『ハイキュー!!』烏野高校キャラクター名考察②2・3年生編(全3回)

前回、1年生編の4人のキャラ名についての考察に続き、
今回は3年生、2年生、マネージャーの順に考察していこうと思う。

⑤澤村大地(さわむらだいち)
言わずもがなチームのキャプテンであり土台。
どっしりと構えチームを率いる中心人物であり、
プレーにおいても安定したレシーブでチームメイトに
信頼と安心感をもたらすその様は「大地」そのもの。
更に「澤村」という潤った村を連想させる苗字や、
やんちゃな子供達(クセの強い後輩達)の手綱を上手く操る様は、
もはや母なる大地と言っても過言ではない。

⑥菅原孝支(すがわらこうし)
「菅原」という苗字を聞いて平安貴族・菅原家を連想する人も多いのではないだろうか。
そしてその能力の高さゆえに妬まれ大宰府に左遷された「菅原道真」という人物がいるが、影山という天才セッターの登場に正セッターから下ろされた
(と言うとちょっと語弊があるかもだが)事実は政治の表舞台から下ろされた菅原道真に通じるところもある。
また、菅(スゲ)という漢字の意味を調べたところ、スゲ属という非常に種類の多い植物であるらしく、そういった意味でも菅原はプレイヤーとしてごく一般的な存在であると言えるだろう。
しかし菅原の素晴らしさは今何がベストなのか、チームの勝利の為にどうあるべきか、冷静かつ客観的に考えられる事である。
自分より能力が長けている影山に正セッターを任せる事、
「孝支」という名前も父母を大切に仕える・支えるという意味がある事から、三年として前述の母なる大地・澤村と共に部を支えると同時に
チーム内の頭脳であり先輩としてムード作りを率先しまとめるなどその役割はとても大きい。

⑦東峰旭(あずまねあさひ)
太陽は東から昇る。
この事実をこんなにも表現する名前があるだろうか。いや、ない。
作品当初、エースとしての自信を失い部活から離れていた東峰だが、
再び部に戻ってくるのも「日はまた昇る」という言葉、朝日その物を体現している。
また東の峰という漢字も、東にそびえる山の高さとそこから繰り出される圧倒的パワーはエースとしての役割、
更には三年生としてチームや後輩にとって山であり太陽である絶対的な存在感がある。
体格・風貌に見合わない若干気の弱いへなちょことイジられていても、やはりエースは絶対的なのである。

⑧西谷夕(にしのやゆう)
太陽は東から昇り西に沈む。この事実をこんなにも表(以下省略)
どんなボールでも拾う姿はまさに守護神。
対戦チームからの攻撃や自チームのカバーなど、それらボール(太陽)をリベロとして拾う、西の谷として受け止めるのが「夕」としての役割である。
東と西、峰と谷、旭(朝日)と夕(夕日)、攻撃と守備、全てにおいて東峰と真逆であると同時に常に二人一組の対である二人の関係は、
ストーリーからも名前からも強い絆が感じられる。
技術力の高さはもちろんだが、それに甘える事なく常に上を目指そうと努力する姿勢は、メンバーに厚い信頼と安心感を与える存在であり、小柄ながら器の大きさを感じさせるザ・男前である。

⑨田中龍之介(たなかりゅうのすけ)
正直、「田中」という苗字はとても一般的な名前である。
日本において「田」は農業=百姓=庶民と取れる意味もあり、
作中でも龍之介本人が自身を平凡だと表現している箇所もある。
しかし日本人において田で作られる米は主食であり生きていく上で最も重要なエネルギー源である。
チームのムードメーカーとして誰よりも声を出し、誰よりもチームメイトを鼓舞し、誰よりも己を奮い立たせているのは言うまでもない。
またそのエネルギーを生み出す田は⑤澤村大地同様皆を支える土地その物であるとも言える。
皆を支えつつスパイカーとして自身向上の為の上へ上へと昇ろうとする様、意志の強さは決して平凡とは言えず、
天に昇ろうとする様はまさに龍が如く、である。

⑩縁下力(えんのしたちから)
「縁の下の力持ち」。そのまんま。こんなに捻ってない名前はそうそうないだろう(笑)
不安や恐怖や辛さ、そこから逃げ出した虚無感と後悔を自身が体感し分かっているからこそ、他人の弱い部分も理解できる人。
試合に出る事はほとんどないが、コート外、更には怪我をした大地の代わりに入るなど、縁下自身が主役になる事は無くともチームを支える為にはなくてはならない人。
まさに縁の下の力持ち。
問題児の西谷、田中を上手く扱える事も含め、次期キャプテンとして信頼は厚い。

⑪木下久志(きのしたひさし)
⑫成田一仁(なりたかずひと)

この二人に関しては正直特別に言及するところがなく(爆)、
しいて言えば木下が他レギュラー陣という木の下で長い時間志しを以って練習に励む、といったところだろうか。成田に関しては殆ど印象がない。
すまん。

⑬清水潔子(しみずきよこ)
名前の通り清く澄んだ、高潔の圧倒的マドンナ。
澤村、菅原、東峰の大地を連想させる三年男性陣に付随し、そこに流れる水を連想させる。
土地があり水がある事は、後輩達にとってそこに「生きる場所」が予め用意されているという事でもあり、三年生の四人無くしては現在のチームは絶対にあり得ない。
マネージャーとして烏野高校バレー部の土台の一部であり、水として皆の生きる・ヤル気の源でもある。

⑭谷地仁花(やちひとか)
元々自分に自信がなく消極的な性格は、山に囲まれ奥まった谷の印象を受ける。
しかし清水からのマネージャー勧誘、そして太陽的存在である日向の
「村人Bには村人Bのカッコよさがある」という言葉から自分にできる事を行おうと前に進み、水と日光を受け自身の花を咲かせる事になる。
また、谷に咲いた小さな花はとても可愛らしく人を和ませ、
「仁」の文字通り思いやりや親しみが感じられるキャラクターでもある。



以上、3年生と2年生とマネージャー2人の名前について考察したが、
前回の1年生考察も踏まえ見えてきたのは、
まさに「名は体を表す」という事だ。
私はそんなに多くの作品を読んでいるわけではないが、
主人公や敵キャラなどの主要キャラのみならず、
それ以外の各キャラクターの特徴や役割に合わせ名前が設定されている作品は他にあまりないのではなかろうか。
少なくとも私のこれまでの読書歴において、
ここまで多くのキャラ名について考えさせられる作品は他に無かった。
もしかしたらあったのかもしれないが、そこに気付くまでに至らなかったのが現状だ。
現にハイキューに関しても完結し暫く経った今気づき深堀りしているのだから。

なのでおそらく烏野高校以外の登場人物達の名前にも絶対何かしらの意味があるのだろう。
それを考え出すとキリがないので今回は避けるが、取り合えず今パッと浮かんだのが百沢で、
技術は未熟だが「身長がある事により人よりできる事が沢山ある」という意味なのだろうと思った。
何故百沢が浮かんだのかは自分でも分からない。
及川さんでも牛島でもなく、なぜ百沢(笑)

兎にも角にもハイキューに登場する人物、特に烏野高校のメンバーの名前には、とても深い意味が込められ性格や役割が表現されている事が分かった。
そしてこれらメンバーの名前とポジション全てを踏まえ考えた時、
チームの設定、ならびにある一つの現象が表現されている事に気が付いた。

それについては最後、総括編で述べたいと思う。

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