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辞めることは敗北か。悩んできた。

持病の定期処方で小さいが人気のあるクリニックへ。Web予約前提のイマドキクリニックだ。今日は院長の一診で予約していても待たせると書いてある。仕方ないよね。

おじさん~おじいさん9割の泌尿器科で、平日朝から受付の女性にしつこくタメ口で絡む男性患者たち。早く診ろ!何時まで待たせるんだ!予約?そんなもんしねぇよしゃらくせぇ! 年寄は死ねてか?(高齢男性あるある)

30代~40代の男性患者に非常に多いステレオタイプも登場。
話し方は一見丁寧。ネチネチと持論を展開してかぶせ気味に話し続ける。
昨日確かに予約したはずですが、記録にない?ないとはどういうことでしょうか。(自分が他の病院と間違えている可能性などは一切考えない、嘘をついている可能性が高いと経験則で思う)。いいでしょう(言う言う)。それでは予約させてくださいよ(※予約というのは当日のことは普通言いません)。昨日のことは許します(どの立場だよ)。ですから予約をさせてください、はい、今、この場で!!(声大きくなる早口になる、モラ男あるある)

受付に男性Ns登場、声が小さくなるクレーマー男性患者たち・・・。地獄のような光景。

ああ・・・・昨日まで こういう場で働いていたんだな。
電話だと、助けに入ってくれる男性もいないのですよ。

希望が通らなければ皆さん「あなたはこういうお仕事にはむいてませんよ。こっちの話をきこうともしない。仕事辞めなさいよ。役立たず!死ね!」
まともな読者はええー!?また盛っちゃってぇ、と思うかもしれない。

現実です。ふつーに毎日、何回も、受話器を上げるとこういうモンスターたちにあたるのです。ある意味理由はわかりやすい。
そもそも、医師と約束した日時を守れない人たちが、「予約を変更しろ」と電話してきます。数か月、下手すると1年前に入れた予約を優先せず、
ちょっと用事ができたのよ、と平然と言い詫びることはありません。
自分の要求が通るのが当たり前、という認識で電話をかけてくるので、
「空いていない」で「そうですか、わかりました」となるはずがないのですね。

男性Nsが話さずとも、受付にスっと出てきただけで、静まり返る患者たち。
女相手なら何をいっても言いし、気分よく大声を出せるわけですね。

さて、心底、病院を辞めてよかったと噛みしめながら、ずっと引っかかっていたある事をもう一度考えました。

病院で働いている人たちは、理不尽な暴力、暴言に晒されながら、
それでも安い賃金で働いている。エッセンシャルワーカーです。
安定してるし全国どこでもいつでも就業できるから。それだけの人もいますが、多くは「使命感」で踏ん張っている。

こんな仕事もう絶対にイヤだ、と逃げ出せた私は
一点だけ、ひっかかっていたのでした。
社会的に重要で必要な仕事を、「自分はイヤなので辞める」と言い辞めることは、恥ずかしい裏切り行為なのではないか。頑張れている同僚たちより劣るので耐えられなかったんだ。

点滴棒で殴られる、認知症の男性に性暴力を受ける、車いすで真夜中に追い回され突進され怪我させられるが病院は守ってくれない、それもあって介護の仕事を辞めたときも、でも残って働いている仲間への後ろめたさがずっと付きまといました。

でも、もう二度と、医療関係の仕事はしないと決意したことで、何かがすっきりと踏ん切りがついたのでした。

医療、福祉の現場で頑張ってくださっている方々に深く感謝し敬意を示す、のと
自分は辞めて違う分野の仕事を選ぶ、は 別に両立するし、何にもおかしくない。

新しいステップへ、違う世界に挑戦、というととても聞こえがいいのですが、私の中では「自分は生き残れなかった敗残者である」という辛い気持ちがなかなか抜けなかった。

が、今日、病院退職後初めて(1日だが)患者として通院し
100%一般人、ただの患者としてお世話になるだけの立場になって見る病院の光景は、サングラスを急に外して表を見たときのような
「全く違う景色」に見えたのでした。

私は負けて逃げ出したんじゃない。
新しい景色を探しに、ある国の国境を越えて見慣れた風景を後にしただけだ。

居続ける、継続することは本当に素晴らしいこと。それは間違いない。
でも、方向を変える、新しいことをする勇気がなくて動かない人も、いる。
それでも、「続けられない自分」を今までどれほど責めてきたのか。

続けられない(飽きる)のではなく、自分はエクスプローラータイプの人間なのだ、発見が生き甲斐なのだ。見つけられるものがなくなって、次へ行こうとしてきたんじゃないか。食べる餌がなくなったら移動する野生動物なんだな。
定住して農耕を営み自分の土地を拡大したり作高を上げていくタイプではないが、
それは、性格の違いにすぎず、なにも劣っているわけではない。

やっと、そんなふうに、自分を認めてやれた気がするのです。





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