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『新居格 随筆集: 散歩者の言葉』 新居格 虹霓社 2024年 978-4990925260

今まで気にしたことがなかった人だった。本に関わるすべての人にとって気にするべき人だと思う。

戦後初の杉並区長として知られる人だが、わたしと同世代の人には馴染みのない存在かもしれない。気に留めてこなかったのはわたしだけかしら?

新居格は、にいいたると読む。

多くの文章を遺したのに、代表作と呼ばれるような作品もないらしい。

わたしは読書家と云はれる方ではないが、満更読書をしない方でもない。本を読むのが遅いから、新しい出版を追つかけるやうな芸当は出来ない。それに自分の好みに合はなければ、どんなベスト・セラアの本でも、読まうとしない堅意地がある。い~ことか悪いことか分らないが、事実さうなのだから仕方がない。その代り、人々が一同に顧みない、今ごろそんなものを読んであるのかと冷笑されさうなものでも、好きなものなら熱読する傾きがある。そんな風なのも性癖なれば止むを得ないとしなければなるまい。

p186

さらした小型の本で、出版された過去の名著を、思ひ出しては買って来て、季節はづれの読書をしつ>静に時間を過すことは大抵のことに興味を失つた現在のわたしにとつての唯一の興味である。季節はれとは云ったけれど、実は季節はづれと思ってあないのだ。好きだといふ感情に季節はないからである。

p188

高円寺に住み、散歩と読書を生活の軸にしてたなんていいなぁ。そして区長となってもおごることなく、自分のスタイルを守っているのはすごいなぁ。

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