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#34 ベトナムでの店舗工事|目指すべきは完璧じゃなく、完了


■このマガジンについて


ベトナムにネイルサロンをオープンしたのは、2016年8月。
フリーフォトグラファーとして日本で気ままにやってきた私が、ベトナムで1からお店を作って、スタッフを持つなんて考えた事がありませんでした。
でも、あるとき海外でチャレンジしたい病にかかってしまったのです。
それからは、新鮮で刺激の多い日々...。
全てが初めてでどれも大変な作業の連続。落ち込む事も多いけれど喜びの方が多いんです。
だって、毎日楽しいんだもの。


目指すべきは完璧じゃなく、完了

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ベトナムホーチミン市 42Nguyen Hue(グエン・フエ)アパート。
このアパートはサクセスストーリーが生まれる場所と言われている。

ベトナム政府によって近々アパートが取り壊しになる計画が出ている。
それをを知りながら、私はここでネイルサロンを作ることに決めた。

この頃、自分自身に唱えていた言葉がある。

それは...「ベトナムでは7割出来たらOKとする」だった。

なぜ7割でOKとするのか
そもそも私の中で「完璧を求めすぎてはいけない」という考えがある。これは元々あった訳では無くて、色々経験してそうなった。なぜ7割なのかというと、完璧を求めていたらいつまでたってもリリースできないからだ。7割の状態で一度リリースし、とにかく完了させる。そして、そこから少しずつ調整、変更を加えてよりよいものに仕上げる。そのほうが自分にとって学びにもなるし、効率がいいと考えるに至った。

このベトナム進出は、私にとって初めてのことばかりだ。

初めてのサービス業(私は日本で企業案件を受ける広告写真家)
初めての遠隔経営(これまではスタッフのいない個人事業主)
初めての店舗を持つ(いままで店舗を持ったことがない)

そんな私が完璧を求めてしまったら、いつまで経ってもオープンまでたどり着かないだろう。

だから、7割出来たらOK。7割できたら...。と言い聞かせている。



■こだわりのモザイクタイル


私が作るネイルサロン、KawaiiNail&Eyelashの入り口を開けると、最初にディスプレイ棚が見える。


ここは、お店の第一印象を決めるとても重要な部分だ。

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空間デザインを考えている時、私はデザイナーさんと一緒に「木を貼ってみようか。タイルにしようか...」と散々楽しい打ち合わせを繰り返した。

そして、モザイクタイルを貼ることに決めた。
理由は小さなタイルが光に当たり、キラキラする感じがお店の雰囲気にピッタリだったから。

そこから、ベトナムで販売しているモザイクタイルを探すが、当時は真っ白で一色のものを見つけることができなかった。
だから、私は日本で購入し、30キロもあるモザイクタイルをベトナムに運んだ。

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※モザイクタイルを運んだ時のイメージ↓

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モザイクタイルを貼る場所はこの3箇所
・ネイルカウンター
・受付カウンター
・トイレの洗面台


■こんなに残念なことになるとは


このディスプレイ棚はコンクリートで作っている。
造作家具にするか、コンクリートで作るか検討したら、コンクリートで作った方が安く仕上がるという結果だったからだ。

また、奥行き30cmしかないので造作家具にすると不安定で倒れる可能性があったからというのも理由の一つだ。

1.コンクリートでカウンターを作る

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2.モザイクタイルを貼る

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3.完成!

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この空間をデザインしてくれたデザイナーは日本からの遠隔で工事の様子を確認してくれていた。

私がたくさんの工事写真を撮っているのは、日本にいる空間デザイナーに進捗を報告するためだった。

空間デザイナー:ちょ、ちょっと待って下さい!

私:はい。なんでしょう?

空間デザイナー:カウンターの内側までタイルを貼ったらダメです。
中に入れる棚の寸法が合わなくなります。それに、コンクリートにそのまま貼るから凸凹になります。モルタルを塗って平にしてから貼りましょう。

私:はぅ!すみません!やり直しします。

気を取り直しして、もう一度!

