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4.男の居場所を提供する元地球防衛員

にへどん(けさらんぱさらん研究所)によるインタビュー「居酒屋BAR 『キリヤマ』店長:キリヤマ・カオル氏」 

にへどん: 本日は居酒屋BAR 『キリヤマ』 を経営される キリヤマ・カオルさんにお話を伺いたいと思います。 早速ですが “居酒屋BAR” という名称は珍しいですよね?

キリヤマ: 前職を辞めてしばらくしてから、知人から「居ぬきの居酒屋があるのでやってみないか」と誘われたんですよ。 もともと飲み屋のおやじになるのが夢だったりもしたので、割と即答気味で店の権利を買ったんです。 だけど、実際に始めようとしたら、私はちっとも料理ができないってことに気がつきましてねぇ(笑) あ、最近では少しはやるんですよ、でも、最初のころはそれこそ厚焼き卵ひとつ満足にできなかったんです。 で、どうしようかなって考えて、とりあえず酒だけ出す店にしようかなと思ったんです。酒ならかなりの種類を揃えられそうだったので。

にへどん: キリヤマさんは前職の頃からかなりたくさんの珍しいお酒をコレクションされていたんですよね。

キリヤマ: ええ、前職では世界中を、それこそ 『宇宙中を(笑)飛び回って』 いましたので、そのときに見つけた珍しい酒をコレクションしていたんですよ。 そのときに親しくなった酒のメーカーさんや酒屋さんもたくさんいたので、酒ならどこにもまけないくらい豊富に出せる店にできるなと思ったんです。 でも料理ができないので “居酒屋” というわけにはいかず、BARにしようと思ったのですが、なにしろもともと居酒屋だった店を居抜きで買い取ったわけでしょ。 カウンターとか座席とか完全に居酒屋なわけですよ。で、“居酒屋BAR” ってことにしたんです。

にへどん: なるほど。でも、いくらBARでもおつまみぐらいは必要ですよね。料理ができなかった頃はどうしていたんですか。

キリヤマ: 最初は缶詰をそのまま出していたんです。もちろん缶を開けてお皿に盛ってですよ。 そのくらいは当時からできましたらか(笑)。 実は前職で私が辞めた後に、私の役職についた男が退職後、珍しい缶詰を作る会社を作りましてねぇ(※)。 そこから缶詰を卸してもらったんですよ。 これが大好評になりまして、いまでもうちの売りの一つになっています。

※ その男性へのインタビューは https://note.com/nihedon_kesapasa/n/n79d84915e1bf

にへどん: 珍しい缶詰って、具体的にはどんなものなんですか?

キリヤマ: ま、普通では手に入らないイキモノの肉やら内臓やら脳みそやら目玉やら、ま、そんな感じなんですかねぇ。 一口食べただけで、ビッビッとくる凄いものばっかりですよ。

にへどん: それは気になりますねぇ。今度是非、うかがわせてください。 ところで、居酒屋BAR 『キリヤマ』 のお客さんはどんな方が多いんですか?

キリヤマ: なんていうか、独自の雰囲気を持った方が多いですね。 先ほど説明したたいへん珍しい缶詰を食べたり、私が世界中、宇宙中(笑)から仕入れた特殊な酒を呑んでいるので、精神が犯された方もいるかもしれません(笑)。 自分の事を 『宇宙人にサイボーグに改造された』 と言っている方(※1) や、自称 『博士号を5つも持っている地球の頭脳』 という方(※2) なんかがいますよ。はっはっは(笑)。

※1 この方へのインタビューについては、https://note.com/nihedon_kesapasa/n/naa525d25aeaa
※2 この方へのインタビューについても後日予定。

にへどん: なんか楽しそうですね。

キリヤマ: そうですね、ま、所詮、男なんて孤独ですから、子供を生ませること、仕事をすること以外、なにも価値なんてありませんからねぇ。 だもんで、独身で、しかもロクな仕事もしていない男なんて、社会的にちっとも認めてもらえないんです。 たとえ家庭を持っていたとしても、女房に子供を生ませたら、あとは定期的に金を運んでくるだけの存在ですよ。 だからそんな妄想でもしていないとやってられないのです。

にへどん: 悲しい男のサガというやつですね。 だからこそ、男たちには酒を呑んで酔っ払う必要があるんですよね。

キリヤマ: そうなんですよ。酔っ払っているあいだは妄想の中でどんな夢だって叶えることができるんです。 うちの店のお客さんはまさにその典型。 みんな一人で酒を呑みに来て、一人で酔っ払ってブツブツとなにか独り言をいってますよ、実にみなさん楽しそうな表情をしながら。

にへどん: まさに理想の “男の居場所” じゃないですか。 それに、お店で出されている缶詰やお酒も、そういう妄想を膨らませる特別な効果があるようですし、実に素晴らしいお店ですね。

キリヤマ: うちで出す酒には、かなり強烈な成分が入っていますから、あ、詳しくは言えませんけどね。 それと例の缶詰でしょう、この組み合わせは最高ですよ。 馬鹿なマスコミや、調子こいた女どもが言うような価値観なんて、全部、権力者たちの情報操作だってわかりますよ。 本当のリアルというのは、酔っ払った男たちの妄想の中にあるんです。 いや、妄想することそのものがリアルなんですよ。

にへどん: なんだか哲学的ですね。

キリヤマ: 哲学、良い言葉ですねぇ。 そう、今の男たちこそ哲学が必要なんです。 女たちの言動に一喜一憂したり、世の中のデキゴトにいちいち反応したりするんじゃなくて、自分の脳内で楽しみを作り出すには哲学が必要なんですよ。 うちの店は、個人個人の中に哲学を育てるための空間を提供しているんです。 それが私の仕事なんです。

にへどん: 素晴らしいですね。ところでその妄想を引き出す缶詰とお酒なんですけど、その缶詰には宇宙人の肉や内臓が使われているなんて噂もあるようですね。 キリヤマさんが以前お勤めになっていたお役所が収集した宇宙人の死骸が使われているとか。 それと、お店で出されているお酒というのも、宇宙人が作った酒だなんていう噂とかもあるようですが。

キリヤマ: ・・・・・・・。

にへどん: ま、そんな噂なんか気にせず、自分自身の脳内で自分だけの幸福を妄想することが一番ですね。 キリヤマさんの先ほどのお言葉で、それがよく解りました。

キリヤマ: いやあ、そう言っていただけると嬉しいです。

にへどん: 今日はどうもありがとうございました。


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