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アネモネ

 新年一発目というわけで、ここはあえて原点回帰して、今の私を作ったキャラクターの一人、アネモネについて語ってみようと思う。

 アネモネは、『交響詩篇エウレカセブン』というロボットアニメに出てくる敵の美少女パイロットである。そんなアネモネ、かなりクセが強いうえにわがままで情緒不安定で好き嫌いが分かれる。彼女を慕うドミニクというこの作品のもう一人の主人公的な立ち位置にいる青年はいつも彼女にキレられ邪険にされ見ていて可哀想なくらいだ。

 しかし、アネモネには観ているものの心を掴んで離さないミステリアスで妖艶な魅力がある。たとえば彼女が手づかみでいちごジャムを食べているシーン。一見意味のわからないことをしているけれど、最後まで見ていけばいちごジャムが血の暗喩でありジャムにまみれた彼女の顔や指がアネモネの攻撃性、ひいては彼女自身の悲劇的な運命を表しているとわかる。このシーンは作品が始まって最初の方にありまだアネモネについてよくわかってない状態の描写だから視聴者からしてみればそんな暗喩には気付けない。だけど、そこにはインパクトがあり、そして何より退廃的な美しさがある。真っ赤なジャムにまみれた真っ白で細い指を気怠そうに舐める彼女の姿には、色気と、生きることへの諦めが感じ取れる。なぜ彼女は生きることを諦めている風なのか視聴者は知らないからこそ余計に気になってしまう。そうして謎の妖艶な美少女ヒロイン像が視聴者に色濃く刻まれるのだ。このアニメは総じて“謎”を魅力的に描くことに優れているけれど、アネモネに関してはそれが特に美しく描かれているように感じる。

 その他にもドミニクがアネモネに注射するシーンとかアネモネが自機にどうやって搭乗しているかとかいろいろちょっとセンシティブでとても美しい描写を語りたいけれどきりがないので割愛するとして、ここから先のメインはそんな謎のセンシティブ美少女アネモネがどう私に影響を与えたか、だ。

 まず、エウレカセブンを初めて観たのは私が小学2年生の時のことだ。まだプリキュアやディズニープリンセスに夢中だった幼女時代のことだ。(当時その他にも『黒魔女さんが通る!!』とかにもハマってて今でも再熱を繰り返していたりするのだがそれは置いておいて)子ども子どもしい子どもをしていた私が、父親がパチスロでエウレカを知り原作であるアニメも観てみようとリビングでエウレカのDVDを再生していたのを一緒に観ていたりしたのだ。
 
 まあ、性癖狂うよね。

 当時の私にとってピンク髪というのはプリキュアの主人公であり基本的に明るく元気で素直なイメージだったのだ。そんな私にとってツンデレを超えてツンギレなヒステリーえっち少女アネモネはとても新鮮に映った。

 そのうえ、アネモネは話が進むにつれボロボロになっていく。狂気的な笑顔もワガママな態度もなりをひそめ、人生への絶望を大きくしていく。気の強い美少女が弱りゆく姿に私は未知の昂りを覚えた。今にして思う。あれは““““““萌え””””””の目覚めだったと。弱りゆく美少女が性癖になったのは主にKanonやAIRなどkey 作品のせいだと思うが、一番最初はおそらくアネモネだった。

 同時に、ツンデレが好みになったのもアネモネが原因だ。ツンデレといってもいろいろな種類があって、雪ノ下雪乃のようなクール系ツンデレ、花鳥玲愛(伝わるか?)やダイワスカーレットのようななんだかんだ世話焼きそうでツインテールがよく似合う、主人公に振り回される側に立ったとしてもさまになる系ツンデレがいるわけだが、アネモネの場合はどこかぶっ飛んでてヒステリックな狂気系ツンデレだ。こういうツンデレはいつも相手を振り回す側だし一番社会に適応できなさそうでヤバい奴だけど、そういうキャラが一番守りたくなるし一番デレたとき可愛いんだよ!!!(大声)同じようなツンデレに、女性キャラじゃないけど斎宮宗などが挙げられると思う(ちょうどカラーリングもアネモネと一致しているし)。彼もまた私の人生(とりわけ価値観)に大きな影響を与えたキャラだけどそれはまた追々語るとして。

 以上からわかる通り、アネモネは私の性癖、さらには美的感覚に大きな影響を与えたキャラである。多分私は彼女に一生囚われながら自分の欲望を生み出して生きていくんだろうなあと何こんなことでしみじみしてんだという2023年の元日夕飯時。


 

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