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8.レーサーから実業家への転身

ラッキーアイテム製造販売 『株式会社マグネリウム』 代表:ナツ・アヤコ氏 / 聞き手:けさらんぱさらん研究所 所長 にへどん

にへどん:
 本日は、コメンテータとしてのご活躍で、OLさんたちのカリスマ的な存在にもなっています、 『株式会社マグネリウム』 代表の ナツ・アヤコさんにお話を伺いたいと思います。ナツさんよろしくお願いします。

ナツ:
 よろしくお願いします。
 あら、貴方、何かお悩み事があるみたいね。そういう時は、この赤い 『マグネリウム』 の入ったネックレスが効果的ですよ。

にへどん:
 おっと、いきなり営業されてしまいましたね。
 これが今、巷で大人気のラッキーアイテム 『マグネリウム』 なんですね。ただ、ひとまずは、私への営業活動は置いといていただき、この 『マグネリウム』 の説明をお願いできますか?

ナツ:
 あら、失礼しました。
 この 『マグネリウム』 は 『ダイモード鉱石』 という石から作られているのです。
 これに、特殊な加工を行うことで、あらゆる困難を取り払い、幸福を与える力である  『マグネリウムエネルギー』 が発せられるようになるのですよ。

にへどん:
 その 『ダイモード鉱石』 とはどんな鉱石なのですか?

ナツ:
 実は私は若い頃、ラリーのレーサーをやっていて、海外のレースにもよく参加したんです。
 そして、サファリラリーに参加していた時に、地元の有力者から 『ダイモード鉱石』 を頂いたのですが、これが、私と 『ダイモード鉱石』 との初めの出会いでした。
 『ダイモード鉱石』 は、その地元の村では昔からお守りとして愛用されていて、不思議な力があると信じられていたのですよ。

にへどん:
 サファリラリーに参加されたこともあるようなレーサーだったのですね。カッコイイですねぇ。
 それでそこで出会った 『ダイモード鉱石』 を使ったラッキーアイテムを製造販売することになったのですね。
 でも、地元ではなぜ 『ダイモード鉱石』 をお守りにするようになったのでしょうね。

ナツ:
 その地元の村には 『ダイモード鉱石』 にまつわる神話があるのです。その神話は、大昔その村に、『ガッツ』 という悪魔が表れ、地元の守り神である 『ウィンダム』 を倒してしまったというところから始まるのです。
 その時に、一人の救世主が表れて悪魔に立ち向かうのですが、悪魔の強力な力により救世主は ガラスの十字架に掛けれ、翌朝の日の出とともに殺されてしまったのです。
 ところが、その 『破滅の夜明け』 の時に、太陽からの光が地面に露出していた 『ダイモード鉱石』 に当たり、そこから強力な 『マグネリウム・エネルギー』 が放出されたというのです。
 その 『マグネリウム・エネルギー』 を浴びた救世主は、ガラスの十字架を打ち破り、『ガッツ』 という悪魔を退治した、というのがその神話の内容なんですよ。

にへどん:
 へえ、面白そうなお話ですね。
 その神話を聞いたナツさんは、その 『ダイモード鉱石』 を使ったラッキーアイテムの製造販売を思いついたのですね。

ナツ:
 はい、そうなんです。
 レーサーとしてはあまり活躍できなかったので、別の仕事を考えていた時だったのですが、これはイケると思ったんですよ。
 現地から 『ダイモード鉱石』 を輸入して、それを当時 『イズミガオカ』 にあった私のマンションの一室で加工して、ラッキーアイテムを作り始めました。
 一から十まで手作業で作ったアイテムをネットで販売することから始めたビジネスなのですよ。

