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過去最大・8台の機械導入 効率化と環境負荷軽減を実現

皆さん、こんにちは。日本ニューノーズルで技術から採用まで幅広く担当している製造部の田中正之です。

日本ニューノーズルは、主にプラスチックなどの素材を加工する射出成形機の部品を製造している会社です。以下の3つを事業の柱としています。

①部品を生産・販売する製造事業
②サービスパーツを生産・販売するサービス事業
③現在進行中の新規事業の3本柱で事業

今回のnoteのテーマは、新しく導入した機械についてです。弊社は昨年度、8台の機械を新たに購入しました。今までにない大規模な設備投資です。これにより、環境負荷低減につながる高精度なノズルをつくることが可能になりました。


■設備投資の目玉
「プロファイル精密平面研磨機」

<プロファイル精密平面研磨機を操作する技術部門の責任者、藤原>

前回のnoteは、総額2億2000万円をかけて8台の機械を新たに導入したことをお伝えしました。採択率が極めて低い、経済産業省が支援する事業再構築補助金を活用しています。このうちの4台について、特徴や目的をご説明していきます。

まずは、設備投資の目玉とも言える機械「プロファイル精密平面研磨機」です。ノズル製造は金属を刃物で削って形をつくっていきますが、削った溝の部分には凹凸ができます。その凹凸を磨いて滑らかにするのが研磨機の役割です。

今回導入したプロファイル精密平面研磨機は、特殊な研削加工によって研磨自体の時間が短くなることに加えて、その後の磨き工程も短縮できます。ノズルの溝1か所につき、従来は30分程度かかっていた研磨の時間は15分以下となり、後工程である仕上げ磨きの時間も30分から15分ほどに短縮されました。

磨き工程の時間を半分にできた理由は、「コンタリング加工」と「トラバース加工」という機能が付いているためです。ノズルの溝を加工する時、ミクロの単位で縦に線が入ります。機械は縦方向の動きで研磨するためです。
この線を仕上げ磨きの工程で消していきます。新しい機械に付けた2つの機能によって、溝の加工と同時に横方向の動きで縦線を消せるようになりました。

■世界に1台 完全オリジナルの工作機械

このプロファイル精密平面研磨機は完全オリジナルの工作機械です。弊社が希望する機能を工作機械メーカーに設計してもらったので、同じ機械は他にありません。弊社が求める精度に到達するまで何度もテストを繰り返した末に完成しました。

1からつくった機械なので説明書も1からつくってもらいました。弊社の従業員で最も機械に関する知識や経験が豊富な藤原が、工作機械メーカーの担当者と打ち合わせを重ねてプログラムを組んでいきました。

過去のnoteで触れている通り、藤原は“機械と会話する”弊社のレジェンドです。好奇心は衰えておらず「新しいおもちゃが増えた」と今回の機械導入を喜んでいました。今後、若手従業員に機械の使い方を詳しく教えていく予定で「機械によって仕事のやり方も変わってくるので、自分なりの方法や楽しみを見つけてほしい。若手に引き継いでいきたい」と話していました。

その時の記事をまだお読みになられていない方は、読んでいただけると嬉しいです。

■一度に最大8個を同時に噴流
「NC放電加工機」

<今回導入したNC放電加工機の説明をする私、田中>

次に紹介する機械は「NC放電加工機」です。放電加工機自体は一般的で、電極をつくり出して金属を加工する機械です。弊社はノズルの穴を加工する際に使っています。

電気の力でノズルの形状をつくっていくと、金属を削ったカスが出ます。通電して焦げたカスが加工中のノズルにたまると品質が落ちたり、その後の工程に時間がかかったりしてしまいます。そこで、噴流という機能でノズルの穴にカスがたまらないように加工します。

新たに導入した放電加工機は噴流を枝分かれさせ、一度に複数のノズルの穴をきれいにすることができます。最大8個のノズルを同時に噴流できるため、作業効率が上がって精密ノズルの量産を実現できました。

■特殊仕様の「新型NC旋盤」

<作業時間の短縮につながっている新型NC旋盤>

3つ目の工作機械は「新型NC旋盤」です。NC旋盤もモノづくりの企業では一般的な機械です。陶芸で使うろくろのような形状で、製品を回しながら刃物で削っていきます。

加工前の金属の表面は、通常、きれいな状態ではありません。このままの状態では機械部品として不向きなので、熱処理で表面を削って加工していきます。NC旋盤は素材から大まかな形状をつくる機械ですが、弊社が取り入れた特殊仕様のNC旋盤は精度が高く、より完成に近い形まで加工できます。その後の磨き工程の時間が短くなるメリットがあります。

■0.001ミリの精度「ワイヤ加工機」

<凹凸の少ない滑らかな円に削るワイヤ加工機>

最後にご説明するのは「ワイヤ加工機」です。放電加工機と同じように金属を削る機械ですが、こちらはワイヤを用います。弊社はノズルの穴を加工する時に使っています。

穴がゆがんだ丸になっていると、ノズルに樹脂を流した時に滞留してしまい、射出成形機の故障につながったり、製品の品質を落としたりする恐れがあります。目で見て分からないほどの凹凸でも、精密機械の部品としては致命傷になりかねません。

ノズルは仕上げの工程でツルツルに磨けているほど品質が高く、今回のワイヤ加工機は2~3ミクロンまで凹凸を小さくできます。1ミクロンは0.001ミリです。これだけ精密な加工ができるので、今まで以上に高精度なノズルを製造する可能性が広がりました。磨き工程も短くなり、生産性の向上も期待できます。

■材料の廃棄97%削減 
環境に優しいノズルの製造実現

<工場に新しい機械を搬入する様子>

弊社は2023年度に新規で8台の機械を導入しました。経済産業省の事業再構築補助金が採択されたのは、これらの工作機械によって環境性能に優れた高品質なノズルの製造が可能になるためです。

具体的には、今まで1つのピースでつくっていたノズルを複数のピースに分け、組み立てて1つのノズルにする為の加工精度が大幅に向上しました。これにより、例えば消耗したノズルの先端部分だけを新しく取り替えることができます。

1つのピースからできているノズルは先端だけの交換ができないため、全てを購入する必要があります。それだけ多く材料となる金属を使用するわけです。今回の設備投資で廃棄する材料は97%削減できる見通しで、環境負荷低減につながります。

1年で8台もの機械を導入することは弊社にとって初めてでした。機械を設置する為には工場内にスペースをつくり、不要な機械を運び出さなければいけません。一度に全ての搬出と搬入はできないため、何日にも分けて作業を進めました。

作業は土日に行い、月曜日からは通常通り工場を稼働します。普段の業務をしながら、新しい機械を入れるスケジュールを組むのは大変でした。お客さまへの納期に影響もなく、無事に終了してホッとしています。

以上、新しく設置した機械についてお伝えしました。最後までご覧いただき、ありがとうございます。次回のnoteも楽しみにしていてください。

■会社HP
http://nihon-new-nozzle.co.jp/

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