見出し画像

タクシー料金の仕組みを知っておいて欲しい

多方面からお叱りの言葉を受けるかもしれないが、都内の昭和通りや甲州街道、国道246号線などを夜中に走ったことがある方には少しは伝わるかもしれない。

これらの主要道路を夜中のガラッガラの時間帯に制限速度60kmを守って走るのは至難の業である。

何が至難の業かって、周りの車がそれこそ80km位のスピードでガンガン走っていると、
いちお制限速度なんだけどノンビリと走っているように勘違いをされてお客さんがキレるのだ。

「なに、ちんたら走ってんだよ、こら!」
「もっとスピード出してよ!」
「ねぇ、ちょっと遅くない?早く帰りたいんだけどぉ」


大手と呼ばれるタクシー会社では、マナー教育から走り方までそれはもうみっちりと教育がされている。

例えば一般道路で制限速度の60kmを1kmでもオーバーして走ってしまうと、帰庫してから始末書を書かないといけない。

先ほど挙げた主要道路のアンダーパスなんかはブレーキを踏まないと60kmなんてオーバーしてしまう箇所もある。

が、そんな何もない場所でブレーキを踏んだりしちゃうとお客さんがキレる(笑)

「なんでこんなとこでブレーキ踏んでんだよ!せこい真似しやがって」

料金があがると勘違いしているのだ。


知らない人はそんなに居ないかもしれないけど、タクシーのメーターの上がり方は基本的にこうだ。東京(東京23区・武蔵野市・三鷹市)の話ね。

注)タクシーの料金はエリアによって変わります。

まず、距離制運賃

最新の料金は、初乗りが1.052kmまで410円。以後、237mごとに80円ずつメーターが上がっていくみたいだ。
うわぁ、私が乗っていた頃に比べるとかなりの値下がりだ。

加えて、時間距離併用運賃というものが同時に適用される。
これは、時速10km以下で走行した場合90秒毎に80円ずつ加算される。

何故、時間経過でもメーターが上がるかというと、はっきりとはわからないけど、恐らく「拘束時間」が関係していると思う。

このほかにも深夜・早朝割増(22:00~5:00の時間帯の料金は2割増し)や迎車料金など色々とありますが、今回はメインのこの二つについて書いてみます。


タクシーはとにかくお客さんを乗せないと稼ぎにならない。
なので乗せて降ろしてをひたすら繰り返すしかない。


例えば、

「ちょっと買い物してくるから1時間ばかりここで待ってて~」

なんてお客さんもたまーに居る。

そこまで極端じゃなくても、コンビニに寄ったりトイレに寄ったりマックに寄ったり。

家の近くにコンビニが無い方なんかは、途中のコンビニによって買い物を済ませてから帰宅した方が楽だろうから、
夜、帰宅するお客さんの中にはコンビニ経由の方が割と多い。


気を遣ってすぐに買い物を済ませてきてくれる方も居れば、のーんびりエロ本を立ち読みしたりして気ままに時間を費やす方も居る(笑)