にへどん:
 まさに細腕繁盛記ですね。
 『ダイモード鉱石』 から発せられる 『マグネリウム・エネルギー』 が、このラッキーアイテムの秘密なのですね。

ナツ:
 もちろん、そのままでも 『ダイモード鉱石』 からは 『マグネリウム・エネルギー』 は放出されているのですけど、私はそれにβ線を当てることで、『マグネリウム・エネルギー』 のパワーを増強させたり、当てるβ線の種類によって、その効果を特定させたりしているんでよ。
 最初は、β線の当て方によって “恋愛が成就するパワー”  “健康になるパワー” “金運が上がるパワー” という3種類のラッキーアイテムの製造販売を行っていたのですが、今では、更に複雑にβ線の当て方を変えることで、“嫌いな上司を左遷させるパワー” とか “年下のブルジョア・イケメンボンボンをゲットするパワー” とかを持ったラッキーアイテムの開発にも成功したのですよ。

にへどん:
 それは凄いですね、でも、β線って、中性子が崩壊して陽子になるときにニュートリノと一緒に放出される、高エネルギーの電子のことですよね。
 そんなものを、マンションの一室で、どうやって作り出したのですか?

ナツ:
 え? まぁ、そんなこと、いいじゃないですか・・・。
 ていうか、当然、企業秘密ですよ。

にへどん:
 それはそうですよね。私としたことが不躾なことを伺って申し訳ございませんでした。
 ところで、ナツさんは最近ではいろいろなテレビ番組にご出演されたり、雑誌で人生相談のコーナーをお持ちだったりと大活躍ですが、更に、今度は大型リゾート施設の開発も手掛けられる予定があるとのことですよね。

ナツ:
 そうなんです。たくさんの方に 『マグネリウム・エネルギー』 の素晴らしさを知っていただき、幸福な人生を歩んでいただきたくために、様々な 『マグネリウム・エネルギー』 の利用が実践できる施設を作る準備をしています。
 場所は、私にとってビジネスのスタート場所である 『イズミガオカ』 です。3年後にはオープンする予定なんですよ。

にへどん:
 それは素晴らしいですね。
 そこではどのような 『マグネリウム・エネルギー』 の利用ができるのですか?

ナツ:
 まずは “マグネリウム・エネルギーが溶け込んだ足湯” です。足の皮膚から取り込まれた 『マグネリウム・エネルギー』 が全身に行きわたります。
 それと、『マグネリウム・エネルギー』 と 『ヨガ』 とを融合した 『マグネリウム・ヨガ』 ですね。これは身体中の細胞が活性化されると同時に、未知の能力を引き出すことが可能になりますよ。
 あとは、『マグネリウム・エネルギー』 で育てた有機野菜の販売や、それを使った料理を提供するレストランなどもあります。
 もちろん、『マグネリウム・エネルギー』 を発生さえるラッキーアイテムも全種類発売する予定です。

にへどん:
 3年後のオープンが待ち遠しいですね。

ナツ:
 ありがとうございます。
 『貴方の人生を マグネリウム・エネルギー でもっと素敵に』 というキャッチフレーズで運営していきたいと思いますので、皆さん是非、楽しみにしていてくださいね。

にへどん:
 ナツさん、本日は素敵なお話をどうもありがとうございました。

【ご参考まで】
●ナツ・アヤコ(夏彩子)はウルトラセブン第40話「セブン暗殺計画 後編」に登場した人物で、フルハシ隊員の妹の友人でレーサーという設定。
●この話は、ガッツ星人により捕らわれ、透明な十字架に架けられてしまったウルトラセブンの意識を取り戻すために、彩子がアフリカのレースでもらった「ダイモード鉱石を含む宝石」を使ったという話が元です。
●作品中ではこの「ダイモード鉱石」にβ線を照射することで「マグネリウムエネルギー」を生じさせ、これを使ってウルトラセブンの意識を取り戻させ、復活したウルトラセブンはガッツ星人を倒したのです。
●この話の前の回である「セブン暗殺計画 全編(第39話)」では、セブンに変身前のモロボシダンが、カプセル怪獣「ウィンダム」をガッツ星人と戦わせるのですが、ウィンダムはあえなく敗退してしまっています。
●イズミガオカは、この話中で舞台となった架空の都市です。


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