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#37 ベトナムでお店作り|空間づくりのポイントまとめ


■このマガジンについて


ベトナムにネイルサロンをオープンしたのは、2016年8月。
フリーフォトグラファーとして日本で気ままにやってきた私が、ベトナムで1からお店を作って、スタッフを持つなんて考えた事がありませんでした。
でも、あるとき海外でチャレンジしたい病にかかってしまったのです。
それからは、新鮮で刺激の多い日々...。
全てが初めてでどれも大変な作業の連続。落ち込む事も多いけれど喜びの方が多いんです。
だって、毎日楽しいんだもの。


■私が思う空間デザインでの要望


ホーチミンの古いアパート

ベトナムホーチミン市 42Nguyen Hue(グエン・フエ)アパート。
このアパートはサクセスストーリーが生まれる場所と言われている。

ベトナム政府によって近々アパートが取り壊しになる計画が出ている。

それをを知りながら、私はここでネイルサロンを作ることに決めた。

ネイルサロン「KawaiiNail&Eyelash」は30平米ほどの広さで、そこまで広くない。

でも天井は3m以上あるし、テラスから見える景色に圧迫感が無い。

だから、サロンにするには丁度いい大きさだった。

ベトナム人が住む部屋

デザイナーに伝えた空間デザインの要望
①今の空間を利用して、低予算で仕上げたい
→予算が300万円だった。

②いつでも引っ越し可能な空間
→ベトナム政府の取り壊し計画がいつ始まるかわからないから。

③南国リゾートをイメージしたデザイン
→ターゲットが観光客だから。

④どの角度から見たり写真を撮っても映える空間
→SNSを意識した。お客様がSNSに投稿したくなるような空間が理想。

⑤収納はきっちり確保したデザイン
→スタッフ増員やメニュー増を見越して。

⑥入り口から中が見えないようにしたい
→隠れ家っぽさを出したいから。

⑦知らないお客様同士、施術中に目が合わないようにしたい
→ベトナム在住日本人は、自分が行くお店で知っている人に会いたくないとスタッフからの情報で知ったから。

⑧劣化がしにくく、きれいを保てる空間にしてほしい
→ベトナムではなぜか物の劣化が激しい。ビニール系の材料はすぐに劣化するし、壁紙はすぐ剥がれる。だから、床はフラットに仕上げて掃除をしやすく、壁はボコボコしない仕上げにしてほしい。とお願いした。


■仕上がった空間デザインで感心した


そして出来上がったのがこのデザインだ。

ホーチミンのネイルサロン

空間デザイナーは、私の要望をきちんとまとめて形にしてくれた。

彼から、空間のポイント説明を聞き「へー!そういうことか」と感心の連続だった。
ここにまとめていこうと思う。

ネイルサロンの家具レイアウト

私が「なるほど!」と感じたデザインの工夫(ネイルの部屋)

①リラックスタイムを邪魔しないように、他のお客様と目が合わないような席の配置
→知っている人がいてもお互いに顔が見えない。

②テーブルがある席の壁面は腰壁(腰くらいまでの高さの白い板)を張っている
→飾りの意味だけでなく、ネイリストが動き回って椅子を壁に当てても傷つきにくく、ポリッシュが壁に飛んでも、汚れもが取りやすい工夫。
劣化しにくく。きれいを保てるね。

③隠す収納の工夫
→ネイルの道具は細々したものが多いため、見える収納にすると視界がうるさく、リラックス空間にならない。だから、ネイルの道具や機材の大きさを予め測り、棚の高さを機材に合わせて制作した。
収納が確保されつつ、見た目も配慮されている。あと、この棚は軽いから引っ越しする時に持っていける。


④背の高い家具を置かず、空間の広さを感じさせる工夫
→ブルーの壁、白の腰壁バックとどちらから撮影してもかわいい。立って写真を撮ると、シャンデリアが映り込むからそれも素敵。
SNSに投稿したくなるような空間!

