今から20年近く前の話。

ドラッグストアで働いていると、
入り口近くの床に、
なにやら血痕のようなものが。

それは点々と店内へと続き、
日用品の通路を通って続いていきます。

とりあえず、雑巾を持ってきて
拭き取ることにしました。
鉄くさい臭いがして、これはやはり血液？

赤い点々は歯ブラシ売場、ひげそり売場など
立ち止まったと思われるところに
より多く散らばっているようです。

蛇行しながら続くその跡を、
拭きながら追いかけます。

点々はレジへと続き、
レジ前では
だだだだだだっっっ
という勢いで血痕が落ちてもう血溜まり状態。
なんの現場ですか⁈

レジの子に聞くと、
点滴刺したお客さんがきて、
漏れてるのに気づいて
あわてて帰っていった、
しかも車で帰ってた、とのこと。

えええー…。
大丈夫なのそれ。

この頃の私は20代で
結婚のけの字もなかったのですが、
「結婚どう？」と聞かれたときに
この血痕の話がとても役に立ちました。
怪談と思わせてちゃんと血痕の話も
できますからね。（えっへん）

床を拭いていたときに、
常連のおばちゃんが
「どしたん。なんかあった？」
と、嬉しそうにささやいてきたのが
今でも忘れられません。

結婚どうなの、と聞かれたら
この話で相手をドン引きさせてみましょう、
という需要があるのかないのか
わからない話でした。