秋山青生

あきやまはるお、と読みます。日々の徒然に詩のような言葉を綴ってきました。意味はなくても…

秋山青生

あきやまはるお、と読みます。日々の徒然に詩のような言葉を綴ってきました。意味はなくても、生きて自分を残すため。過ぎ去った人を生かすため。私が憶えている限り、私の中ではその人を生かしていくことができると信じて。 誰かに響くものがあれば幸いです。

マガジン

  • オススメ作品集

    私が読んで感銘を受けたものをブックマーク的に置かせていただいております。 よろしければぜひ皆様にも読んでほしいと思います。

最近の記事

月がきれいな夜

ふと見上げると空に 小さく白い穴があいていて こぼれるように照らす光に あなたがいるような気がした 昔の人が言った有名な言葉がよみがえる 「月がきれいですね」 今なら少しわかる気がする きっと伝えたい存在があるということ たとえばおいしいレストランを見つけた時 きれいな風景の場所を知った時 あなたに教えてあげたいと思う きっとそこにあなたの命がある あなたのいない幾星霜 もう見せることもできない世界で 頭の中にあなたの命をつくる はたから見れば意味のない行為 日常のあ

    • 展墓

      さよならをかたどった目印に ぼくはそっと手を合わせた 信仰などどこにもないけど きみを想うつかの間の行為 あの日病院で泣き叫んでいた ぼくにも白髪が増えてきて 今やすっかり中年の装い あまり年相応には見てもらえないけど 生きて幸せになって と言った その言葉どおり生きてきました きみの望んだぼくになれただろうか 答えはそっちで聞けるかな 仕事に就いて書かなくなった言葉を 今さらまた紡ぎはじめたことを それを知らない誰かに読んでもらえる 便利な世の中になったことを もう知っ

      • かなり久しぶりにココア共和国に作品を載せていただけました✨今回は5月号の電子版に掲載予定です。ここ最近書くペースが落ちているところですが、良い作品を書けるようがんばります😊 ちなみに書いたのが3月だったので、東日本大震災がテーマです。震災をきちんと書いたのは初めてかも。

        • ささやかな決意

          言葉を重ねても 想いには遠く及ばない 言い表せないでいるうちに きみは消えてしまった 形にできないまま 渡せなかった小さな指輪と ぼくの名前を書いた紙を きみの胸元に入れた 白い花に囲まれ きみは白い服で 眠るような横顔 今日もきれいだね 言葉を重ねても 想いはふくらみ続けてく だから今でも繰り返すんだ きみに届くようにと 同じことばかり書く つまらない奴だと言われても ぼくは何度でも書き綴る きみへの想いを胸に きみと会えなくなって ずいぶんと経つけれど その面影

        月がきれいな夜

        • かなり久しぶりにココア共和国に作品を載せていただけました✨今回は5月号の電子版に掲載予定です。ここ最近書くペースが落ちているところですが、良い作品を書けるようがんばります😊 ちなみに書いたのが3月だったので、東日本大震災がテーマです。震災をきちんと書いたのは初めてかも。

        • ささやかな決意

        マガジン

        • オススメ作品集
          31本

        記事

          ぼくたちはそこにいた

          きみと過ごしたこの町には たくさんの思い出が散りばめられ 歩くごとに思い浮かぶ日々 たしかにぼくたちはそこにいたんだ きみのそばで生きていることが 唯一の存在意義だった きみに見つけてもらえたことで ぼくは生きていられたんだ 山間の小さな町で過ごした たった四年の時間は 一陣の風のように過ぎ去って ぼくたちは別の人生を歩んだ きみが生きていることだけが 唯一の存在意義になった きみに見つけてもらえたことは ぼくが生きる理由になった きみが生きる道のりが 幸せならばそれ

          ぼくたちはそこにいた

          ディストーション

          ぼくが好きだったあのバンドの曲を きみは好きになってくれたけど きみが好きな歌手の曲は ぼくは好きになれなかった どうしてなんだろうね わかりあえてたと思っていたのに すれ違いという名の魔物は すぐそこまで来ていたのだろうか いたたまれない気持ちで エレキギターをひっぱり出して きみの好きだったあの曲を 何となく弾いてみたんだ リバーブ強めのあの曲をあえて ディストーションかけて弾いてみた 何となくあの日常を思い出して 涙が出そうになってしまった 久しぶりに弾いたせい

          ディストーション

          エイプリルフール

          せっかくだから騙されてみたい やさしい嘘にゆられるように きみが夢に出てきて笑っている うれしくて涙が出てしまう そんな幻を望んでも結局 現実は変わらない 今日の天気は晴れ 桜が開花したとテレビが言う 季節は確実に巡っていて 取り残されたように感じてしまう あれから何年たっただろう 想うことは何も変わらないまま きみと会うこともできないまま 新しい年度が始まるらしい 一年に一度のやさしい嘘を ぼくは今年も待っている きみの好きなタイミングで 何なら別の日でも構わないか

