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都合のいいおじさんでいいのか。

19歳現役体育会DDとあれから数回会っている。
毎度のようにカラオケに行き、たんと飯を食わせ、彼をちょっと気持ちよくさせて別れる。
最初はそれでいいと思っていたのだが。。。


彼を喜ばせることは僕の喜び?

彼にとっての都合のいいおじさんでいることが僕にとっても都合がよかったはずだった。それは彼を喜ばせることが僕の喜びに変換されていたからだ。
しかし、会う回数を重ねるとちょっと違うのかもと思い始めた。
あんなに彼の下手なカラオケもたくさん食べる姿も愛おしく見えていたのに。
妙に我に返るというか、スッと冷めるというか。時間にするとレイコンマ何秒の話だけれど、ん?もしかしたら僕は楽しくないのかもという思いすらよぎり始めていた。

田舎の19歳はやはり幼い

当たり前なのだけど成人になったとはいえ19歳はまだまだ子供だ。肉体的には体育会だし成熟してきているが、まだまだ世の中がわかっていない。
その若さゆえの何も考えてなさに僕は勇気というか勢いをもらうことはある。
けれど、だんだんと本当の子供と接しているようで彼を汚してはいけないというような気持ちになってきた。
そういう感覚を一度でも持ってしまうと大人同士として付き合うにはかなり厳しいものだ。

19歳より39歳の方が繊細

もう一方で彼の堂々とした振る舞いに気後れしている自分もいた。
堂々と言うか飄々と言うか彼はたまにいるそういう人でもある。それは体育会の人が持つ独特の空気なのかもしれない。
一度、彼にキスをしようとしたら断わられた。僕はそれが地味にショックだった。
あ、キスダメなんだって笑ってごまかしたが正直傷ついた。
そして、19歳より39歳の方が繊細なんだと気づいた。
彼はイカ臭いアレをおじさんの口でアレさせるくせにキスはダメなのだ。
自分勝手でわがままでにくらしい年下の男の子なのだ。

おじさんは決めたがる

彼は話をする中でさらっと付き合うのは女の子だと言った。
でも、アプリで知り合った小倉の男とも会っているとも。
もうアラフォーおじさんにはわけがわからなかった。
じゃあゲイだと思っていたけどバイなの?と聞くと何にも考えていないというような顔をした。
僕は慌てて気を使って別にセクシャリティーはね、そこははっきりさせなくていいよねとか何とか言ってごまかした。
おじさんはゲイだのバイだのと決めたがる。僕もそんなおじさんになっていた。
僕も田舎の普通のおじさんなんだとちょっと自覚してちょっと反省した。

自分の気持ちに向き合うと

昔から年下よりは年上が好きだった。
それは自分が甘えられる余裕がある人に安心感を抱くのと同時に年下の立場的な優位性を感じていたからだろう。
自己肯定感の低い人間にありがちなやつだ。
その点、無垢な19歳を前に僕はしてあげるばかりで自分が安心することはない。
彼が僕がしてあげることに喜んでくれるのはうれしいけれど、それは僕じゃなくてもと思ってしまう。他の誰かが同じようにやっても彼は喜ぶだろうと。
そう考えるとなんだか空しくなった。

都合のいいおじさんでいいのか

都合のいいおじさんでいいのかとの問いに今の僕は全力でノーと答える。
僕の中のぼくが全会一致でそう決めた。
僕が僕の感情を大切にできなきゃ一体誰が大切にできるんだ。
まだ全奉仕の愛に行くには早すぎる。今から40代だってのに。
都会のゲイがよだれを垂らしても決して手に入らない田舎のおぼこい19歳現役体育会DD。せっかく関係を持てたのだけれどもうあまり会わないと思う。
いや、向こうがなんで会ってくれないんですか?とかかわいいこと言われたら会うかな。柳のように揺れる春。39歳は繊細なのだ。


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