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本と映画

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私と、本や映画との出会いの記録
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笑いのカイブツ

これ本当に実話だよな…って上映中に何回も思い返した 事実は小説より奇なり 笑いに全てを注いでいる、、というより笑いに取り憑かれた 主人公ツチヤタカユキの姿はもはや狂気じみている。 5秒ごとに面白い事を考えている、とあったが映画を観るまでは比喩表現だと思ってた。まんまストップウォッチで5秒計りながらノートに書き殴っていた。誰がストップウォッチ片手にそんなストイックなことするねん。 適当にこなしている連中がたくさんいる社会に唾を吐き、 その社会に上手く入れず跳ね返され でも

「カラオケ行こ!」

2024年の映画初め。好調なスタート。 マンガ原作のこの作品。脚本は大好きな野木亜希子さん。 原作があるものってスタッフも役者さんもオリジナルとは異なるプレッシャーみたいなものがあるんじゃないかな、と勝手に想像してるんですけど、野木さんが脚本ってなるだけで期待しちゃう。私が感じるに、野木さんは原作の意図やテンポ感の捉え方が素晴らしくて、大筋には影響ないけどこの言葉はまんま使って欲しい!みたいなところも外さないからもう大好きです。アンナチュラルやMIU404のオリジナル作品も

「わたしは最悪。」

タイトルとは反対に、清々しい顔をして走っているポスターが印象的で、そこに興味を持って観たいと思った。 このタイトルは決して、自虐的な意味ではない。最悪を楽しんでいる(?)最悪と最高は紙一重を辿っていると主張するような内容だった。 ただ、それを押し付けるようなことも、自信たっぷりなこともなく、揺らぎながら自分に素直な主人公に共感を得るのかなぁ、なんて思いながら観ていた。 映画サイトであらすじを読んだだけでは、30歳を迎えた女性が人生に揺らぎながら新しい恋愛をして、人生を切

「メタモルフォーゼの縁側」

知り合いでもなかった女子高生とおばあさんが、あるBL漫画を通じて 意気投合し、年齢も超えて友情を育んでいく物語。 なんといってもおばあちゃんが可愛い。キラキラしてる。 表紙の綺麗なイラストに惹かれてBL漫画と知らずに購入し、 初めて触れる世界に乙女になる純粋さ。 「おじいさん、ごめんなさいね。まだそっちにいけそうにないわ、うふふ」  このセリフが可愛い。こんなおばあちゃんになりたい。 そんな喜怒哀楽を素直に出す、おばあちゃんに対して 大人しくて自分を出すのが苦手な女子

「とんび」/あのとき私の父が泣いてた理由

小さい頃、ドラマで「とんび」を観てた覚えがある。 ドラマでは内野聖陽さんがやっさん(お父さん)役を、佐藤健さんがアキラ役をやっていた。 今回観た映画では、阿部寛さんがやっさんで北村匠さんがアキラ役だった。 泣くとは思っていたけど、まさか声を出して笑うとは。 笑かしにはきてないけど、やっさんの不器用さが、もう、変わることなく不器用で(褒めてる)、可笑しくて。でも暖かくて、町のみんなも暖かくて、笑いながら涙腺ゆるゆる。 結果からいうと映画館で観てよかった。 友達が誘っ

「偶然と想像」

はじめはタイトルに惹かれて。 脚本・監督が濱口竜介さんだと知って、ドライブマイカーは全編観る自信ないけど、これなら観れるかもと期待をしつつ、映画で短編集ってどんな感じだろう、3作品に繋がりはないらしいし…とレビューの中身は見ず、星は高いから大丈夫。という謎の言い訳を自分の中に用意して観に行った。 有りそうで無さそうで有りそうな奇妙な121分。 これが濱口監督の特徴なのか、棒読みセリフというか感情が入ってない言い回し。でも、会話にはテンポが感じられて、俳優さんの演技やカメ

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない / 桜庭一樹

タイトルと装丁が気になる!と思って軽い感じで手に取ったらとんでもなかった。 1ページ目でラストがわかる。分かったうえで、どうか救いのある話であってほしいと祈るように、食い入るように最後まで読んだ。 もしかしてファンタジーなんじゃないかと思う場面と、兄がする話はいつもリアルでその差が気持ち悪い。なぎさが兄は引きこもりだと認識しながら貴族だと平然と言うところもそれに似た違和感がある。けどそれがこの本のおもしろさだった。 あ、児童虐待か、と途中で思いながらもそれがはっきり文章