省略用語の世界

 よく使う言葉は日常の中で省略されて使われることが多い。
 そしてそれが定着しすぎると、省略前の言葉が忘れ去られる状況にまで到達することもある。
 たとえば「割り勘」は通じるけれど、その省略前の言葉である「割前勘定」は日常的には聞かれない。

 時代によって省略形の言葉の意味が変わることもある。
 「サポーター」といえば現在にあっては「サッカーファン」を示す言葉と感じるのが一般的だが、Jリーグ発足前の時代には、意外かもしれないが、「男性用の下着の一種」を示すことが多かったのだ。

 「携帯」と言えばもはや「携帯電話」が真っ先に思い浮かぶ。
 「携帯灰皿」や「携帯トイレ」など、「携帯」のつくものはいくらでもあるのにだ。

  言葉は生き物とは良く言ったもので、「人」によって「フィルタ」されたり「かいざん」されたりしてゆく。
 「スマホ」は定着した言い方となったが、省略前の「スマートフォン」に「ホ」は含まれていない。

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