験してみて、わたしはどっちも好きだ。大手のほうがたぶん実績は出るけど、楽しいのはベンチャーかもしれない。

ミートキャリアでのカウンセリングでもよくいただくご相談なのだけど、『大手とベンチャー、どっちが良いのか』ってやつ。

どっちでもいいんじゃないのか?と思ってる(雑)。

当然だけど、どっちにもメリットとデメリットがある。大手病、大手病ってdisられることもあるけど、逆にベンチャー病もあると思ってるのはわたしだけだろうか。

働いているひとには、誰でも少なからず『仕事で自分が大事にしたいこと』というのがあるはず。

わたしの場合は、大前提として場所を選ばないで働くこと=リモートワークが出来る環境というのは大事にしたいことなのだけれど、次に、誰と働くか、自分が働きたいなって思える人と働くこと、そして、苦しくても脳みそ使ってる感のある仕事やうぐぐ・・・って思いながらも新しいことにチャレンジすることや目の前に壁がどんどん現れてくれるような仕事、トライアンドエラーをすぐに出来ること。今はミートキャリアでそれが全部叶っているのでありがたい。

だけどこの先、歳を重ねたら大事にしたいことは変わるかもしれない。そのときはそれを叶えられるような仕事や職場や、もしかしたら仕事以外かもしれないけど、それを獲りにいけばいいかなって思ってる。さすがにわたしの経験社数の多さや年齢ではもう大手は無理だとはわかっているけれど(笑)

今転職を考えていて、大手とベンチャーどっちにいくべき?と迷っている方、もしくは大手やベンチャーに転職をして違和感がある方、それは大手とベンチャーが問題なのではなくて、ご自身が『仕事で大事にしたいこと』が叶っていないのかもしれません。

仕事で大事にしたいことが自分ではわからない、という方は、一度キャリアカウンセリングを受けてみたらいいよ!




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