詩 昼休みのカフェ

春の間
用なしだったエアコンが
作動を始めたにおいの中
人々は身も足どりも軽く
やわらかい矢となって
私のぐるりに円を描く
そこが
地表の何千億分の一の
私の居場所
そこでカタカタと
キーボードをたたけば
昼休みは
むこうのほうからやってくる
指を休ませたのは
とれかけたブラウスの
このボタンの上
とれずによく頑張ったとねぎらって
その指をストローにからませる
食後のアイスコーヒー
かきまぜる
涼やかな氷の音色
一口飲んで長いため息
またかきまぜる
かきまぜながらストローの先で
グラスの底に
しあわせ 0.3333333と
書き続けている

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