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【ビジネス書…じゃないけど感想】土地は誰のものか

nicoと申します。

よかったら下記からプロフィール記事も読んでやってください。

書誌情報

書名:土地は誰のものか

副題:人口減少時代の所有と利用



著者:五十嵐 敬喜

ページ数:270

出版社:岩波書店

発行日:2022年2月18日

ISBN:978-4-00-431914-6

本の概要

「太平洋戦争の敗北より深刻」と司馬遼太郎が嘆いた地価高騰・バブルから一転、空き家・空き地の増大へ。生存と生活の基盤である土地はどうなるのか。近年続々と制改定された、土地基本法と相続など関連する個別法を解説するとともに、外国の土地政策も参照し、都市計画との関係や「現代総有」の考え方から解決策を探る。

岩波書店HP

手に取った動機

少子高齢化により、土地や住宅に対する考え方を変えていく必要があるのだろうと考えているのですが、根本的な知識が少ないため読んでみようと思いました。

目次

はじめに――――司馬遼太郎の嘆き

第1章 土地基本法と土地政策
 一 土地商品化とバブル
 二 旧土地基本法――――バブルへの対応
 三 新土地基本法――――不明土地・空き地・空き家への対応
 四 二つの基本法の考察――――近代的土地所有権の限界
 五 土地関連法の整備――――空き家法から登記法まで
 六 土地関連法は機能するか

第2章 日本史の中の土地所有権
 一 土地所有権の変革と「時代の転換」
 二 土地所有権の歴史――――古代から江戸時代まで
 三 明治維新と土地所有権の近代化
 四 昭和憲法と戦後の土地所有権

第3章 外国の土地所有権――――都市計画の観点から
 一 都市計画とは
 二 外国の都市計画との比較
 三 日本の参考になる外国の都市計画
 四 相続に関する各国比較
 五 アメリカと日本のランドバンク

第4章 田園都市論――――二一世紀半ばの日本の姿を求めて
 一 都市再生とコンパクトシティ
 二 東日本大震災復興と新都市の建設
 三 国土交通省「国土の長期展望」
 四 ハワードと大平の田園都市
 五 デジタル田園都市
 六 田園都市と「縁」

第5章 現代総有――――土地所有権と利用の新しい形
 一 「商品」から「幸福」へ
 二 資本主義の危機と現代総有の登場
 三 各地で見られる現代総有の展開
 四 体制の変革へ――――現代総有の主体

あとがき

感想

本を手に取ったときには意識していなかったのですが、私の元に中国地方の山の境界確認に関する書類が届いていた時期がありました。

祖父が所有していた山について、登記移転が行われていなかったようです。父は亡くなっていますので、代襲で私(とたぶん弟にも…確かめていないけど)のところに書類が来たらしいのです。
私たち兄弟は父の相続放棄をしていますので、従兄姉たちがよきようにしてくれればいいのですが、この本にもあるように境界不明で登記が移転できなかったのだと想像されます。
自治体で調査を進めてくださったようです。ありがたいことですが、すごい山の中なので、労力も費用も大変なものだったろうと思います。

本書を読み、そんなことを思い出しながら、同様な土地がきっと日本国内には数多くあり、多くの人が問題意識は持っているもののきっとこのまま変われないのだろうな、と悲観的になってしまいました。

本書で主張されている総有のような形に進まないと、少子高齢化がますます進むと生活が成り立たなくなってしまいます。
おそらく皆、論理的には理解をしているでしょう。

しかし、自分の土地、先祖代々の土地、といった感情で納得できるかは別問題で、日本はずっとその点を棚上げして今があるのだと思うのです。

学校、買い物はもとより電気、水道、ごみ収集などにも不便を感じる人が過半数となってからようやく動き出すのではないでしょうか。
次の世代に負の遺産を押しつけることになりそうで忸怩たる思いがありますけれど。

「日本史の中の土地所有権」の章は中学高校時代を思い出しながら懐かしく、「外国の土地所有権」は興味深く読みました。

お読みいただきありがとうございました。
ではでは。

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