          エイプリルフール

          悪癖

          何を書いても意味を持たない気がして 押し黙ってしまう毎日 溢れ出る言葉たちが連なっているのに 信じてあげられないのは 今に始まったことではないけれど 小さな箱庭みたいな言葉の枠 その中をいくら彩ってみても 取り繕っただけに見えてくる 覗いては閉じてきたその世界は 誰のためなのかもわからない 諦めてしまったのだろうか どうしたって届けられない言葉を 繰り返す譫言は今もぼくを 執拗に追い回しているのに 何も言えないまま今日が朽ちていく ぼくの胸に住む自我理想が 言葉を検閲し

          ある日の風景

          それじゃ明日また と言ったきり彼女は帰って来なくなった 処方されていた睡眠薬を 自宅の居間で酒とともに煽ったという 明るい普段の様子からは窺い知ることの 到底できないような何かがあったんだろう 毎日のちょっとした瞬間の中に 得体の知れない落とし穴はたしかにあって あたたかくて晴れた穏やかな日は 死神の面をした現実へと変わり 教室にはかつて彼女が座っていた席が 冷え切ったまま置き去りにされていた 本当に行こうとする人は 何も言わずに行くものだよ

          ある日の風景

          想起

          きみがその火を消した時 ぼくの今が始まった きみが道を踏み出した時 ぼくの世界は変わった 誇張でもなんでもなく それぞれの道ができたんだ それは戻ることのできない とても細い道だったんだ ぼくはきみの歩いていく姿を 言葉もなく見送るしかなかった 比喩にもできないけれど 止めることさえできなかった 踏みしめるアスファルトに 降り始めた雨が香って 一人で歩いたきみを思う とてもがんばっていたんだね ぼくが知ることのできない 無間の時間の中で こんなにも向き合っていたのに ぼ

          眠れない夜

          眠れない夜は あなたを想う 元気でしょうか 眠れてますか いつか会いたい そう思うのは ぼくだけじゃない そうだったらいい 会えないことは 百も承知だ もて余す思考 抱きしめていよう 眠れない夜は 記憶を撫でる あなたと生きた アルバムの中 今も会いたい そう思うんだ かなわぬ希望 今日もうたう 会えない日々に 書き残した詩 言葉の向こう 抱きしめに行こう 眠れない夜に 空へと願う もう一度でいい あなたに会いたい (2024.3.7.14:30)

          眠れない夜

          彼岸前

          あなたにまつわることを たくさん知ってきたつもり 知らない方がよかったことも いくつかあったけれど あなたにとっても ぼくは同じだったのか 知らなければよかったことも やはりあったのだろうか 確かめられないからこそ 確かめたくなる人の性 同じだったと思いたい 確かめられなくなったからこそ そう思ってやまないのは あなたにとってぼくの存在が 無駄ではないと思いたいから だとしたらなんて無様なんだ つらい思いをするのは いつだって愛情の強い方 誰かが歌った言葉に囚われて

          降雪

          今年も何度目かの雪が降ってきた あなたと過ごした街を思い出して ぼくはまた思考の彼方 ぼんやりと記憶を辿る旅に出る あの頃あんなにもはっきりと感じていた あなたの存在 もう今はどこにも感じることができない どこを探しても見つけることができない こんな光のなくなった世界に 生きている自分が時々虚しくなる あなたの手を離してしまったのは 紛れもなく僕自身だというのに 思い出すのはあなたがいた日々 目に映るたくさんの事象の多くに あなたの面影が宿る 喪失感は薄れるいとまもない

          繰り返す言葉

          昨夜最後にきみにおやすみを言えたこと 今朝最初におはようを言えたこと それはこれ以上ないよろこびで 一日がいつもより輝いて見えてくる 毎日は変わらずに残酷で かなしいニュースばかり流れてる 事故も事件も戦争も終わってないけど 仕事が終わればまたきみに逢えるから 今夜ただいまを最初に言えること 一緒に食事を楽しめること とりあえずそのよろこびを握りしめ 今日をいつもより楽しんで生きていく 毎日は変わりなく流れてく ともすれば同じことの繰り返し だけど見方を変えたら一緒の日

          繰り返す言葉

          選ばれなかった選択肢

          たくさんの選択の果てに たどり着いた今という基点 最善とまでは言えないまでも それなりに生きることができた それでも後悔はある しておけばよかったこと しなければよかったこと 振り返ると数え切れなくなる しかしどちらかといえばやはり 不作為による方が多い気がする もっと大切にしておけばよかった きちんと信じていればよかった きみにまつわる失敗はいつも 枚挙にいとまがない 失うということは常に 想定の外にあったのに いずれ確実にやってくる それを知ったころには すでに遅か

          選ばれなかった選択肢

          理由付け

          どうして書くことを選んだのか そんなことを考えることもある 詩では食っていけないし 理解されないことも多いだろう それでもこうして言葉を並べ続けるのは ひとえに私の不徳の致すところ なのかもしれないな 入り口はちょっとした軽い気持ちで 試しに書いてみたんだっけ どちらかといえば凝り性な自分が もっとやれると背中を押してきて 進む方向を決めてしまった 若かりし日の自分にはまさか それが続いていくとは思わず 認めてもらいたくて でも自信もなくて 承認欲求を満たすための 小さな