⑤小さなスペースで収納がたくさんできる工夫
→ランドリースペースと受付の間には壁を作らず棚で仕切っている。双方のスペースに棚がある設計だから収納がたくさんできる。
スタッフの荷物やチラシ、メニューなどの紙類の置きにちょうどよかった。

⑥ランドリースペースは専門家ならではの工夫があった扉
→ランドリーの扉はブラインド仕様にした。理由は換気ができること。また扉の前に人が居ないか確認できるため、誤ってぶつけてしまう事を防ぐことができるから。
要望には入れていなかった部分だけど、専門家ならではの工夫で素敵。

⑦隠れ家っぽさをだしている工夫
→収納兼、白いディスプレイ棚で、エントランススペースとネイル空間をさり気なく区切りをつけている。また、椅子に座ったお客様の顔が棚で隠れる高さなので、外から見えない。
全部見えないから、中のお客様のプライベートも守られるし、外のお客様は「どんなサロンだろう」と興味をもってくれていた。

⑧きれいをキープできて掃除しやすい工夫
→フローリングはビニールじゃなく、ベニヤ板にフローリングの木目をプリントした床材にした。ベトナムでは床掃除はホウキで床を掃いたあと、モップがけをするのが一般的な掃除方法。木の床材にしたことで、床はきれいをキープできた。

⑨メンテナンスがかんたんな工夫
→壁は凸凹していたので、上からモルタルを塗り平にして、ペンキ塗装した。壁紙のように剥がれる心配がなくなった。壁の一部が汚れたら濡らした布で拭くと汚れが取れたから経済的で◎ 



ベトナムで作ったオーダー家具

私が「なるほど!」と感じたデザインの工夫(テラス)
テラスは床も壁もサッシも白にした。窓からの光が白壁や床に反射してとても明るい空間にするためだ。ここは、アレカヤシの鉢植えとオーダーメイドで作った大きな椅子を置き、南国リゾートをイメージする空間になった。

テラスは光がよくまわるから、プロモーション撮影(モデル・ネイルチップ)を撮影するのに重宝した。また、ネイルの材料は、UVライトに当たると固まる材料がある。テラスがあることにより、ネイルの部屋には直射日光が入らないからとてもよかった。(テラスが真っ白い空間だから、ネイルの部屋にも間接的に明るかった)
しかし、ここは西向き。だからエアコンが効きにくく、窓を開けたほうがマシ。日中はサウナのようだった...。


■お店の稼働してかあら、もっと空間がスキになった


空間デザインの難しい所は、お店がオープンした後もこの空間の維持が可能か、働くスタッフ達が使いやすい空間に仕上がっているかだと思う。

そういう観点で見ると、KawaiiNail&Eyelashはオープンから2年経った後も見た目を維持できていたし、スタッフからも「使いにくい」などの不満が出なかった。

実際に稼働してからも「機能的だ。素晴らしい!」と感じる箇所があったので、ここもシェアしておきたい。

お店が稼働してから「機能的だな」と感じた部分
①お会計や受付スタッフが仕事をする受付カウンターが中央に作られていること
→聞くと、客席を見渡せるようにここに設計し、高さも1段上げたそうだ。

②メニューが決まりスタッフが準備する時、動線がシンプルで見渡せる範囲にあること。
→スタッフが準備をするのにお客様の視界から消えていつまでも戻ってこない不安を感じる事があるが(ベトナムのスパでよく私はこの不安を感じる)KawaiiNail&Eyelashは棚と水場が数歩の距離にあるので、スムーズに準備ができる。{棚=ネイルの道具を収納/水場=フットスクラブの施術に必要}

30平米のスペースに客席が5つ。(半年後に6席にした)

いろんな大きさのパズルを美しく、かつ機能的に配置するのはやはりプロの空間デザイナーにお任せしてこそ実現できたと感じた。

KawaiiNail&Eyelash sns (@kawaiisaigon)

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▼空間づくりでこだわったこと▼



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