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RiJW2023で「目隠しメトロイドドレッド」を走った話

走る前から本番までの流れと、目隠しプレイに関する色々をありのままに書きました。長いです。アーカイブはTwitchYoutubeにあります。


なぜメトロイドドレッドを?

 メトロイドヴァニアのヴァニアのほうしかプレイしたことがなかったので、発売当時「いい機会だな」と思い購入。面白かったので走ってみた。そんな感じです。たまーに新しいグリッチが発見されてはルートが変わってタイムが徐々に縮まっていく様子を見るのも楽しいです。

なぜ目隠しを?

 2021年冬のRiJで披露されたBubziaさんの目隠しマリオ64を見たのがきっかけ。「なんで目隠しでそれができるんだよwww」とボイチャでキャッキャ言いながら見ていましたが、衝撃を受けたのを覚えています。

 その後いつだったかは忘れましたが、メトロイド ドレッドのDiscordサーバーで走者たちとボイチャしていた時に「ちょっと目隠しでやってみるか!」とふざけて目隠しを始めてみたのが最初の目隠しプレイです。もちろんすぐ詰まって進めなくなりました。

 その時はそれで終わったものの、夏のRiJで目隠しスマブラDXが披露されたのを見て「そういえば目隠しでドレッドクリアしてないな…」「冬は目隠しで応募してみるか!」と思い再度チャレンジ。無対策では詰むことは分かっていたので、目隠しでも進めるようなパターン構築をすること数日。

できちゃった。3時間かかってます。「目隠しでRiJに出てみたい」という気持ちもありましたが「目隠しでクリアしたい」というチャレンジ精神のほうが大きかったと思います。

今回の採用に至るまで

2022冬

 RTA走者なので、クリアだけでは飽き足らず「目隠しで速くクリアしてみよう」の方向にシフトします。

そのまま冬のRiJに応募しました。その回は目隠しの応募がとても多く、数えた限り11人15カテゴリありました。結局その時採用された目隠しは1人だけで、私は違うゲームのバックアップ採用でした。2月にex1でドレッドやったばかりだから落ちて当然ではある

2023夏

 そして2023年。夏のRiJに向けて再度練習し、ルートを当時最新のAny%ルートに近いものに組み直しました。

1時間40分切りを達成し、応募するも落選。

2023冬

 9月になり、新技が開発されAny%で40分切りを達成する者が現れ始めます。そんな中自分も40分を切ろうと練習するもなかなか記録が出ず、そうこうしているうちに10月に。

 応募締切が迫ってきたので、とりあえず最新ルートでどうにか通した普通のAny%と、夏に応募したものと同じ目隠しAny%の記録動画を添えて応募。「落ちて当然、通ったらラッキー」くらいの気持ちで応募しましたがまさかの目隠しでの採用。やったぜ。

当落発表直後

世間の反応

RiJの採用ゲーム一覧が発表されるといくつか記事が書かれるのが恒例となっていますが、今回も出ました。

タイトルに載りまくってるやないかい。Twitter(現X)でエゴサをしてもヒット数がおかしい。注目度が高そうなのが見て取れたので、「絶対にいい走りができるようにしないと」と気合を入れることができました。

私の反応

(…っべー…目隠しのチャート全然覚えてねえ……新技もあるし全部組みなおさないと……)

 本番まで2か月弱あるのが救い。結婚後規則正しい生活をしているのでまとまった時間が取りにくいのが苦しい。そんな中でパターン構築を再開しました。

妻の反応

「あ、そうなんだ。よかったじゃん頑張ってね」

(´・ω・`)

(*´ω`*)

練習期間

 目隠しのパターンを忘れたものだと思っていましたが、身体は意外と覚えているもので、思ったより早くパターン再構築を済ませることができました。しかしこれは大きな注目を浴びる大舞台。目隠しっぽくない走りを目指し、ダッシュメレーやスライディングに頼るパターンはできるだけ廃止。攻めパターンを多めにしました。さらに安定を捨てて最新のルート(エミーへのカウンターを決めるやつ)も採用。結果として申請当時よりPBを15分以上更新し、ESTにめちゃくちゃ余裕が出てしまいました。しかしスケジュールが確定した後だったことや沼ポイントが複数あることから「まあいいか」とそのままにしました。運営さんごめんなさい

