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山形県の「警報級の可能性(早期注意情報)」をチェックする時に知っておいて欲しいたった一つのこと

突然ですが、あなたは「警報級の可能性(早期注意情報)」をご存知でしょうか?
気象庁が発表する防災気象情報のひとつで、警報を出すほどのひどい大雨、暴風、高波、大雪になる可能性を3段階で示し、かつ、向こう5日先まで確認できる優れもの。
便利なコンテンツなんだけど扱いには少しコツが要るため、紹介も兼ねて解説します(強引)。

オオカミ少年?いえ、違います

まずは事例解説。つい先日11/18と11/19に山形県では庄内地方に暴風警報が出されましたが、事前の呼びかけはどうだったか。11/18の2日前、11/16(木)までは山形県全域で暴風警報を発表する可能性が「高い」としていました。そして前日の11/17(金)になって庄内に絞られています。
実はこの「はじめ県全域→結局は庄内だけ」というパターンは山形県ではよく見られるもの。特に天気が荒れる冬場は月に何度も見られます。
前日になって予報が変わる。予報が絞り込まれただけでは?はたまたオオカミ少年?
いえ、違うんです。予報の精度とは別の事情があるんです。

11/16時点では、11/18の山形県は全域で暴風警報の可能性が「高い」としていた
11/17になると庄内を除いて暴風警報の可能性が低くなりました。いったいどういうこと?

実は、

実は「警報級の可能性」と呼ぶこの情報、「今日明日の天気予報」と1週間先までの「週間天気予報」がひとつになっている画期的なもの。
このひとつになっているというのがミソ、といいうよりほぼネタ晴らし。

少し脱線して気象庁の天気予報を確認してみましょう。まずは「今日明日の予報」、山形県内を4地域に分けて示しています。

そして「週間天気予報」、どの市町村から調べても山形市のものが表示されます。

もうお判りですね?「警報級の可能性」もそれぞれの天気予報の区割りに沿って発表されているのです。当たり前のことなんだけど、これがオオカミ少年の元凶。

35分の1

整理しましょう。
①今日明日までの警報級の可能性→天気予報の区割りで発表
②明後日〜5日先の警報級の可能性→週間天気予報の区割りで発表

乱暴なことを言ってしまえば、②明後日〜5日先の間で警報級の可能性が示された場合、「山形県内の35市町村いずれかに警報を発表するかもね!内陸も庄内も区別してないよ!」ということです。

警報級の可能性(早期注意情報)の解説図。気象庁のHPより。
今日・明日→「天気予報」の区割りで発表。
明後日~5日先→「週間天気予報」の区割りで発表

何か良い方法はないの?

理屈はわかった。ということは庄内地方はともかく、内陸に暴風警報の可能性があるのかどうか、前日にならないとわからないの?ただでさえ暴風警報が発表される機会の少ない内陸にとっては、オオカミ少年じゃん?
そもそも週間天気予報を内陸と庄内で分ければ良いじゃない!というのもご尤も。

ただ、気象庁にもそれなりの理由がありそうです。同じ日本海側の地域で見ても、内陸と沿岸で週間天気予報を分けている地域はありません。上記の問題を解決するには週間天気予報の区割りを見直すのがいちばんですが、山形県だけ変更するのは難しいように思います。

ではどうするか。

山形県と一緒に福島県会津地方を確認しましょう。

何故か。もう一度週間天気予報の区割りを整理します。実は福島県の週間天気予報は2地域あります。「中通り・浜通り」それと「会津」です。

❶山形県→県内全域(日本海側内陸+庄内)
❷福島県
 →1.中通り・浜通り(太平洋側内陸+沿岸)
 →2.会津(日本海側内陸)

山形県の警報級の可能性(明後日〜5日先)が分かりづらいのは、同じ県とは言え内陸と庄内を一緒くたにしているのが原因です。それなら、日本海側の内陸「だけ」を予報の対象にしている福島県会津の状況を確認しよう、というもの。

もう一度11/18の事例を確認してみましょう。2日前の11/16までは山形県全域に暴風警報を発表する可能性が高いとしていました。同じく福島県会津の状況を確認すると、警報級の可能性は示されていません(なお、福島県中通りと浜通りは太平洋側なので無視します)。
前日の11/17。山形県内陸にも福島県会津にも暴風警報の可能性は示されず、11/18の両地域に暴風警報は発表されませんでした。
おぉ、会津さんありがとう!

山形県全域で暴風警報の可能性が「高い」としていた2日前の11/16、福島県会津では「高くない」
山形県内陸で警報級の可能性が「高くない」となった前日、福島県会津は引き続き「高くない」

警報を待つことなく

海上を除く福島県と山形県の暴風警報の基準はどちらも一緒です(10分平均の最大風速が18m/s)。オオカミ少年に振り回されないためにも、状況を広く確認する癖を付けておきたいものです。

ひとつだけ注意もあります。

暴風警報には届かない注意報レベル(10分平均12m/s)の風でも、実生活では結構な影響を受けます。お天気の世界では「やや強い風」と表現されますが、全然ややじゃねえよ!と思うくらいに12m/sて相当な強風ですよ。

傘はさせないし大人でも風に向かって歩けず、クルマは煽られ果物は落ちる、ビニールハウスはもちろん建設現場の足場も危険です。
気象庁|予報用語 風の強さと吹き方

強風対策が必要かどうか、「山形県に暴風警報の可能性がある」はそのトリガーとして充分に使えると思います。もちろん「福島県会津地方にも暴風警報の可能性がある」となれば、一段と強い本気の備えが必要になります。
内陸では特に強風への耐性が脆弱です。警報を待っていてはいけません


強風対策は抜かりなく。あくまで情報に振り回されないためのひとつの工夫として活用して頂ければと思います。