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2023年11月、スペイン語検定DELE(C2)を海外で受験してみた!

 2023年11月実施のスペイン語検定DELE(最難関のC2レベル)を、私が住むニカラグアの近隣国の受験センターで受験したので、その時の体験を書いてみたい。
 ニカラグアってスペイン語圏の国なんだけど、試験会場がないので、ものすごく不便…
 いざ書き始めてみたらかなり長くなったけど、関心のある方に読んでいただけたらうれしい。
 同じ志を持つDELE受験生の参考になることを期待して!


1 今回の受験の概要

 2023年11月実施のDELE(C2)を受験。
 具体的には、11月17日(金)15:15から口頭試験、翌18日(土)9:00から筆記試験。
 受験地は、ニカラグア近隣の中央アメリカ(中米)にある某国会場。
 受験料185ドル(高い! 日本だと22,000円!)。

【参考】スペイン語検定DELE:C2の時間割(本当に長いのよ…)
第1部(Prueba1、読解・聞き取り:マークシート) 105分(内、読解パート60分、聞き取り(リスニング)パート45分))
第2部(Prueba2、聞き取り・文章表現:作文試験) 150分
第3部(Prueba3、口頭試験) 準備30分、試験20分

2 ニカラグア国外の受験地選定

 ニカラグアには、2023年11月の試験時点でDELE受験センターが存在しなかったため、近隣国での受験を決意。 
 アクセスの容易さ(含む、ニカラグアからの直行便の有無、空港等の入国ポイントからセンターまでの距離)、渡航費用、受験センターの対応の良さ等を総合的に検討。
 具体的には、コスタリカ、ホンジュラス、エルサルバドル、パナマ及びアメリカ(ロサンゼルス)の各センターの中から今回の受験会場を決定。
(現時点では、諸般の事情により、どこで受験したか明言することは避けたいと思います。ご容赦ください!)。

海辺の街にあるセンターで受験①
海辺の街にあるセンターで受験②

3 口頭試験日の決定と旅程

(1)11月18日(土)の筆記試験実施は、実施機関であるInstituto Cervantesのウェブサイトにも掲載されていたので事前に確定。
 しかし、口頭試験の日時については、各センターの裁量に任されているようで、照会したどのセンターも、約2ヶ月ほど前の時点では明言してくれず。
 筆記試験前日の17日(金)、同日18日(土)、翌日19日(日)または(受験者数次第では)その翌週の週末の可能性もありえたとか。

(2)今回受験したセンターは、私がニカラグア在住であることを伝えたところ、17日(金)午後または18日(土)の筆記試験後に口頭試験を行ってくれることを確約。
 しかし、実際に日時が確定したのは、筆記試験が行われる週の14日(火)。←結構直前まで分からなかった。

(3)このような状況を踏まえ、11月16日(木)ニカラグア発某国着、17日(金)午後:口頭試験、18日(土)午前~昼過ぎ:筆記試験、19日(日)某国発ニカラグア着の日程で渡航(3泊4日)。

4 口頭試験(第一日目)

(試験前)
(1)開始時刻(17日(金)15:15)の30分前に受験センターに到着するよう指示あり。40分ほど前に到着したら、センター内のカフェテリア(屋外)に案内され、そこでしばらく待機。ここで蚊に刺されてしまい、なんか大きく気落ち(笑)。
 なお、この日は時間差で受験生を集めていたようで、出会ったのはスイス人の受験生1名のみ。彼女はバカンスでこの地に滞在し、試験会場となっている語学学校でスペイン語を学んでいるとか。

(事前準備)
(2)約30分前(14:45頃)に、面接試験の事前準備を行う部屋に呼び込まれた。机の上には、筆記用具(ボールペンと消しゴム付き鉛筆)と白紙(メモ取り用)が置かれていた。
 試験官から、テーマを2案提示され、選ぶように促される。①経済と文化、②新しい住居というようなテーマだったと記憶。私は後者の②を選択。試験官から②に関連するテキスト3枚を渡され、プレゼンを行うための準備時間30分がスタート。

(3)筆記用具は同センターが用意したものを使うよう指示あり。往々にして、中南米の筆記用具は質が悪いので、自分で持参した筆記用具(ゼブラのSARASA、0.9ミリ芯のシャーペン及びMONO消しゴム)を使いたいと申し出たものの却下。