 目標は「え、これ目隠しだったの?」「本当は見えてるでしょ」と言われるようなプレイ。言われたら勝ち

 しかし練習時間が満足できるほど確保できず、リカバリーの練習が不足している状態が続きました。練習を重ねて様々な失敗を経験しないと、本番で初めて経験する失敗に遭遇する可能性があります。(実際にあったわけですが…)ちなみに時間が不足していたのは、疲労、スト6をしていた、ゲームを作っていた等が理由です。スト6やめろ

 正直なところ「好きで目隠しをやっている」よりも「大舞台に向けて頑張らないと」という義務感を抱くような瞬間もありました。練習するのがストレスになっていたかもしれません。そういう時に気分転換と称してスト6を始めると…やめられない止まらない。自分のメンタルをどうコントロールするのか、しっかり身につけておくべきだと改めて思いました。

本番

29日

 RiJ4日目。現地へ赴き現地の空気感で練習しようとするも有線イヤホンを忘れるという痛恨のミス。仕方ないので交流スペースでスト6やってました。スト6たのしい

30日

 RiJ5日目。ちゃんと有線イヤホンを持って行って控室で練習しました。ミスしやすいポイントをだいたい潰し、リカバリーも確認し、一通り通して「いけそう」と思ったので交流スペースでスト6やってました。スト6オフ対戦楽し~~~!!!

31日(出番)

 外は冷え込んで雨も降っていましたがどうにか早起きして現地へ。

 本当は前日に解説の打ち合わせをするはずが、トラブルにより当日朝やることに。目隠しせずに一通り確認し、さらにミスする可能性のある箇所を潰していきました。この日になって気付いたのですが、目隠ししないで一通り練習するのも実は効果的な方法だったかもしれません。

 1つ前のゲームが始まったあたりで直前準備へ。用意されたヘッドセットを装着してみるも、今やっている解説の声が結構聞こえる。想定はしていたので用意してきたイヤホン(それなりに物理的な遮音性高め)を付け、その上からヘッドセットをつける形にしました。ゲーム音はイヤホンからのみ、解説(走る前後のみ)と自分の声はヘッドセットからのみ聞こえる状態に。するとゲーム音が鳴っている間は外の音が全く聞こえず、ロード中などゲーム音が小さいときは「喋っているかどうか何となくわかる」くらいになりました。ベストパフォーマンスで走るために協力してくれたボランティアの皆様、ありがとうございました。ボランティアがみんな知ってる人だったので安心感もありました。

 実際のランはアーカイブの通りですが、カタリス後半で本番の魔物にやられました。体力満タンであるべき場所で満タンでなかったことに気づけず、7分ほどロスしていました。「熱い部屋を抜けるのが遅いのか???」と思っていましたが、根本原因はHPが満タンかどうかのケアを忘れていたことだったので、練習量不足(意識すべきポイントの把握もれ)の結果です。

画面左上に「52」の数字。「99」であればもっと楽に突破できた。

 カタリスを抜けてからは大きなミスもなく、小さいミスはすぐにリカバリーできたので全体的には良かったと思います。バグの仕込み切れが起きなかったのは練習の成果だったと思います。

 完走後しばらく解説の声が入らず、待っている間ずっと無言の時間が続いたのはやっちまったなと思っています。エンディングのおかしいところを適当に突っ込んでればよかった。次に活かします。

その後

 終わったら片付けて写真を撮ったりした後、ドレッド走者仲間4人で昼ご飯に行きました。駆けつけてくれた皆さんありがとうございました。

 アーカイブを見返して、画面は実際はどうなっていたのか、解説が何を喋っていたのか、チャット欄がどうだったのか、ドレッドサーバーがどうなってるのか、色々確認しました。世界のサイボーグたちからのメッセージ、しかとムネに響いたぜ……。

 思った以上に驚いてもらえたようで何よりです。「目隠しだってことを忘れてた」「本当にこれ目隠し?」「実は見えてるだろ」みたいなチャットが多く、まさに計画通り。やったぜ。やってる側としてはそこまで難しくはないんですけどね。ホントに。

目隠しプレイについて

ドレッドの目隠しは難しい?

