バレンタイン前日

私には娘がいる。

もうすぐ高2だ。

妻は現在、海外出張している。

妻も娘もとても可愛い。

二人とも多少、元気が良すぎるが…

その二人がバレンタインが近づくにつれ、様子がおかしくなっていた。

娘はまるでアスリートのような顔になり、妻は電話を掛ける度にテンションが上がっていった。

異様な空気に我が家は包まれていた。

私は意を決して娘に聞いてみる。

「明日はバレンタインだよね?誰かに渡すの?」

「うん。けりをつける!」

けりをつける?

まぁ、告白するってことか。

そっか……

うん、大きくなったな

男の子に告白か………

早いもんだ………

「そう、うん、お父さん応援するよ。」

「ありがと!じゃあ、跳びげり絶対成功させるね!」

!?

「と……びげり?」

「よし!そうしたら、練習行ってくるね!」

娘は家を飛び出ていった。

と び げ り ?

妻に電話を掛ける。

「もしもし、どうしたの急に?」

「あっもしもし!私達の娘は何をするの?今、明日のバレンタイン応援するねって言ったら、けりをつける、跳びげり成功させるって!」

「あははははっ、聞いちゃった?聞いちゃった?大丈夫、大丈夫!インパクトをつけるだけだからインパクト!大切でしょ。インパクト!」

「うん!意味分かんない!インパクト?」

「まぁ大丈夫よ、私達の娘は。ちゃあんと成功させるって!」

「何を!告白?決闘?」

「あははははっ、じゃあ私、忙しいから!」

「えっちょっ」

切れた

……………

うん

……………

最近のバレンタインはワイルドなんだな!

……………

うん

……………

うん、とにかく!

頑張っているのなら応援しよう。

そして、良いことがあったら一緒に喜んで、辛いことがあったら一緒に悲しもう。

明日はバレンタイン

恋人たちの日

何が起こるのか分からないけど、帰ってきたらもう一度伝えよう。

「頑張れ、応援してる!気持ちはちゃんと伝わるから!」

そして

「怪我をしない、させないように!」と

#ハピバレ2015 #小説 #短編小説

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