(口頭試験)
(4)準備時間30分が経過後、試験官に促され、試験会場へ。会場には、面接官(同センターのスペイン語教師)が一名のみ。採点官はオンラインで参加。 
 冒頭、面接官から、試験概要の説明、Túで話したいか、Ustedで話したいかの確認あり。口頭試験では、①先の準備時間で用意した「新しい住居」に関するプレゼンを行い、②その後、面接官とこのプレゼンを元にした議論、③最後に、新聞の見出しをいくつか提示され、即興での議論。
 ③では、最初にどの見出しが一番関心を引いたか面接官から問われ、そこから議論が展開。まあ、DELE対策本に書かれているような通常の流れどおり進行。 
 なお、個人的には、どのような感じで口頭試験が行われるのかが一番気になっていた。YouTubeで検索すると、口頭試験のモデル動画をそれなりに見つけることができたので、大変参考になった。

(自己評価)
(5)個人的には、①の冒頭プレゼン及び②その後の議論まではそこそこできたかなという感触。しかし、私のプレゼン内容が不十分だったのか、②の議論に入る前に、面接官から事前に渡されたテキストの理解力を試すような補足の質問がいくつかなされた(自分で思ったほどはできなかったのかもしれない…苦笑)。
 一方、③の最後の議論については、最悪の出来で反省しきり。途中で面接官が私の言わんとすることを理解してくれていないことが分かり、これを取り戻そうと、早口かつ文法がグダグダのまま話し続けるという大失態。いわゆる、ドツボにはまった状態(苦笑)。

(6)意気消沈のまま試験会場を後にすると、外はめずらしく雨。幸いに小さな傘は持っていたけど、半分雨に濡れてホテルに帰着。

口頭試験が終わったら、雨降ってた

5 筆記試験(第二日目)

(試験前)
(1)18日(土)9:00、筆記試験開始。受験生には、30分前にセンターに来るように指示あり。受験レベル毎に別々の部屋で受験。C2の受験生は私一人だったので、6名くらい入れる教室に一人で試験を受けた。
 灼熱のこの国でクーラーなし、天井のファンのみ。暑いんだけど、窓を開けると外音がうるさく、蚊が入ってきそうので締め切り。天井のファンは試験用紙を飛ばしてしまうので弱めに設定してもらった。そんなわけで、受験環境としてはあまり良好とは言えなかった。

(2)冒頭、試験官(昨日の面接官)から試験に関する説明があり、その後リスニング試験の音声テスト。普通のノートパソコンのスピーカーを使っているので、あまり音が良くない。でもまあ、与えられた環境でやるしかないと覚悟を決める。

(3)ここでも自分の筆記用具を使いたいと申し出たものの、却下。カンニング防止として、筆記用具はセンターが用意したもの(ボールペンと消しゴム付き鉛筆の計2本)を使うよう指示。
 個人的には、鉛筆だとすぐに丸くなってマークシートを塗りにくいし、粗悪な消しゴムを使うと試験用紙が逆に真っ黒になるし、渡されたボールペンは書きにくいしと、結構なストレス(苦笑)。
 ここら辺、質の高い文房具に囲まれている日本人は耐性が低い…
 ちなみに、手汗ふき用のミニタオルとミネラルウォーターのボトルは持込みを認められた。

(4)そのような状況の中、長丁場の試験スタート(繰り返しになるけど、①第1部105分、②第2部150分の合計4時間15分の試験!)。
 なお、試験官は、何かの作業をしていたものの、常に私の隣にいて、試験監督を行っていた。

(第1部)
(5)第1部(読解・聞き取り)の読解パート(Tarea1~3)は、計画より5分押しの約10分を残して終了(本当は、15分を残して終えたかった)。
 最初の穴埋め問題Tarea1で躓いて、時間配分をミスる。模擬試験では、サクサクできる一番簡単なTareaだと思っていたので、一読して全くテキストの意味が取れず、かなり焦る。「猫が人間を発明したら(?)」だかっていう、かなりクセのある哲学的な文章で、頭の中に「???」がぐるぐる回った。加えて、選択肢の単語も難しくて、最悪全滅の可能性あり(苦笑)。
 その一方で、一番苦手なTarea2(空欄に文章を入れる問題)は比較的楽だった印象。Tarea3(文章を読んで、設問に答える形式)もまあまあできたんじゃないかなと。
 本当であれば15分を残して全ての問題を解き終え、5分でざっと見直しをして、残りの10分を次の聞き取りパート(45分)の事前問題チェックに充てるつもりだった。しかし、Tarea1で躓いてしまったため、読解問題の見直しができず。本当に悔やまれる…
 
