「あたたかくも、冷たい夢」
2021年6月20日
どこかの学校の、せいせいするほど天井の高い体育館に来た、私と同行者。
既に何人かがフラフープやバスケットボールやらで運動している。
体育館のステージの上手、お客さんからは見えない所に行くと、様々な大道具が秩序無く置かれていた。
その雑然とした空間の中でも、彼は光り輝いていた。
渚カヲル。
二次元のキャラクターのはずだが、今回はしっかり三次元の人間として、そこに存在していた。
確かに人間だが、限りなく、あのよく見慣れた渚カヲルである。
彼と少し言葉を交わすと、私は彼と、そっとハグをした。
そして私は、突如観客でいっぱいになった体育館のステージ……舞台へ、悠々と歩いた。
舞台に設置された大階段の上に立ち、熱く白っぽいライトを浴びながら、台詞とともに階段を下った。
……台詞から察するに、かなりの端役なのにな。
いつの間にか同行者と別れて、照明の無い、明かりは外からの太陽の光のみという階段を、そろりそろりと上っていく。
「……」
パソコンの前のデスクチェアに、立て膝で座った青年に、じっと見られている。冷たいが、こちらを見透かす力を持った瞳だ。
たどり着いた先は、天才ハッカー集団が集う、暗い部屋だった。
【謝辞】せんさんの素敵な絵を使わせていただきます。ありがとうございます!