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「MOONRISE KINGDOM」によせて - たまにのエッセイ テレビとラジオ no.6

 久しぶり!元気してる?最近こんな番組聴いててさ、、。そんなエッセイを久々に書きたくなった。この夏は、人間関係が思うようにいかない仕事、暑い野外とクーラー冷えした屋内との往復、友人と休みのタイミングが合わない休日などなど、大好きなチーズバーガーにポテトを刺して食べても、苦しさと寂しさが押し寄せる日々だった。だからこそ、ちょっとでも夜更かしをして、なんとなくテレビやラジオに漂う時間をつくっている。そんな中、毎週欠かさずradikoのタイムフリーで期限が切れるまで繰り返し聴いているラジオ番組がある。それがα-Stationで放送中の『MOONRISE KINGDOM』だ。DJは京都を拠点に活動する4ピースバンド・Homecomings。この番組のタイトルは、彼らが敬愛するウェスアンダーソン監督の映画タイトルから名付けられたもので、トーク中のBGMはウェスアンダーソン作品のサウンドトラックが使われている。番組の雰囲気は自然体でありながら洒落ていて、選曲の流れや継ぎ目も心地いい。最近だとNetflixのドラマ「ストレンジャー・シングス」や、新作が公開された「トイストーリー」など、懐かしさと愛おしさが詰まった映画やドラマが丸々1時間かけて特集される回もあった。そう、この番組の良いところは、音楽に留まらず、映画やドラマ・本・イラスト・食・ミスタードーナツ出町柳店への想いに溢れているところだ。自分の好きなものが誰かの好きなものになればと、微かに、ささやかに願っているような気持ちが、声色となって聞こえてくる。それもパジャマパーティーのような、気を張らなくていい仲での、夜更かしトークとして。

 そんな番組のトークパートで先日「体がちぎれそうなくらい寂しい夜がある」とメンバーが話していた。笑い話としてその話は終わったが、彼らのつくる音楽において「寂しさの存在」が表現されることは少なくない。『HURTS』という楽曲では、英詞の和訳に次のような言葉がある。「毎日毎日とは言わないけれど 嫌なことが次から次へとやってきて なんとなくの寂しさが夜に向かってくる」。決して明るい歌詞ではないけど、この歌詞がやってくる刻みのいいサビが、そっと強い気持ちにさせてくれる。自分は音楽の詳しい知識も、英語すらろくに分からないけど、Homecomingsの音楽とラジオに通じるのは、寂しさのひとつ奥にある、大事な何かを握りしめている気持ちだと思う。彼らが話す声と選ぶ音楽は、場所と時間を超えて、電波にのってやってきた確かな楽しさとして、僕の夜に向かってきている。

ありがとうHomecomings!!

2019. 9.3




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