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みんな知り合いだった…

先日お会いした方が、感慨深く呟いてました。ともに米寿を迎えたご夫婦で、東京府四谷町生まれ(いまの新宿)。国民学校(いまの小学校)時代の終戦少し前の頃のお話です。

むかしは街中や新宿駅前の雑踏に買い物に出掛けても知った顔の人に何度も会うし、挨拶してばかりでちっとも用事が進まないんだ。近所は皆んな知り合いで怖いおじさんおばさんが誰の子だろうと悪いことをすると怒鳴りつけてたよ。
 スマホもテレビもない時代だから情報がない。今日明日の天気やニュースもお互いに教えあわないと取り残されちゃうから井戸端会議が日常だったな。   
 今は街や近所はおろか、隣に誰が住んでるかも分からない、死んでても分からないくらい。必要な情報はスマホで手に入るから会話する必要もなくなっちゃったよね。
 こないだ家の前にある小学校をボーと眺めてたら先生が走ってきて「何かございますか」と聞かれたよ。何もないよ、何してるのか見てただけ。子供って見てるだけでも元気になるから。
 俺の知り合いも学校帰りの子どもに挨拶したら、自分の娘に怒られたって。お父さん通報されたら困るから気安く話しかけるなって。
 みんな知らない人だらけになっちゃったね、世知辛いねー。

昭和20年当時東京の人口は349万人、日本の人口は7000万人。いまは東京1400万人、日本全国1億2700万人。数字で見ても当時の東京は今の4分の1だし、人口の一極集中もまだないですね。

安心してストレスフリーに暮らすには便利さだけではなくて、誰かと冬の寒さや春に咲く桜について語り愚痴りあったりして繋がりが感じ合える瞬間も必要だと思います。

私たちがいつどこで暮らしていても、繋がりがほしい時には繋がり方がえらべることがいいですね。

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