 その次の聞き取り(リスニング)パートのTarea4〜6は、思ったよりできたんじゃないかという印象。
 ただし、男女二人が話す形式のTarea5は、事前に練習していた形式と異なっていて、ちょっと面食らった。会話は一つだと思っていたら、会話1と会話2に分かれていた。こんなパターンもあるということのよう。

(6)第1部が終わった後、約15分間の休憩。生徒は、教室から出されて、試験官は次の第2部の準備。
 私は、トイレに行って、持参した「オレオ」を食べて糖分補給。本当に長丁場の試験なので、甘い物は持参した方がいいと思う。

(第2部)
(7)そして、最も長い150分にも及ぶ第2部(聞き取り・文章表現)開始。これ、本当にやたらめったら長い。暑くて集中力も途切れ気味。
 Tarea1は、女子の理系教育に関する設問。冒頭、スペイン教育大臣のスピーチを聞いて、メモを取る。その後、二つの文章(含む、グラフ)を読み込んで、市の教育庁宛に、現場の意見を届ける書簡を書くというもの。C2では、あまり書簡の問題は出ないと思い込んでいたので(模擬試験では、全てレポートを書かせるものだった)、若干面食らう。C1受験の時に覚えた書簡の形式をすっかり忘れていて、かなり焦る。
 結局、自分でもしょぼい結論だなあと思いつつも、何とか規定の文字数を満たす書簡を書き上げることができた(と思う)。
 しかし、当初予定していた時間を20分もオーバーしてしまい、このツケが残りの二つのTareaにのしかかる。 
 Tarea2は、公園の苦情(夜の騒音、遊具の故障、ゴミの散乱など)に関する断片的なメモを見ながら、公式な報告書を書くというもの。いつもは、白紙の紙にある程度下書きをしてから、解答用紙に書き始めるのだが、今回はTarea1で手間取ってしまったので、いきなり解答用紙に記述。必要な文字数は満たしたものの、あまり満足できるような出来ではない。 
 最後のTarea3の設問は、フードロスの問題とその対策に関する記事とグラフを読み込んで、ブログ記事を書くようなもの(だったと思う)。これも、時間が押せ押せの中、事前に構成を練る余裕もなく、ぶっつけ本番で記述。最終的になんとか最低の文字数を満たすものの、本当にしょぼい内容と言わざるを得ない文章を書いて終了。
 Tarea2と3をぶっつけ本番で書いたおかげで、最終的には5分ほど余った。この5分で、Tarea1の作文の2/3程度を見直し。やっぱり、動詞の活用や性数の不一致といった小さなミスがいくつも見つかり、急いで訂正。
 時間がなくて、3つの作文全てを見直しできなかったことが悔やまれる。

(試験終了)
(8)試験時間終了。回答用紙を試験官に手渡して、私の2023年11月DELE受験は終了。試験官にお礼を伝えて、疲労困憊で会場を後に。この日は、前日と違って、泣きたい心情を反映しない灼熱の太陽が照りつける天気(笑)

6 まとめ

(1)今回の試験の出来と反省
 とりあえず埋めるだけ埋めて、書けるだけ書いて、話すだけ話して、全てに手を付けることはできたと思うけど、全般的に手応えなし。悔いも多い。
 作文試験は見返しが全くできなかったので、ケアレスミスが多いはず。口頭試験は、途中かなり焦って、早口かつ雑な感じになって、自分で「ダメだなあ」と自覚できるレベル。特にTarea3はドツボにはまった。
 合格ラインは約6割正解と言われているので、ここに最後の望みをかけているところ。
 「読解・聞き取り:合格(APTO)、作文:合格(APTO)、口頭試験:不合格(NO APTO)」まで最低でもいければ、初めてのC2受験として御の字、次の試験に繋がるか?(笑)
 時間管理が悪かったことが最大の敗因。これに尽きる。分からない設問があっても、スルーするなりして、事前に決めた時間配分どおりに進めるべきだった。
 (主語を大きくして恐縮だけど、)日本人は一般的に話すのが苦手だが、私もご多分に漏れず、口頭試験の出来が元々悪いだろうことは認識。このスキルアップが課題。 
 C2は、年に2回しか受験機会がないので、次は5月。それまでモチベーションが持つか心配、また新形式に対応する必要があり面倒(既に、落ちている前提?(笑))。

