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いないことの証明

ペーパークラフトを完成させてしまった。

一昨年の年明け、長女と夫が手をつけたものの
早々に挫折した。
「2021.1.16 ここまで」
説明書に残された几帳面な文字。
もう更新されない予感はあったのだ。

幼い長女がひとりでできる難易度ではなく、
夫の手には繊細すぎる木のパーツ。

あの時言い出したはずの子の「なぁにそれ?」という声を聞き流しつつ、黙々と組み上げていく。

本当は、いつから立ち止まっていたんだろう。

難しいことは置いておいて、
進みながら考えて
間違ったとしても修正して、

時には声をあげて協力を仰ぎながら
一緒に作り上げてくことだって
できたんじゃないのかな。

組み立てたクラフトのテナーサックスは
なんとか形になった。
つぎはぎや補強を施したところもあるが、
一応自立してそれなりの佇まいをしている。

「えっ、できたの?
 すごいじゃん!かっこいい!」

そうね、
独りでできちゃった。

すぐほころびはでるだろうけどね。
だけど、それもまた、
私はきっと直してしまえる。

隠すでもなく、恥じるでもなく
堂々と娘たちに話しながら
直してしまえるのだろう。

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