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#38 ベトナムネイルサロン経営|お店を見つけてもらうためにやった事

■このマガジンについて


ベトナムにネイルサロンをオープンしたのは、2016年8月。
フリーフォトグラファーとして日本で気ままにやってきた私が、ベトナムで1からお店を作って、スタッフを持つなんて考えた事がありませんでした。
でも、あるとき海外でチャレンジしたい病にかかってしまったのです。
それからは、新鮮で刺激の多い日々...。
全てが初めてでどれも大変な作業の連続。落ち込む事も多いけれど喜びの方が多いんです。
だって、毎日楽しいんだもの。


■「ここにいるよ」と手を挙げることから始めた


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ベトナムホーチミン市 42Nguyen Hue(グエン・フエ)アパート。
このアパートはサクセスストーリーが生まれる場所と言われている。

ベトナム政府によって近々アパートが取り壊しになる計画が出ている。
それをを知りながら、私はここでネイルサロンを作ることに決めた。

「ベトナムでネイルサロンを作りたい!」と思い立ってから10ヶ月。
ベトナム人のTang(タン)くんに協力してもらい、私は前のめりで準備を進めてきた。

だが、オープン間近のKawaiiNail&Eyelashはお客様を呼べる武器が全然なかった。

武器がなかった理由
・ベトナム人の知り合いは片手で収まるほどだったため、口コミしてもらうなどのツテがなかった。
(お店づくりに忙殺され、ベトナム人の知り合いを作る時間をなおざりにしていた)

・ネイルサロンとしても実績が無く、見込みのお客様0人だった。

・広告予算はほとんど無かった。

それでも救いだったのは、お店が若者や観光客にも有名なアパート内にあるってこと。

なんにも持ってない私達は、私達なりに考えた。

そして、アパート内に遊びにきたお客様に「私達、ここいいます!」と手を挙げる事から始めることにした。

私:タンくん、お店の場所をみんなに知ってもらうために、いくつかアイデアを考えたよ。まずは看板やポスターを設置などできる事からはじめよう。

タン:そうですね。お店の場所は9階だし、ちょっと解りにくいからね。


■エレベーターの中に広告を出す


グエン・フエアパートにあるエレベーターは、乗るのに1回3,000vnd(約15円)かかる。

つまりこのエレベーターは共有のものではなく、所有者がいるのだ。

私:このアパートのエレベーターって所有者にお金を払えばエレベーター内に広告を貼らせてくれると思うんだよね。

タン:なるほど。毎回エレベーターはぎゅうぎゅう詰めになるくらい人が乗るから、効果があるかもね!

私:お金を徴収しているおじさんにポスターを貼りたいって相談しみよう。金額もちゃんと聞いてね。

そして私達は、エレベーターの管理者に直接交渉をした。

ポスター掲示費3ヶ月間:7,000,000vnd(約35,000円)

ベトナムの物価は日本の約1/4だと言われている。
(日本の金銭感覚に換算したいなら、4倍してね)

タンくんはエレベーター広告費について「高い!やめておこう」と言っていたけれど、私はものは試しだと、広告枠を買うことにした。

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私達が買ったのは、エレベーターを開けたら正面に見える一面だ。

日本だと、区画やサイズ指定があったりするが、そういうところはざっくりなベトナム。
ここぞとばかりに、大きいポスターを作り、一面に貼った。

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日本人のお客様にもアピールするために、日本語メニューも記載した。
が、ここは英語表記にして、小さく日本語を入れる方が良かったなと今は思う。

エレベーター内広告を出してインプットしたこと
・自分が思いつくことはだいたい出来るね。(出来る人につながる)
・ベトナム語・英語・日本語の表記があればベストだった。
(お店のターゲット客がまだ定まってなかったので特にそう思った)
・広告はエレベーターの正面よりサイドや扉側の方いい。
(エレベーターって乗ったらみんな扉側を向くから)
・広告をしてから、9階にもお店があるんだと告知になった。そして9階からアパートめぐりをする人が増えたっぽい(自分の肌感)


■Facebookページを作る


「広告の予算がないなら、自分達の労力を使うしかない」と思い
ベトナムでも盛んなFacebookページを作って発信していった。

ベトナムSNS事情
ベトナムの平均年齢は31歳と若く、SNSユーザーも比較的若年層に偏っています。 例えばFacebookユーザーの年齢層を見てみると、2017年時点で20代男女の利用率が人口比46%を占めており、13歳から19歳のティーン世代のユーザーも男女合わせて30%と、ユーザー全体のうち、半数以上を若年層が占めています。

とはいえ、工事に時間をさきすぎて発信については何も準備しておらず...
ページを作ったのは、お店がオープンする1ヶ月前の2016年7月。

最初は私が日本語で文章を作り、それを日本語の通訳スタッフがベトナム語と英語に翻訳し、投稿していた。

コツコツと地道な投稿、たまに広告を出す。
失敗し、調整するを繰り返すこと5年。

今では4,800人を超えるフォロワーの数まで増えた。

KawaiiNail&Eyelash

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Facebookページを作ってインプットしたこと
・ベトナム語と英語に翻訳し投稿するのが結構手間だ。
・継続してSNS投稿するのは大変。頑張っている他店をマジで尊敬する。
・写真素材がたくさん必要。来てくださったお客様全員のネイル写真を撮影するように義務付けて写真ストックを貯めていこう。


■外に看板を設置する


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2016年当時、アパートの入り口は、各店舗の看板がたくさん付いていた。
※現在は、看板は全て撤去されています。

私達のお店も目立つ所に看板を貼らなければと、目立つ場所はどこかと探した。

そして、私が看板を持ってウロウロしていると、一人のおじさんが声をかけてくれた。
彼は、このアパートの住人。
毎日、外で友達とだべりながらお茶を飲んでいるので「優雅なおじさんだな」と思っていた。

おじさん:何してるの?

