輪島朝市の未来へ「コロッケで地元の力に」「絶対に立て直す」若い力が動き出す
石川県輪島市の輪島朝市近くに店を構える創業80年以上の精肉店「藤田総本店」4代目の藤田真也さん(32)は、火災の延焼を寸前で免れた店舗で今月下旬に営業を再開した。「地元の力になりたい」と力を込める。
市内唯一の能登牛の認定販売店で、肉質の高さが売り。コロッケなど豊富な種類の揚げ物も長年愛されてきた。
朝市通りの南にあり、朝市の火災では数十メートルまで火の手が迫った。入り口のガラス扉は割れ、肉を切る機械が倒れて器材が散乱。水も電気も止まった。
それでも店をたたむ気はなかった。「またコロッケが食べたい」。周囲の励ましや応援も背中を押した。
ただ、肉の処理や衛生面から営業には水が不可欠。断水が続く中、井戸水の利用を模索し、水質検査に合格して再開にこぎ着けた。
約50日ぶりに店を開けると、なじみの味を求める客が次々に訪れ、揚げたてを持ち帰った。「感謝しかない。温かいものを食べられる環境があれば、精神的に余裕ができると思う」としみじみと話した。
当面は時短営業で、商品もウズラ卵、ウインナーなどを組み合わせて揚げた名物「かかし」などに限る。「昔からの味で心を安らげてもらい、いつもの日常に早く戻れれば」と語る。
地震前は朝市通りの観光客が店を訪れることもあり、国には観光業の復活に向けた支援を期待するが、「当面は難しい」とみる。「とにかく水道が早く復旧してくれるとありがたい。それに尽きる」と話した。
(2024年2月25日 中日新聞 脇阪憲)
〈ことば〉
延焼…火事が、火元から他の建物に燃え広がること。
地元…その人やことがらに直接関係する地域。
機材…器具と材料。
散乱…あたり一面にちらばること。
処理…ものごとをとりさばいて、きちんと始末をつけること。
断水…水道の水が流れなくなること。
こぎつける…①舟を漕いで目的の場所に到着させる。「島に―・ける」
②努力してやっと目標にまで到達させる。
なじみ…なれしたしんでよく知っていること。
しみじみと…心の底から深く感じること。
当面…今のところ
1 藤田総本店の名物「かかし」とは、どういうものですか。
2 藤田総本店は、地震によってどんな被害を受けたのですか。
3 藤田総本店は、再開にこぎつけるために、どんなことをしましたか。
*もう一度読んでみよう。
石川県輪島市の輪島朝市近くに店を構える創業80年以上の精肉店「藤田総本店」4代目の藤田真也さん(32)は、火災の延焼を寸前で免れた店舗で今月下旬に営業を再開した。「地元の力になりたい」と力を込める。
市内唯一の能登牛の認定販売店で、肉質の高さが売り。コロッケなど豊富な種類の揚げ物も長年愛されてきた。
朝市通りの南にあり、朝市の火災では数十メートルまで火の手が迫った。入り口のガラス扉は割れ、肉を切る機械が倒れて器材が散乱。水も電気も止まった。
それでも店をたたむ気はなかった。「またコロッケが食べたい」。周囲の励ましや応援も背中を押した。
ただ、肉の処理や衛生面から営業には水が不可欠。断水が続く中、井戸水の利用を模索し、水質検査に合格して再開にこぎ着けた。
約50日ぶりに店を開けると、なじみの味を求める客が次々に訪れ、揚げたてを持ち帰った。「感謝しかない。温かいものを食べられる環境があれば、精神的に余裕ができると思う」としみじみと話した。
当面は時短営業で、商品もウズラ卵、ウインナーなどを組み合わせて揚げた名物「かかし」などに限る。「昔からの味で心を安らげてもらい、いつもの日常に早く戻れれば」と語る。
地震前は朝市通りの観光客が店を訪れることもあり、国には観光業の復活に向けた支援を期待するが、「当面は難しい」とみる。「とにかく水道が早く復旧してくれるとありがたい。それに尽きる」と話した。
〈こたえ〉
1 ウズラ卵、ウインナーなどを組み合わせて揚げたもの。
2 入り口のガラス扉は割れ、肉を切る機械が倒れて器材が散乱した。水も電
気も止まった。
3 断水が続く中、井戸水の利用を模索し、水質検査に合格して再開にこぎ着
けた。
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