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#39 ベトナム人は柔軟で臨機応変に乗り切る

■このマガジンについて


ベトナムにネイルサロンをオープンしたのは、2016年8月。
フリーフォトグラファーとして日本で気ままにやってきた私が、ベトナムで1からお店を作って、スタッフを持つなんて考えた事がありませんでした。


でも、あるとき海外でチャレンジしたい病にかかってしまったのです。
それからは、新鮮で刺激の多い日々...。

全てが初めてでどれも大変な作業の連続。落ち込む事も多いけれど喜びの方が多いんです。


だって、毎日楽しいんだもの。


■オープン前日、臨機応変に処理しながら完成した

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ベトナムホーチミン市 42Nguyen Hue(グエン・フエ)アパート。
このアパートはサクセスストーリーが生まれる場所と言われている。


ベトナム政府によって近々アパートが取り壊しになる計画が出ている。

それをを知りながら、私はここでネイルサロンを作ることに決めた。

プレオープンを明日に控え、私はお店を見渡した。

「壁よし! 床よし! 照明よし!」

モザイクタイルは...うーん。よしとする......

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工事は95%完了していた。
あとは、壁面に棚をつけ、空間に家具を配置したら完成だ。

私:あぁ。なんだか色々辛かったことを思い出して泣けてきた。

タン:いやぁ、本当に頑張ったね。僕はこんなにかわいいお店をベトナムで見たことがないよ。

私:はぅ。嬉しい...。その言葉が救いだ。

今回の工事について「私は、ありとあらゆる失敗を経験したんじゃね?」と思う。

記憶に残る失敗
①工事許可を取ってなかった
②大工が図面を読めないと知らず工事を進めていた
③ペンキの色チョイスをミスる
④便器の移設に失敗
⑤工事が原因で下の階のお店に水漏れさせてしまう
⑥モザイクタイルが上手く貼れず、仕上がりが残念な結果だが受け入れる
⑦フローリングを貼る業者との意思疎通がうまく行かず工事が一時停止

いろいろあったな......(細かいことを言い出すともっとあるけどな!)

工事は予定から1ヶ月長くかかったけれど、サロンオープン2日前にギリギリセーフ。

なんとか工事は完了しそうだ。

サロンオープンまでを色々手伝ってくれているタンくんはもちろん、工事をしてくれた全員が臨機応変にやってくれたおかげだ。

ベトナム人は臨機応変だと思った所
・ベトナム人は細かいところより、全体的を見て判断している。
お店で例えると、部分的には雑でも空間全体では素敵に仕上がっていればOK的な感じ。

・トラブルや言い争いもあったけど、オープンの日程に工事が間に合っていること。作業進行が予定より遅かった場合、午後から人が増えたりする。
おそらく「今からこっちこれる?」と知り合いの大工に連絡して読んでいるんだろう。


■AがだめならBでやろう


ベトナム人は切り替えが早い。
「プラン通りに行かないかも?」と判断したら、すぐにプランを変更する。

私のサロンKawaiiNail&Eyelashの家具は、ベトナムでオーダーメイドしたのだが、既製品より幅が大きかったり重いのもあるから、店まで運ぶのは大変だ。

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家具を店まで運ぶのに大変だと思った理由
・アパートがあるグエン・フエ通りは、車を停車できないルールになっている。

・たくさんの家具を運ぶのにエレベーターで運びたかったが、ここのアパートのエレベーターは1台しかなく、使用頻度が高いので、ジャックするのが難しいだろう。

・エレベーターに乗せられないくらい大きな家具がいくつかある。螺旋状の階段を使って9階まで運ばなければならない...

しかし、ベトナム人は臨機応変の達人だ。
「車がだめなら、バイクでいくよ」と大型荷物をパンパンにバイクに積み、運んできたのだ。

そして車道ではバイクも停める事ができないから、歩道に停めている。

「AがだめならBでいこう」の切り替えがさすがだ。

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ベトナム人は臨機応変だと思った所
・車がだめならバイクで運ぶ。この時は、大きな三輪バイクと普通のバイク2台で荷物を運んできた。そして荷物を降ろすと、颯爽とその場を立ち去るバイク。清々しい。

・エレベーターは一般のお客様と一緒に、荷物を乗せてたww
ベトナムでは、多少の迷惑もお互い様的な気持ちがあるようだ。

・棚類は、出来上がりを持ってくるんじゃなくて、材料を運び現場で組み立てをしてた。(IKEAの組み立て家具的なイメージ)


■最終調整は現場で

ベトナム人はある程度できていればOKと思っている人が多いようだ。
もちろん業種にもよるだろうが、私はそう感じている。

例えば日本人の多くは、提出前のものに不具合が見つかったら、そこを修正してから提出するだろう。
もしくは「ここは不具合だとわかったので、修正してから提出します」というように、予め伝えるよね?

