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ネトフリで見られるアニメ『リック・アンド・モーティ』シーズン7-4【スパゲッティの真実】がヤバかった

先ずは『リック・アンド・モーティ』がどういうアニメなのかを超ザックリ説明。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク博士にソックリなリックとその孫モーティが主役。

先にドク博士にソックリとか書いてしまったので話が若干よれてしまうのだが、モーティの配色はほとんどドラえもん、持っている科学力もほとんどドラえもん、何だかんだと言いながら孫のリックが可愛くて、ついついそのワガママを聞いちゃう辺りもドラえもん。

見た目はドク博士、中身は(著しく倫理観が欠落した)ドラえもん。それがリック

モーティはもうのび太と言ってしまって良いだろう。そんな2人によるドタバタSFコメディーアニメ。

今回ご紹介するシーズン7-4【スパゲッティの真実】は孫のモーティがリックに泣きついてあれやこれやをやってもらうという構造の話なので、話の作りもドラえもんだ。
ドラえもんとの違いは、土曜の夕方に地上波で流そうもんならクレームの嵐でテレビ朝日は焦土と化してしまうだろう・・・

リックお手製のボロネーゼを美味い美味い言いながら食うモーティ一家。素敵な家族団らんのシーンから始まる。
おかわりをせがまれたリックは自室にボロネーゼを取りに行く、待ちきれずその後を付けて行ったモーティは衝撃の光景を目の当たりにする・・・掻っ捌いた死体の腹から溢れ出るボロネーゼを皿によそうリック。モーティは憤慨し、これは一体どういうことだ!?と問い詰める。
これがアバンタイトル、30分尺のアニメの冒頭2,3分の出来事。

地球とは違う惑星に住む異星人は“自殺”すると、臓物がとても美味しいボロネーゼに変わってしまう。自殺するほどの強いストレスにより臓物がボロネーゼに変わってしまうのだ。その事実をリックから告げられたモーティは、よせばいいのに自分が食べてしまった異星人の葬式に参列し、自殺したことは非常に残念でならないが、その後、一家で美味しく頂き素敵な家族団らんを過ごすことが出来た。なので決してムダな死などではなかった!という非常にトンパチなスピーチをかます。

弔いの言葉を告げたことによりスッキリしたモーティはこれでまた美味しいボロネーゼを気兼ねなく食べられるぞ!となる(いや、、何で!??劇中ではそれほどまでに美味しいボロネーゼとして描かれている)。

モーティの弔辞がボロネーゼ星の秩序を破壊することになるとは知らずに・・・

後日リックに連れられ、ボロネーゼ星を再訪するモーティ。先日の様子とは打って変わって、荒廃しきっているボロネーゼ星。
自殺するように促す政府広報、自殺の名所の橋の下にはせっかくの美味しいボロネーゼを溢さないようにするための大きいボウルが無数に設置されていたりetc...星ぐるみで自殺を推奨する、なんとも気の滅入る星へと成り果てていた。

その原因は他でもないモーティの弔辞だ。

モーティの弔辞がその星の為政者に伝わり、臓物ボロネーゼは特産品となり、経済を回すために欠かせない物となっていた。良心の呵責に耐えられないモーティは、おじいちゃんのリックに何とかしてよ〜と泣きつく。
モーティの願いはこうだ。美味しいボロネーゼは食べ続けたい、でも、これ以上人が自殺していく様は見たくない。ボロネーゼを量産する何か良い方法を考えて!ドラえもんなら素敵なひみつ道具を四次元ポケットから取り出して何とかしてくれるだろう。しかし、相手は“著しく倫理観が欠落した”ドラえもんことリックだ。

ここからの展開はアニメならではというか・・そういうシーンを観た上でここにこうして文字起こししている訳だが、そうだとしてもそんなことを文字起こすこちらの倫理観を問われかねない『リック・アンド・モーティ』という世界観だからこそギリ成立している絶妙なバランスのものなので、是非その目でご確認頂きたい・・・

何だかんだあって量産計画は失敗に終わる。美味しいボロネーゼを食わせろ!と様々な星からボロネーゼ星に押しかけてくる異星人たち。風雲急を告げる・・・!!

ここから先はオチの展開に言及致します。ご了承ください。

ボロネーゼを食べたくなくさせるためにとある計画を思いつくリック。
ボロネーゼ星にいる自殺はしたいけど、ボロネーゼとして食われるのには納得いかない偏屈おやじフレッドをとある施設に連れ出し、貴方が死んだ暁には誰しもがボロネーゼを食べたくなくなることを約束し、薬物を投与するリック。
投与された刹那、フレッドの目の前に設置されたスクリーンに、フレッドの一人称視点で彼の一生が映し出される。オアシスの『Live Forever』のカバー曲がバックに流れながら・・・

このシーンはマジで百聞は一見にしかず!
これが何ともまーーー感動的なこと!!

話が長くなっちゃうので深くは言及しないが、このシーンはもろに名作SF映画のクラシック『ソイレント・グリーン』のオマージュになっていて、そんなことを知って観ると味わい深いんだな〜

映像が終わるとフレッドは非常に安らかな顔でこと切れる。その刹那、問答無用で腹を掻っ捌き、皿にボロネーゼを盛り付けモーティに「ボナペティ(召し上がれ)」と差し出すリック。モーティは堪らずゲーッと嘔吐してしまう。その模様はボロネーゼ星全土にも中継されていて、それを見たボロネーゼ愛好家たちもモーティ同様ゲーッと嘔吐する。リックだけは何食わぬ顔で、指に付いたソースをちゅぱちゅぱやっている。

そこからこんな2人の会話が繰り広げられる・・・

モーティ「これが解決法?味覚は変えられないから味わえないものにした。“死”じゃないのか」
リック「“生”の複雑さだ」
モーティ「つまり何?」
リック「正否のことを聞いているのなら、答えは・・・知るか」
モーティ「どうすれば?」
リック「生自体が誤りなら死が正しいことになる。それは受け入れ難いから人は生きて、食べる。フレッドはよく生きた」

そしてまた指に付いたソースをちゅぱちゅぱし、非常につまらなそうな顔をするリック。

急に示唆的で哲学的な会話が繰り広げられる、最後のリックの表情も何だか意味深だ。
これに対して腑に落ちる持論を展開することができれば僕も“一流インフルエンサー”になれるのだとは思うが、ぶっちゃけ分かるような、、分からないような・・・感慨深いものは確かにあるのだが、それを言語化することは難しい。

その後、家に帰るリック・アンド・モーティ。
食卓にハンバーグを並べるモーティ、美味い美味いと言いながらハンバーグを食べるモーティ一家。そこにリックが現れ

このハンバーグの入手経路知らなくていいのか?知ったらきっと絶望するだろうな。
どう?ハンバーグの入手経路、本当に知らなくていいんだな?

モーティ

知らなくていい!!

ガハハと笑いながらハンバーグに舌鼓を打つリック。

何とも“食えない”アニメ。それが『リック・アンド・モーティ』

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