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初めてのfilmは駄菓子の味がした

 私がまだ鹿児島で生活していた頃、中古のカメラを取り扱っているお店で一目ぼれして購入したrolleiflexの2眼カメラ。ずっとお飾りのまま放置されていたこの子を引っ張り出し、甲府にある優しい店主がいるカメラ屋さんで撮り方を教えてもらい、初めて一巻撮ってみました。

逆光でふわっと仕上がるのも好み

12枚しか撮れないという制限付きで、何を残そうか、どう映るのか、分からないのでまずは撮ってみる。そんな1巻。

結局、最初の1巻でちゃんと映っていたのは4枚だけでした。
その4枚ですら、左側には異物が入っていたのか、線が入っていました。
初心者は勝手が分からないなんて当たり前。
そういうことも含めて練習だよと、現像を頼んだカメラ屋の店主は仰っていましたが、いざデータで頂くと、とても可愛らしく思えます。

巻が甘く、二重に写り込んでしまうものもしばしば。そんな不格好な写真が、私はたまらなく愛おしく感じました。

今の私も、何も分からないままとりあえず進んでみた結果なので。自分自身のような気さえして、荒っぽさも稚拙さも無知すらも、受け入れてしまえたらいいなと思います。

家の手伝いをして貰ったひと握りのお小遣いを手に、駄菓子屋へと駆け出した子供が、無造作に並んだ色とりどりの駄菓子を見て最初に選ぶものはどんなお菓子なのでしょうか。

目を輝かせて、背の低い陳列棚に顔を突っ込むようにしてどれにしようか悩む姿は、二眼フィルムを上から覗き込む私そのものです。


私にとって初めて1巻は、その思い出の味になる気がしてなりません。

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