でもベトナム人は、違う。
不具合が合った場合、現場で修正する。
これはベトナム人にとって普通の感覚らしい。

オーダーメイドの家具が届き、テーブルの引き出し開けようとしたが、上手く開かなかった。

私:おじさん、この引き出しの滑りが悪くて開けにくいんだけど。

おじさん:どれどれ?ああ。引っかかりがあるね。ちょっと修正するよ。

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おじさんはそう言って、箱から道具を取り出し、その場で修正を始めた。


臨機応変だと思った所
・オーダーメイドした家具の問題点を伝えたら、その場で修正してくれた。

・ベトナムでは、周りの人も臨機応変に動く。
家具職人でもないタンくんが急遽おじさんのアシスタントになっていた。

・テーブルの天面に0.5cmのガラスを敷いてもらったのだが、天面に手を置いて話をしていたら、圧力がかかったらしくガラスがバキバキに割れてしまった。翌日の朝には、全テーブルのガラスが1.5cmの物に交換されていた。


話は変わるが、これ以外にもオーダー家具を作った事がある。
それは、椅子がベッドにもなる仕組みの家具だ。
運ばれて来た家具をチェックすると、バネの溶接が半分外れていた。

10分後、アパートの入り口で急遽溶接作業が始まった。

↓こういうやつ。
まあ、ベトナム人はマスクもメガネもしてなかったけど...。

溶接作業


最終調整は、お客さんが確認してからというスタンスなのだろうか?

そのまま納品が完了しちゃって、後日クレームになった時はどうするんだろう。

いざ使おうとすると使えなくて、お客さんが困ることってないのだろうか?

などと、色々想像してしまう。

だけど、それはそれで臨機応変になんとかするのだろう。
こういうところ。ほんとベトナムらしいと思う。


臨機応変なベトナム人たちのおかげで、工事も無事に終わり、すごく素敵な空間になった。

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ちなみに、アパートの部屋はもともとこれだったからね。
大変身といっても過言でないと思う。

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■私だけが柔軟性をもっていなかったと今気づく


ここまで書いてきて、ほんとベトナム人って、臨機応変で、切り替えが早くて柔軟性があるよなぁ...。と改めて思う。

と同時に私は「は!そういえば...こんなことがあった」と思い出した。

それは、担当してくれた施工会社の管理担当者が、みんな撤退した後に、わざわざ私に挨拶に来てくれた時のことだ。

管理者:工事完了しました。本当にありがとうございました。

私:こちらこそ、注文がうるさく感じたと思いますが、最後まで工事をやり遂げてくださって本当にありがとうございました。

管理者:いいえ。こんなに素敵な空間のお手伝いが出来て、とてもいい実績になりました。

私:それは良かったです。私もこんなに素敵に仕上がって大満足しています。

1ヶ月の工期予定が2ヶ月に伸び、一時は「もう終わった...」と思ったこともあったが、オープン日に滑り込みセーフで間に合った。

うまく行かないことも多かったが、臨機応変に対応してくれた彼らには「ありがとう」と感謝でいっぱいだった。

タン:ところで、彼は新婚なのを知っているよね。
彼は、お嫁さんにKawaiiNailのプレオープンに招待してほしいって言ってるよ。

私:うん。新婚なのは知ってるよ。でも招待はしたくない(バッサリ)

タン:ははは...じゃあ彼が傷つかないようにやんわり伝えるよ。
(ゆうちゃんは感謝しているけど、そこは譲らないみたいだ......)

今思えば...。
「招待くらいしてあげろよ、ちっせえな私!!」と思う...

きっと私の周りのベトナム人は「ええ。もちろん。ぜひ来てください」と柔軟な対応をとるか「来てほしいんですが、時間が埋まってしまっていて...」と臨機応変な返事をするはずだ。

私が、迷惑をかけてきたベトナム人はたくさんいるが、みんなやさしく受け止めてくれたし「あなたには来てほしくない」なんて言われたこと無いもの。

私だけが柔軟性をもっていなかったことに今更ながら気づいた。

あれから7年も経ってから反省している。



KawaiiNail&Eyelash sns (@kawaiisaigon)


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私が経験した失敗たちはこちらから

▼工事許可を取ってなかったエピソード▼



▼大工が図面を読めないと知らず工事を進めていたエピソード▼




▼工事が原因で下の階のお店に水漏れさせてしまうエピソード▼



▼モザイクタイルが上手く貼れず、仕上がりが残念な結果だが受け入れるエピソード▼



▼フローリングを貼る業者との意思疎通がうまく行かず工事が一時停止になったエピソード▼









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