(2)国外受験(特に、途上国)の留意点
・試験会場は、日本と比べて条件が悪い可能性あり(今回は、灼熱の気候の中、クーラーなしで暑かった)。
・使い慣れた自前の筆記用具が使えない(もしかして、日本でもダメだった?)。
・聞き取り(リスニング)の音響が悪い。
(・一方で、日本やスペインでの受験と比べて、中米各国では口頭試験等の評価が甘いとの話もあるが、私が受験したセンターは運営を含めてしっかりしていて、そんなことはない印象。都市伝説か?)

(3)DELE全般について自分が思うところ
 DELEのC1及びC2受験経験から、DELEという試験全般について思うところを以下に書きたいと思う。
・DELEには事務処理能力向上が必要
 特にDELEの上級レベル(C1/C2)となると、スペイン語検定という域を超えて、事務処理能力試験に近くなる印象。
 つまり、短い決められた時間の中で、スペイン語を聞いて、読んで、理解して、まとめてアウトプットするという作業を行う必要がある。
 スペイン語能力が必要となるのはもちろんのこと、「読んで、理解して、まとめてアウトプットするという作業」はまさに事務作業そのものであり、その点では社会人の方が有利ではないか。
・難易度はさほど高くない?
 DELEは、Diplomas de Español como Lengua Extranjera、つまり「外国語としてのスペイン語のディプロマ」であり、ターゲットは外国人。
 最難関のC2(以下【参考】)とはいえ、特に読解についてはさほど難しいと思わなかった(←合格してから言え!という突っ込みはなしでお願いします…)。単純比較は難しいが、英語のTOEFLの読解の方が内容的に難しい印象。

【参考】DELE C2(最上級) *Instituto Cervantes TokioのHPから抜粋
 文章の長さ、複雑さ、抽象的表現、内容への認知度に関わらず、入ってくる全ての情報を理解し、スペイン語の多様性や言外の意味などを認識し、必要に応じて推測することができる。臨機応変且つ流暢に表現し、適切に単語や文法を運用し、学術的分野またビジネス分野など高度で複雑な分野においてもニュアンスによって使い分けることができるレベル。

(4)DELE対策のやり方
 これまでの語学試験勉強経験(現時点で、スペイン語検定DELE(C1:英検でいえば1級相当)、TOEIC:925点)から、語学試験には、実力はなくても、ある程度テクニックで対応できる部分はあると考えている。
 DELEは、読む、聞く、書く、話すの4技能を横断的に測る試験(例えば、作文試験(第2部のTarea1)は、オーディオを聞いた上で、2つのテキストを読み、これらを踏まえた報告書や書簡を書かせるような形式)なので、小手先のテクニックが通じる部分は(TOEIC等と比べると)少ないように思う。
 その点、スペイン語能力の全体的な底上げはもちろん必要であるが、テクニックが通じる部分がないわけでもない。
 こうした点を教授してくれるのが、私が知る限りでは、Spanish Classes Live!(以下リンク)のDELE対策クラス。上記の時間配分等に関する戦略も、ここで教授を受けたもの。なお、私は、この語学学校からお金をもらっている回し者ではありませんので、念のため!

オンライン・スペイン語学校「Spanish Classes Live!」
https://spanishclasseslive.com/

(5)最後に
 私は、DELE(C1)には既に合格しており、また今回合格が叶わなくともC2にチャレンジできるくらいのスペイン語能力はあると自負。
 そして、今回、スペイン語検定の最難関C2に初めて挑戦して思ったことは、
「もし仮に今回C2に合格できたとしても、スペイン語ができる!とは胸を張って言えないかも・・・」
「まだまだ精進しないとダメだな・・・」
ということ。
 スペイン語圏駐在歴もそれなりの期間になり、日常生活はもとより、仕事面でもスペイン語にさほどの支障はない。しかし、ネイティブ同士の雑談には全く入っていけないし、ドンドン出てきている新しい単語にもついて行けてない。未だに、簡単な動詞の活用も間違うし!(笑)
 ということで、まずは、スペイン語試験界からの「解脱」(=最難関のC2合格)を目指しつつ、引き続きさらなる高みを目指したいなと!


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