 目隠しに向いているゲームと向いていないゲームがあると思いますが、ドレッドはかなり向いているほうのゲームだと思います。理由としては

  • 効果音が非常に多い(壁にぶつかる音、崖を掴む音、ビーム発射音、ビーム着弾音、ゲートが開く音、環境音、敵の音など)。効果音が無いオブジェクトのほうが珍しい

  • 特に足音が鳴るのが大きく、位置確認がしやすい

  • ダッシュメレーやスライディングなど、固定距離移動手段が豊富

  • 多少ミスをしても壁が多いので修正がしやすい

  • ビームによるエコーロケーションもできる

  • 乱数要素が少ない

  • 乱数要素も判断・対応しやすい

  • 見なくてもできるグリッチが多い

などです。マップを覚えるのが難しいと思われるかもしれませんが、もともと普通のRTAをやっていたので自然と覚えました。特に新技発見後のルート構築や100%カテゴリのルート構築のためにマップと睨めっこしてる時期もあったので、何も見なくてもほぼ全部思い出せます。たぶん目隠し100%もできるんじゃないかな……やるかどうかは別として。

なぜミスに気付けるのか

 音が本来聞こえるはずの音と違うからです。常に「想定通りの動きができているならこの音が鳴るはず」と確認しながら進んでいるので、ミスがあったらすぐ気づける態勢ができています。

なぜリカバリーできるのか

 ミスした場合どこにいるかの推測が用意なゲームだからです。上にも書きましたが壁の有無、ビームの着弾音、環境音など推測の材料も豊富です。そもそも多少のミスでは遠くに行かないので、現在地の候補が少なく、特定に手間がかかりにくいです。

なぜグリッチを簡単そうに決められるのか

 見なくてもできるグリッチが多いからです。角度取得のように見ないと分かりにくいものに関しては別途判別方法を覚える必要がありますが、床抜けや壁抜けは特定の手順をやるだけなので視覚情報はそんなに大事ではないです。
 一部の難しいテクニックはちゃんと練習しました。フラッシュシフト入手前のボムジャンプとか。

なぜ1F技ができるのか

 たまたまです。……といっては元も子もないですが、猶予1Fといっても簡単なものと難しいものの2種類あると思っていて、例えば「スティックを反対方向に入れてちょうど2F後にボタンを押す」のように、自分の手元だけでタイミングをコントロールできる1F技は簡単なほうですが、「敵を踏んだ瞬間にボタンを押す」とか「画面が切り替わる特定のフレームでボタンを押す」のような操作は難しいほうの1F技です。自分以外の何かを基準にしないといけませんからね。ドレッドの1F技はほぼ前者で視覚情報がほぼ不要、失敗してもリトライするだけなので気軽に挑戦できます。

エミーへのカウンターについて

一番の魅せ場であり運ゲー

 エミーに捕獲された後は2回脱出のチャンスがあり、エミーが攻撃してくるタイミングに合わせてボタンを押す必要があります。タイミングはランダムだと思っていましたが、調べたらどうやら3通り×3通りのようで、ボタンを押すタイミングを完全固定化すれば理論上5/9=55.5%(※)の確率で突破できることが分かりました。肝心の固定方法はエミーに発見されたときのBGMを目安にしたかったのですが……

BGMがとても分かりにくく、その日の調子によって微妙にタイミングがずれて少々安定感に欠けていました。そこで、目安にするBPM(テンポ)と同じ曲を脳内再生してタイミングを取ることにしました。同じBPMの知ってる曲を探すと……

この曲になりました。曲自体ずっと4拍子を刻んでるのでわかりやすく、安定感が爆上がりしました。本番中もエミーが「ピピピピ…」と言ってる中私は脳内でノリノリになっており、おかげでたった2回のトライで突破できました。
 ちゃんと聞き比べると全然BPM違うやんけ…となりましたが、成功したからヨシ!

