見出し画像

「のぞき見ドキュメント 100カメ」によせて - たまにのエッセイ テレビとラジオ no.4

 就職することを選ばなかった。その理由は、沢山あるようでそんなに無い。10代の時に学校という組織の中で形成された何かが関係しているのは確かだ。テレビ朝日の『あいつ今何してる?』という番組を見かけるたび、テレビに向かって「どうでもええわ!」と静かなツッコミを入れてしまう自分がいる。そもそも、僕は学生時代に出会った嫌な奴への感情が強すぎる。その嫌な奴が今は成人という名の進化を果たし会社という組織の中で上手いこと生きていると考えると、会社へ入る一歩目すら足が出ない。この考え方は生きづらさに拍車をかけて、何も良い事が無いのはわかっている。この考え方から脱出しなければ。そこで息抜きにテレビを観ている。とても平和だ。いや、でも本当にこのテレビ番組の中は平和なのだろうか。カメラに見切れた影で嫌な奴に泣かされているスタッフがいるのではないだろうか。あぁ、めんどくさいが止まらない。バカテンポで生きていたい!

 さて、最近観て面白かった番組にNHK総合『のぞき見ドキュメント 100カメ』がある。レギュラー番組ではなく特番枠での放送で、会社のオフィスに固定カメラを設置し、社員の生態や人間関係をのぞき見るドキュメンタリー番組だ。第一回目の放送では、集英社の中にある週刊少年ジャンプの編集部に100台のカメラを仕込んだ回だった。ネットで話題になり再放送も何度かあったので、多くの人の胸に届いたのだろう。漫画をあまり読まない僕でも楽しめた。観ていて元気が出た。行動力が湧いた。録画で三度も観返した。どうやら僕の胸にも強烈に何か届いているらしい。番組中では、ありとあらゆる性格の社員達が個を保ちながら組織として動く姿があった。そこに僕の恐れている嫌な奴の面影は見えなかった。きっと映像に映り込んでいなかっただけだろう。そう考えてしまったのも事実だが、苦しい状況下にいる同僚に対し愛とユーモアをもって接すオトナ社員の姿に、自分自身、思い出すものがあった。息苦しい学生生活の中でも、救世主的な同級生や先生の存在に何度も救われたことがある。学校や会社に限らず、どこの組織にも嫌な人はいるが、良い人もちゃんと存在している。もちろん母体の数や傾向で決まると言えば元も子もナイツだが、数会えば確実に素敵な人に出会える可能性がある。番組を観た後、そう考えられるようになった気がする。今は少し気持ちが軽い。学生時代に僕を支えてくれた人達は今何をしているだろう。最近好きな芸人とかいる?サタデーナイトとは言わず、また会いたいね。

2018.11.16


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?