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1.凸凹を埋めるため、そしてタイルの下地を白にするためモルタルを塗る

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2.モザイクタイルを張る

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そして完成!!

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私:え?あれ?なんでこんなに仕上がりがきちゃないの?

タン:えーっと。なんでかなー。(はは...)

私:モルタルで凸凹を埋めたし、タイル目地も真っ白のものを日本から持ってきた(ベトナムのは真っ白じゃないから)
なのに、なのに...こんなにまだらで汚いのだ.......?


私の想像していた、モザイクタイル仕上がり↓

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KawaiiNail&Eyelashのモザイクタイル↓

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【【【 なんで?なんで??なんで?? 】】】
【【【 こんなにまだらで目地がグレーなんだ! 】】】

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ベトナムにはゴムベラが無い
ベトナムにはゴムベラは販売されていなかったため(2016年当時)ベトナム人作業者達は目地材を指で埋めていました。
工事責任者に「このゴムベラを使って目地材を埋めて下さい」と、日本から買ってきたヘラを見せると「これ、ベトナムで売りたい!」と感動していたほど、珍しいものだったようだ。

「ゴムベラで目地を埋めてほしい」と使い方まで説明したのに......

なのに。なのに、なぜこうなるの?

考えられる理由
・ゴムベラを使ってほしいと渡したが、タイルを貼る人は3人いた。ゴムベラは1個しかなかったので、2:1で指で張る人の面積が多くなり、全体的にきれいに仕上がらなかった?

・作業者はいろんな作業をしているので、手が汚れている。そのため目地も真っ白でなくなった?

・2度目のタイル貼りなので、日本で買ってきた目地材を使い切り、ベトナムの真っ白じゃない目地材を使った?

この時は、工事も大詰めの時だったので、どれが理由か、他に理由があるのかは今となってはわからない。

こだわりのモザイクタイルだったのにね...。


■工事責任者がとったある行動が衝撃的!そして3日凹む


私とサロンオープンを色々手伝ってくれている通訳者のタンくんと、モザイクタイルの目地についてアレヤコレヤ話していると、工事管理者が声をかけてきた。

工事管理者:どうしたんですか?なにか気に入らない所でも?

私:タイルの目地が...。ベトナムの目地材は真っ白じゃないから、日本のものを使ってもらったはずなのに、この仕上がりなんです。

工事管理者:真っ白にしたかったのですね。じゃあ!上からペンキ塗っちゃえ!


彼はそう言い、私の目の前で油性の白ペンキをモザイクタイルの上から塗りはじめた。

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私:あー!!!!!!!!

工事責任者:ね!白くなったでしょう?(どや!)

私:・・・・(泣)それ、油性でしょ?タイルについたペンキはどうやって取るの?

工事責任者:こうやって、布で拭くんだよ。ってあれ?ペンキが乾いて取れない。おかしいなー。

私:・・・・やっぱりか(絶望)

どうして、一呼吸おいて考えてから行動してくれなかったのか...。
そもそもどうして、油性ペンキを塗ったんだ。

私:あーあ。工事完了1週間前なのに、なんでこんなことを......

工事管理者:すみません。タイルについた白い部分をなんとかして削ります...。


こうして、このモザイクタイルに塗った油性の白ペンキは、丸1日かけて2人の工事担当者がペーパーヤスリで削ることとなった。

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タン:すごいことになっちゃったね。ハハハ...(乾いた笑い)

私:もう知らん。。

そして丸一日、2人がかりで頑張ってくれた限界がある。

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目地が少しグレーだった時の方が綺麗だったという最悪な結果。

これは、つらい。つらすぎた。

こだわりのモザイクタイルだったのにね...


目指すべきは完璧じゃなく、完了(2回め)


期待していたディスプレイ棚だったのに、とても残念な感じになってしまった。

しかし、オープンまで残り1週間。
悲しいんだけれど、もうやり直ししている段階では無い。

ここはぐっとこらえて諦めることにしました(3日凹んだけどな!)

7割出来たらOK。7割できたら...。と言い聞かせている。
(タイルは6割以下だけど...)

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