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第24章 赤い車

赤い軽自動車の中で、子ども達は大騒ぎ。コウタくんは、

「今日は、クリスマスの飾りを作るって、先生言ってたんだ!」

って、大きな声で。美優ちゃんは、カーラジオをつけてるけど、ラジオなんか、全く聴こえない。

「山猫軒行くんでしょ!!」

サチちゃんも、大きな声。ユカちゃんは、後部座席から、マリーの後ろ髪をクルクル指で回して遊んでいる。

子ども達を、幼稚園に送り届けると、美優ちゃんの運転する車は、新花巻駅方面へと走り出した。

「美優ちゃん、免許取ったんだ?!」

あの頃の美優ちゃんとは、いろんなことが変わり過ぎていて、マリーはついていけないでいる。しあわせ園にいる女性達は、何も持ってなくて、社会からは置いてけぼりで、社会に出ても苦労ばかりで。そんなふうに言われているし、実際、マリーに見えている日本の社会システムの中では、溺れて死んでしまいそうな、社会的弱者というイメージだった。

だけど、いま、マリーの横で、カーラジオから流れる歌に合わせて、楽しそうに車の運転をする美優ちゃんは、そんなイメージとは全く違っていた。

「あの物件気に入っちゃったし、でも、あたり見回しても、幼稚園も保育園もなけりゃ、スーパーもないし。温泉はあるけどね!免許取らざるを得ないからさ。合宿で気合いで取ったよ!」

車は坂道を上り始めた。

続く

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