その待機時間。もし時間距離併用運賃がなければ1円の稼ぎにもならないのだ。


何をせこいことを・・・・・・。と思われるかもしれないが、こっちにとっては死活問題なのだ。

15分待機している間に、お客さんを送って次のお客さんを見つけられるかもしれない。
それだけ追い込まれているのが、当たり前の「稼ぐ事情」なのだ。


渋滞に巻き込まれると時速10km以下で走ることが多くなり、その間にもメーターはガンガン上がっていくからお客さんにとってはイライラの種でしかない。

これはもう申し訳ないと思うしかないが、自分の力量では抜け道を探すくらいしかできない。

工事渋滞など事前にわかるのであれば当然避けて別のルートを提案するけど、直前に起きた事故などで渋滞にはまってしまった場合はもう不運でしかない。

ちなみに時間距離併用運賃の「90秒毎」と言うのは、連続した90秒毎ではない。

なので一つ目の信号待ちで60秒停止(停止なので10km以下)。
次の信号で30秒停止したら合わせて90秒でメーターがあがる。加算式なのだ。

89秒で動き出せば、リセットされてまた0秒からカウントってわけじゃない。

運転が上手くてお客さん思いのタクシーは、走り方を見ているとすぐにわかる。

私も良くやったけど、連続した信号がある道路で赤信号につかまることなく
スピードを調整して走ってあげると「時間距離併用運賃」分の料金がかからずに確実に安くなる。

停止しないから。10km以下の時間が加算されないからってこと。


とにかく「速く走れ」と言うお客さんはたいていその事を知らない。
速く走っても遅く走っても「速度」では料金は変わらない。


信号のない同じ距離を走るのであれば、80kmで走ろうが40kmで走ろうが料金は同じなのだ。

「ゆっくり走る」=「料金があがっていく」は大きな間違い。

信号があるのであれば、出来るだけ赤信号につかまらないように走るのがベスト。


「なに赤信号でいちいち止まってんだよ!!」と怒鳴るお客さんは、
メーターがあがるからって理由を知っている人も中には居ると思うけど、
とにかく速く移動したい、ちんたら走るなって人の方が多い気がする。


前回の安全運転の投稿でも触れたけど、もちろんお客さんが怒鳴るからってスピードを出したり、無茶な車線変更を繰り返すのはいけないことだと思いますよ。

けどね、考えてみてくださいよ。
タクシー運転手にとって「運転免許証」はそりゃもうお金の次に大事なものよ。

信号無視やスピード違反、危険運転などで捕まって免許がなくなったらもう生活できないんだから。
好き好んで危ない運転するわけないでしょ?自分のためにも。


一度だけ、本気でキレた話を最後に。

もちろん乗せた場所は私が大好きな不夜城。
風俗店の店長だと言う男性は、

「とにかくアクセル目いっぱい踏め!」
「おい!赤信号で止まってんじゃねーよ!」

と出だしからやる気満々でした。


そこそこ中距離だったので、めんどくさいなぁと誤魔化しながら運転していたのですが、だんだん調子に乗って来たそのお客さんは、


「なぁ、殺していい?」

と、後ろから椅子を蹴ったり、殴ったり(椅子を)してきた。

「危ないんでやめてもらっていいっすか?」

と私もイライラして言い返したりして。

それでもしつこく、

「なぁ、おい、殺していい?」

と絡んできてガンガン蹴ってきて、しまいには車内で吐いたんですね。
そこでもう限界。

広めの路肩に車を停めて、車から降り後部座席のドアを開け、飛び散った吐しゃ物に余計に腹が立って

「とりあえずこのゲロ掃除しろ」

と言っちゃいました。

吐かれたらもう次のお客さんを乗せられないので、そこでその日の仕事は終了なんですよ。まったく稼げてなくてもね。

とぼとぼと帰庫して、他人の吐しゃ物を掃除して。
もう泣きたくなりますわ・・・・・・。

クレームもこなかったみたいだし、酔っぱらってて覚えてないかもしれないけど、あのクソヤロー


世の中のタクシードライバーは一度ならずこういった理不尽なことを経験していると思います。

いくらお客さんと言えども、お客さん側にも最低限のマナーはあっていいんじゃないかと、
元タクシードライバーの私がいうのも反則かもしれませんが、現役ドライバーさんのためにもここは言っておきたい・・・です。


タクシー料金の仕組みはだいたいこんな感じ。
なので無理に急がせたところで料金が安くなるわけじゃないし、
周りと比べてゆっくり走ってるからって料金が上がるわけじゃありません。

お互いに無駄にイライラしないで気持ちよく過ごしたいじゃないですか。
もしタクシーをご利用なさる際には思いだして頂けると幸いでございます。


タクシードライバーとして不適切な箇所があるぞ、とご指摘、注意?があり一部削除いたしました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?