私・タン:看板を付けたくて、設置する場所を探しているんです。

おじさん:背の高い脚立があるよ。使う?

私:ありがとう!なんなら100,000vnd(約500円)を払うから看板を付けてくれませんか?

おじさん:え!お金くれるの? もちろん。任せて!!

この頃の私は、相当あつかましかった。
なぜなら、このやり取りに、タンくんもちょっと引いてたから。

でも、おじさんは喜んでいたし、ちょっと危なっかしかったけれど、看板は無事に付いた。

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遠くからでも良く見えるよう、看板は一番高い場所と入り口付近の2箇所に付けてもらった。

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日本なら業者さんを呼んで、色々段取りが必要だけれど......

ベトナムでは、近くにいる人がすぐに助けてくれたりする。
もちろん、安全第一で事を進めるのも大切なこと。
でも私には、この気軽なベトナムの雰囲気がすごく心地よく感じる。

外看板でインプットしたこと
・看板の中に照明を仕込めばよかった(光る看板はやっぱり目立つ)
・道路を挟んだ向かいから見ると、高い位置の看板は木に隠れて見えなかった(ベトナムの植樹は背が高い)
・ベトナム人は、気軽に助けてくれる。困った時はありがたく助けてもらおう。


■アパート内の全フロアにも看板を貼る


KawaiiNail&Eyelashはアパートの最上階にある。
当時、最上階にあるお店は少なく、私は「9階まで来てもらうにはどうすればいいか」と頭を悩ませていた。

①エレベーター広告はやった。
②アパート入り口の看板も設置した。

あとは、階段で登ってくる人たちに私達が9階にいることを示すか......

私:タンくん、9階だけでなくお店の看板を全フロアのエレベータ前に貼ろう。そうしたら、階段でワンフロアずつ周る人達にも見てもらえるかもしれない。

タン:その発想、いいね。今すぐやろう!

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そして私達は、1階から9階までのエレベータ前、全フロアに看板を貼っていった。

全フロアに看板を貼ってインプットしたこと
・「9Floor」の文字を入れたので、お客様は迷わず9階に来てくれるようになった。
・他フロアなのに看板を貼って怒られるかもしれないと思っていたが、全く無傷だった。(やってよかった)
・他店のスタッフにもお店の存在を知ってもらえてお客様として来てくれた。


■店前看板にこだわる


KawaiiNail&Eyelashの場所は通路を入った所にある。
そのため、一見どこに店があるかわからなかった。

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だから、私は店前看板を作ることにした。

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タンくんが紹介してくれたドアのおじさんは、私のこのヘタッぴな絵を元に木を削り看板を作ってくれた。

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ドアのおじさんとは
木工が得意で、KawaiiNail&Eyelashの全てのドア、ネイルテーブル、シェルフ、受付カウンター、化粧台などをオーダーメイドで制作してくれた人。
「私が〇〇のおじさん。おばさん。」と呼ぶ理由
ベトナム語の発音は難しい。「ア」と発音するだけでも6音調ある。
[  無し/a・下がる/à・軽い波/ả・重い波/ã・上がる/á・重み/ạ  ]
また、ベトナム語の母音は11個。二重母音6個。子音はなんと28個ある。
(日本語は母音 が5個、子音が13個)
日本語には無い発音が沢山あるし、ちゃんと発音しないと全く伝わらない。
日本語のカタカナ読みで発音すると全く違う意味になることも多いのだ。
ちなみに、私の恩人でサロンオープンを色々手伝ってくれたNgocさん(ゴック)の読み方も難しい。
カタカナ読みのゴックと呼ぶと、「バカ」の意味になってしまう......
「ンゴッ」と発音する方が正式な発音に近い。
というわけで、名前が正確に発音できないから、〇〇のおじさんと呼んでいる。


取り付け金具を着けているおじさんとタンくん。

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ホーチミンの一等地、グエン・フエ通りにある古アパートに作った私達のテーマは「私だけが知っているホーチミンの隠れ家サロン」だ。

だから、目立ちすぎても、目立たなすぎてもだめ。

「こんなベトナムの生活感漂うアパートの一角になにやら良さげなお店がひっそりとあるぞ!?」と感じてもらえる店構えにしたかった。

ドアのおじさんが作る木製看板は、私達のテーマにピッタリ合う看板に仕上げてくれた。

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店前看板でインプットしたこと
・木製にしてよかった。
(プラスチックでも作ったけれど、カジュアルな印象だった)

・ロゴを形どったデザインなので、KawaiiNail&Eyelashがここだとすぐに理解してもらえた。

・もともとは木の色をそのまま採用する予定だったが、白く塗ってもらってよかった(繊細さが増した)

・この木製看板はたしか、1,400,000vnd(約7,000円)だった。
やはり、ベトナム人は木工が得意で、金額もお値打ちだ。

・私達の思惑通り「通路からこの看板が見えて、すごく気になったので来ました」というお客様もいた。(ヨッシャー!!)


KawaiiNail&Eyelash sns (@kawaiisaigon)

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▼ドアのおじさんとのその他エピソード▼


▼グエン・フエにある42番アパートを探検した話▼


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