※エミーの攻撃タイミング3通りが同様に確からしいと仮定して、2回とも失敗する確率は2/3×2/3=4/9。よって少なくとも1回成功する確率は5/9。

目隠しプレイの是非

 目隠しのような曲芸的なプレイは目立つし話題になりやすいので、注目欲しさにそういったプレイを始めるといったことに対して是非が問われることがあるかもしれません。私自身そういった気持ちが全くなかった訳ではないので色々言える立場でもないですが、結局のところ目隠しをするしないはその人の自由で、イベント運営側がそれを採用するかどうかだと思っています。一部の人が危惧しているのは

  1. ある人が変な(目立つ)プレイをして盛り上がる

  2. それを模倣する人が増える

  3. 盛り上がるからと変なプレイが多く採用され始める

  4. 変なプレイばかりのイベントになってしまう

という状況かもしれませんが、少なくとも2022年冬のRiJでは11人が目隠しを応募して1人しか採用されなかったので、RiJは大丈夫だと信じています。

 個人でやる分には楽しいですよ。まず視覚がどれだけ大事だったか身に沁みます。チャート構築が好きな人であれば、どうすれば目隠しでもクリアできるか模索したり、パターンを構築したりといった作業も楽しめます。ゲームによって向いている向いていないはありますが、チャレンジの一つとしてどうでしょうか?

その他

アイマスクとヘルメットについて

二重で目隠ししてたんです

 黒いアイマスクの上にヘルメットをかぶっていたのですが、チャット欄を見る限りアイマスクに気づいていない人が多そうでした。まあ別にいいか……。

 ヘルメットはこの日のためにBONBON_COSさんに作っていただきました。びっくりするほど軽いです。ヘッドセットの上から装着できるサイズなのでかなり大きめですが、実際につけてみるとギリギリでした。アイマスクがずれないように装着するのが大変だったんですが、気づかれていないのを見るとアイマスクが無くてもよかったのでは?と思ってしまいます。

造形もすごいけど色が本物すぎてビビった。さすがです
ヘルメットの内側。外は見えません。目隠しにはなるけど純粋な被り物として使えないのが難点

今後について

「今回のランが最後になるかもしれない」とノヤさんが言ってたけど「今回のランが最後である」とは言ってないぞ!断言はしてない!そこんとこよろしくお願いします。実際は「リアル事情的に今回のランが最後になる可能性もあるけど、そうなってもいいような気持ちで臨む」的なニュアンスで言った言葉なんです。大して変わらない?うるせえ

 確かに結婚後はRTAに割ける時間が減ってるし、配信も全然していません。しかし挑戦したいことはまだあるし、ドレッドで新技が見つかったら調べるつもり満々です。できる範囲で活動は続けたいと思っています。
 「今回が最後」と断言したら後でまたやりたくなっても戻ってこれないので、今後も余程のことが無ければ最後とは言わないです。

 走り終わった後に何人かと話をした際、まるで最後の挨拶かのような雰囲気で話す人がいて「どういうこと…?」となってたんですが、後で理解しました。大丈夫だよ!

 2023夏のRiJ応募の際は「7月に結婚予定でその後は厳しいだろうから、最後に目隠しを披露して終わろう。落選ならそのままフェードアウトしよう」という気持ちでいました。でもなんやかんやでRTAの練習をする時間くらいは確保できるもので、新技が見つかったりして調べているうちに目隠しが諦めきれずに冬にも応募しちゃったんですよね。そして披露した後はやりきった感よりも不思議と「もっと頑張ろう」という気持ちが大きくなってます。やっぱりRTAが好きなのかもしれません。

俺は止まんねぇからよ…

最後に

 今回目隠しで走りましたが、

  • 「今のドレッドのバグありRTAはこんなことになっている」というのを見てもらいたい

  • 「え、これ目隠しなの!?」と驚いてもらいたい

の2点が私の"欲"でした。驚いてもらえたなら幸いです。今年も頑張ります。


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