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日常的な世話、急迫な場合→片方の親でも決定可 離婚後の共同親権案


 離婚後りこんごの「親権しんけん」はどうあるべきなのでしょうか。いまはちちははどちらかの単独親権たんどくしんけんしかみとめていませんが、両方りょうほうに認める「共同親権きょうどうしんけん」という選択せんたくくわわる可能性かのうせいてきました。共同親権をめぐっては賛否さんぴはげしく対立たいりつしています。「離婚後も干渉かんしょうつづき、DVや虐待ぎゃくたいからのがれられなくなる」という反対意見はんたいいけん、「離婚によって一方いっぽうおやだけが親権しんけんうしなうのは理不尽りふじん」という賛成意見さんせいいけん、どちらも切実せつじつひびきます。なんのない子どもの人権じんけんこそ第一だいいちかんがえるべきだ、という大前提だいぜんていいたとしても、ひゃく離婚りこんがあれば百通ひゃくとおりの関係性かんけいせいがあり、全員ぜんいんにとっての「正解せいかい」はない問題もんだい。この国会こっかい関連法案かんれんほうあん提出ていしゅつされるそうですが、国会のでも、メディアなど言論空間げんろんくうかんでも議論ぎろんくされることをねがいます。 (野田哲也コンテンツ戦略ディレクター)
  
 現行法げんこうほうでは、父母ふぼのうち一方を親権者しんけんしゃさだめなければ離婚りこんできない。要綱案ようこうあんは、このルールの見直みなおしを提言ていげんした。
 まず、父母の協議きょうぎで、離婚するかどうかを決める。離婚に合意ごういすれば、つぎに、父母のうち一方の単独親権たんどくしんけんにするか、双方そうほう共同親権きょうどうしんけんにするかをはないでさだめる。
 家庭内暴力かていないぼうりょく(DV)などで共同親権きょうどうしんけん合意ごうい強制きょうせいされないよう、離婚と親権の協議きょうぎはなせるようにした。親権しんけん協議きょうぎわなくても離婚だけを成立せいりつさせ、あとから家裁かさい親権者しんけんしゃだけをさだめることができる。
       (略)
 要綱案ようこうあんには、親権の有無うむかかわらず、父母が子の利益りえきのため、たがいに人格じんかく尊重そんちょうし、協力きょうりょくすることが明記めいきされた。相手あいて理由りゆうなく排除はいじょするような行動こうどうがあれば、親権者として不適格ふてきかく事情じじょうとして考慮こうりょされることになる。
           (2024年1月30日朝日新聞 久保田一道、伊藤和行)
 


〈ことば〉
     干渉…他人のすることに口出しして自分の意見いけんしたがわせようとす
        ること。
     虐待…暴力ぼうりょくをふるう、食事しょくじあたえないなどむごいことをするこ
        と。
     要綱…物事ものごと基本きほんとなる重要じゅうようなことがら。
     協議…ある問題を解決かいけつするために、関係者かんけいしゃが話し合うこと。
     強制…権力けんりょく威力いりょく腕力わんりょくなどによって当人とうにん意志いしかかわりなく、
        無理むりに何かをさせること。
     家裁…家庭裁判所かていさいばんしょ      
 
 


1 共同親権きょうどうしんけん賛成さんせいする意見いけん反対はんたいする意見にはどういうものがありますか。
 それぞれ理由とともに、「~だから…」のかたちきなさい。
2 子の親権について、現行法げんこうほう要綱案ようこうあんとを比較ひかくしてまとめました。( )に入る言葉を本文中から探しなさい。
 1) 父母が離婚を決めると、現行法では、どちらか一方を( ① )に決めな
  ければならない。
  要綱案によると、離婚を決めたあと、( ② )か( ③ )か選ぶことがで
  きる。
  ( ② )を選んだ場合、どちらが親権を持つか決める。
 2) 家庭内暴力(DV)などで折り合いがつかないときは、まず( ④ )を成
  立させ、後から家裁が( ⑤ )を定めることができる。
3 親の離婚で、もっと大切たいせつにすべきことはなんですか。
4 そのために、双方そうほうおや必要ひつようなことはなんですか。


*もう一度読んでみよう。

 離婚後の「親権」はどうあるべきなのでしょうか。いまは父か母どちらかの単独親権しか認めていませんが、両方に認める「共同親権」という選択肢が加わる可能性が出てきました。共同親権をめぐっては賛否が激しく対立しています。「離婚後も干渉が続き、DVや虐待から逃れられなくなる」という反対意見、「離婚によって一方の親だけが親権を失うのは理不尽」という賛成意見、どちらも切実に響きます。何ら非のない子どもの人権こそ第一に考えるべきだ、という大前提を置いたとしても、百の離婚があれば百通りの関係性があり、全員にとっての「正解」はない問題。この国会に関連法案が提出されるそうですが、国会の場でも、メディアなど言論空間でも議論が尽くされることを願います。      
 現行法では、父母のうち一方を親権者と定めなければ離婚できない。要綱案は、このルールの見直しを提言した。
 まず、父母の協議で、離婚するかどうかを決める。離婚に合意すれば、次に、父母のうち一方の単独親権にするか、双方の共同親権にするかを話し合いで定める。
 家庭内暴力(DV)などで共同親権の合意を強制されないよう、離婚と親権の協議を切り離せるようにした。親権の協議で折り合わなくても離婚だけを成立させ、後から家裁が親権者だけを定めることができる。
       (略)
 要綱案には、親権の有無に関わらず、父母が子の利益のため、互いに人格を尊重し、協力することが明記された。相手を理由なく排除するような行動があれば、親権者として不適格な事情として考慮されることになる。


〈こたえ〉
1離婚によって一方の親だけが親権を失うのは理不尽だから賛成。
 離婚後も干渉が続き、DVや虐待から逃れられなくなるから反対。
2 ① 親権者 ② 単独親権 ③ 共同親権 ④ 離婚 ⑤ 親権者
3 子どもの人権
4 互いに人格を尊重し、協力すること。



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